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建設業界で導入予定のパワーアシストスーツ。期待されることとは!?

現場作業では力仕事になるケースが多いため、ある程度の体力と筋力が要求されます。
そのため、性別や年齢によってつらいと思う作業もあるでしょう。
そこで今後導入が検討されているのが、「パワーアシストスーツ」です。
本記事では、建設現場での活用が期待されているパワーアシストスーツの概要や種類についてご紹介します。

パワーアシストスーツとは

国土交通省は、生産性向上や働き方改革の実現に向け、建設現場におけるパワーアシストスーツの導入を検討しています。
パワーアシストスーツとは、装着することで重量物の上げ下げによる身体的負担を軽減できる機器や装置です。
介護業界や物流業界、農作業などの分野ではすでに普及が始まっているとされています。

建設業界でパワーアシストスーツ導入を推進する目的

国土交通省はパワーアシストスーツを導入する目的として「短期的な目的」と「中長期的な目的」を挙げています。
短期的な目的は「効率性だけを重視する考えから脱却すること」です。
パワーアシストスーツの導入によって働く人が幸せを感じ、多様な人材が働きたくなるような建設現場の実現に寄与すると考えられています。
中長期的な目的は「建設現場は労働集約型という考え方からの脱却」です。
最先端技術などを現場に浸透させることで、つながる・共有する・創る現場を実現できるとしています。

またインフラ分野でもデータとデジタル技術を活用し、国民のニーズに沿った公共サービスの変革をするとともに働き方の変革も行い、インフラへの国民理解を促進するインフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進計画も行われています。

出典:国土交通省「建設施工におけるパワーアシストスーツ導入に関するWG
出典:国土交通省「パワーアシストスーツの利活用場面(ユースケース)と導入効果評価指標(案)

パワーアシストスーツの種類

パワーアシストスーツは大きく分けて以下の2種類に分けられます。

パッシブタイプ

パッシブタイプは、非動力型と呼ばれているタイプです。
動力はゴム、バネ、空気圧などで、非動力型のため稼働時間に制限がありません。
コルセットのように腰を補助したり、肘や膝サポーターのように関節の曲げ伸ばしを補助したりします。
また空気圧やガスの加減圧などを利用し、体を起こす動きを補助してくれます。
アクティブタイプより比較的安価に購入できます。

アクティブタイプ

アクティブタイプは、バッテリー駆動のパワーアシストスーツです。
センサーやモーターなどを用いて動作を制御します。
バッテリー駆動のためパッシブタイプより補助力が強いものが多く、約10キロのアシスト力があります。
ただし、充電式のものが多いため連続稼働時間が限られます。

出典:国土交通省「建設施工におけるパワーアシストスーツ導入に関するWG
出典:国土交通省「パワーアシストスーツの利活用場面(ユースケース)と導入効果評価指標(案)

選定されたパワーアシストスーツ

パワーアシストスーツの中には、国土交通省によって選定されたものもあります。
ここでは、国土交通省によって選定されたパワーアシストスーツ4種類をご紹介します。

スマートスーツ Lite(パッシブタイプ)

スマートスーツ Liteは、株式会社スマートサポートの製品です。
腰回りにコルセットのように装着し、体幹を安定させます。
背面にはX字のゴムベルトがあり、ゴムの伸縮性を利用して体を起こす動きをアシストしてくれます。

マッスルスーツEvery ソフトフィット(パッシブタイプ)

株式会社イノフィスが提供するパワーアシストスーツです。
空気圧を使った人工筋肉が配されています。
非動力性のため、屋外や水場などでも活躍できます。

HAL腰タイプ作業支援用(アクティブタイプ)

サイバーダイン株式会社が発表したアクティブタイプのパワーアシストスーツです。
生体電位信号を読み取ることで、装着者の希望に沿った動作を補助してくれます。
重量物を持ち上げたり、運搬したりする際の腰の負担を軽減してくれます。

PAIS-M100(アクティブタイプ)

パワーアシストインターナショナル株式会社が提供するパワーアシストスーツです。
モーター駆動とモーションセンサーが搭載されており、装着者の動きを素早くアシストしてくれます。
腰と足の振り上げどちらも補助してくれ、負担を軽減してくれます。
特に重量物の運搬や運搬車を押す作業などで活躍が期待されます。

出典:国土交通省「建設施工におけるパワーアシストスーツ導入に関するWG
出典:国土交通省「パワーアシストスーツの利活用場面(ユースケース)と導入効果評価指標(案)

パワーアシストスーツ導入によって期待されること

パワーアシストスーツ

パワーアシストスーツ導入によって作業者の負担が減ることで、生産性の向上や若手技能者の定着などが期待されています。
これから日本は働き手不足に陥るとされており、働き手の確保が急務です。
パワーアシストスーツの導入により、働きやすい職場を実現することで若手を含めた多様な人材の入職なども期待されています。

出典:国土交通省「建設施工におけるパワーアシストスーツ導入に関するWG
出典:国土交通省「パワーアシストスーツの利活用場面(ユースケース)と導入効果評価指標(案)

今後パワーアシストスーツの浸透が期待されている

パワーアシストスーツはまだ建設業界に浸透しているとはいえませんが、今後導入の推進が計画されています。
建設現場に導入されれば、力のない人でも年齢を重ねてもできる仕事が増えるでしょう。
また体を壊すことで離職を余儀なくされる人を少なくすることが期待されています。
その結果、労働力不足解消の助けになるのではと考えられているので、関心を持っておきましょう。