Menu

【建設業界の動向】東京都の木密事業の狙いとは!?プロジェクトの内容

東京都の木密事業計画についてご存知でしょうか?
聞き慣れない方も多いと思いますが、人々の安全を守るために欠かせない事業です。

本記事では、東京都の気密事業についてご紹介します。

木密地域不燃化10年プロジェクトとは

東京都は甚大な被害が出ると想定されている地域を対象に
10年間の重点的・集中的プロジェクトである「木密地域不燃化10年プロジェクト」を発表しました。

東京には、木造住宅密集地域(木密地域)が多くあります。
こうした木造住宅が密集した地域で規模の大きな地震が発生すると、倒壊や火災が発生する恐れがあり
防災の観点からあまり好ましくありません。
実際、東京都が公表した資料によると、都内で規模の大きな地震が発生した場合
約6,000人の死者の内の約2,500人が火災によって亡くなると予測されています。
また、建物に関しても19万棟が被害を受けるのに対し
その内の約11万棟が火災によるものだとされています。
こうした、地震による二次被害が大きくなると、東京都の都市機能へ大きな影響を与える恐れがあります。
そのため、特に改善が必要とされる地区を指定し、防災計画を推進するプロジェクトを発表したのです。

出典:東京都防災会議「東京都の新たな被害想定~首都直下地震等による東京の被害想定~

過去の震災から見る木造住宅の危険性

木造住宅が地震による被害を大きくした過去の事例として、阪神淡路大震災も挙げられます。

神戸市が公表したデータによると、阪神・淡路大震災によって亡くなった約4,500人の内
家屋倒壊による死者が約73%とされています。

この地震によって被害を受けた建物の多くは、
建築基準に耐震性が設けられていなかった時代に建てられていたと指摘されています。
さらに、木造建築物が密集している地域で大規模火災が発生したという報告も見受けられます。

また、木造建築物が密集した地域で発生した火災は、消火活動が困難であるとされています。
理由としては、地震によって倒壊した木造住宅が道路を塞ぎ消防団の到着が遅れてしまう点や、
倒壊した建物の影響で防火水槽が使用できなくなる点が挙げられています。

出典:神戸市「阪神・淡路大震災 データから見る震災

木密都計道整備にかかる費用

東京都は、木造密集地域内都市計画道路整備(木密都計道整備)にかかる費用は
531億1900万円と発表しました。
この費用は延焼を防ぐ機能を持った道路の整備などに使用されます。
これは、地震によって木造住宅が火災した際、建物から建物へ火が燃え移る二次被害への対策となります。
道路整備を行うことで延焼遮断帯が形成され、大規模な火災を防ぐと共に
震災時に安全な避難路の確保につながります。
また、狭い道路のみですと、消防車や救急車などの緊急車両の走行が妨げられます。
道路を整備すれば、緊急車両はもちろん避難者もスムーズに走行・通行ができることが期待されます。
木造住宅が並ぶ木密地域では、居住者の高齢化による建て替え意欲が薄いことや、
敷地が狭く建て替え自体が困難であるケースが多いようです。
そのため、道路を舗装することで防災機能を高めることは、効果的かつ現実的であると言えるでしょう。

出典:東京都建設局「木密事業の紹介

木密地域不燃化10年プロジェクトの実施方針

プロジェクトの具体的な実施方針によると、ポイントは以下の通りです。

不燃化特区制度の創設

指定された木密地域の中で、特に危険度が高く、整備を促進しなければならない地区を
「不燃化特区」とします。
不燃化特区に指定された区域は、整備プログラムの実施に必要な支援を期間限定で都が実施します。

不燃化特区制度の先行実施

プロジェクト当初は3地区程度を選定し、都と区が連携して先行的な取り組みを開始しました。

延焼遮断帯を形成する主要な都市計画道路整備の加速

整備地域の主要な都市計画道路を整備する際、関係権利者に対し
生活再建等のために特別支援を期間限定で行う「特定整備路線」を指定しました。

出典:東京都建設局「木密事業の紹介

都民の安全を守るために欠かせないプロジェクト

木密地域不燃化10年プロジェクトは、木造住宅密集地域を整備することで、
万が一の際に都民の命や安全を守るために欠かせないプロジェクトとされています。
予算案が発表されたことからも、今後も都民が安全に暮らすための整備が行われていくでしょう。