国土交通省は、契約適正化指針に新たに規定した公共発注機関による「設計変更ガイドラインの策定・公表」と「ガイドラインに基づいた適正な設計変更手続き」を発表しました。
設計変更ガイドラインとは、どのようなものなのでしょうか。
本記事では、設計変更ガイドラインの概要や入札契約方式などをご紹介します。
設計変更ガイドラインとは
国土交通省は、公共発注機関の「設計変更ガイドラインの策定・公表」と「ガイドラインに基づいた適正な設計変更手続き」に努めることを新たに規定しました。
この対応に合わせて、都道府県でのガイドライン策定や運用状況なども調査されています。
設計変更ガイドラインとは、設計変更が可能なケースや不可能なケースの事例、手続きの流れなどを示したものです。
例えば、直轄の土木工事では設計変更ガイドラインは契約の一事項として扱われます。
また、設計変更の具体的な考え方や手続きは、「工事請負契約における設計変更ガイドライン(総合版)」によると、特記仕様書として記載されています。
入札契約方式の選択
入札契約方式の選択には、主に以下の4つがあります。
- 入札契約方式の選定時期
- 発注者の体制確保
- 調査・設計業務の調達
- 工事の調達
入札契約方式の選定時期
公共事業の一般的な「事業」の範囲は、始まりが新規事業採択時、終わりは目的物が完成した時とされています。
事業採択後の事業プロセスは、たとえば「調査・計画」「概略設計」「予備設計」「詳細設計」「施工」の各段階に分けられます。
そして事業の完了後は「維持管理」段階に移行します。
こうした事業の流れにおいては、リスク管理を効果的に行うためにも、プロセス間の連携を必要とします。
そのため調達する範囲の設定が、入札契約方式を選定する上で重要とされています。
発注者の体制確保
公共事業では事業を円滑に進める中で、適切な入札契約方式の選定や技術提案の審査・評価、コスト管理などの発注関係事務を適切に実施できる発注体制が必要とされています。
各発注者は自らの発注体制を把握し、十分でないと認められたなら、国や都道府県などのほかの機関に協力や支援を得ながら、適切に実施できるような体制に取り組む必要があるといわれています。
特に、大規模災害復旧や復興事業などにおいては、業務量が膨大になり、通常の体制では業務を適切に行えない可能性があります。
そのため、国と都道府県、市町村などの発注者が連携し、技術的知見や情報の共有、必要な体制の確保が必要とされています。
調査・設計業務の調達
調査・設計業務の調達では、適切な入札契約方式を選択するように努めることが必要とされています。
入札契約方式の中で、落札者の選定方法に着目し、方式に合った業務の性格を以下のように整理することが大切と考えられています。
価格競争方式
一定の技術者資格や業務の経験、成績などを競争参加資格として設定し、品質を確保できる業務です。
総合評価落札方式
競争参加者の提示する技術などにより、事業の成果に相当程度の差異が出ることが期待できる業務です。
プロポーザル方式
内容が高度な業務または専門的な技術が要求される業務の場合、提出された技術提案に基づいて仕様を作成する方が、優れた成果を期待できるとされています。
工事の調達
工事調達における入札契約方式は、方式ごとに必要な技術力や発注体制を踏まえ、工事の性格などに応じて適切な方式を選択、組み合わせて適用されます。
出典:国土交通省「公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドライン」
入札契約方式の内容

ここでは、「契約方式」「競争参加者の設定」「落札者の設定」について紹介します。
契約方式
事業プロセスの対象範囲に応じた契約方式の中で、「工事の施工のみを発注する方式」が一般的です。
競争参加者の設定
競争参加者は、契約の相手方を選定する際の候補を決める範囲設定方法のことです。
主に以下の3つの方式があります。
一般競争入札方式
資格要件を満たしている者のうち、競争や参加申し込みを行った者同士で競争を行う方式です。
指名競争入札
発注者が指名した者同士で競争を行わせる方式です。
随意契約方式
競争の方法によらず、発注者が任意に特定したものを選定して契約する方式です。
落札者の設定
落札者の設定は以下の方式などが挙げられます。
価格競争方式
発注者が示す仕様に対し、価格提案のみを求める方式です。
総合評価落札方式
工事価格や性能などを総合的に判断して、落札者を決定する方式です。
技術提案・交渉方式
最も優れた提案を行った事業者と価格や施工方法などについて交渉し、契約相手を決定する方式です。
競争参加者の設定方法の選択においては、原則として一般競争入札を選択するとしています。
出典:国土交通省「公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドライン」
設計変更ガイドラインと入札契約方式を知ろう
設計変更ガイドラインとは、設計変更が可能なケースや不可能なケースの事例、手続きの流れなどを示したものです。
さらに入札契約方式にはさまざまな方法がありますので、状況に応じて適切な方式を選べるように、どんな種類があるのか知っておくことをおすすめします。