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老朽化問題だけではない!加速するインフラを点検する人材不足

建築物の老朽化によるトラブルは避けられないため、定期的なメンテナンスが必要です。
しかし、インフラ点検のための人材が不足しているのが現状です。

本記事では、インフラの老朽化問題、点検・メンテナンス人材の不足についてご紹介します。

インフラの老朽化問題

2012年には中央自動車道笹子トンネルで天井板が崩落する事故が発生し、
道路管理者に対して5年に1度の点検が義務付けられました。
国土交通省や地方自治体が2014~2018年に行った調査によると、
全国の6万4,000の橋、4,400のトンネル、6,000の歩道橋が、5年以内に修繕が必要と判断されました。
しかし、人口減少が続いている地域は、費用と便益を検討した際に、改修を断念する場合もあります。
2019年5月には、全国の137橋が撤去・廃止となりました。

水道設備の老朽化

さらに、水道施設の老朽化も進んでいます。
全国で水道の漏水と破損が年間2万件発生しており、
2018年には大阪北部地震によって広範囲の断水が発生してしまいました。
水道事業は、市町村が独立採算で行うのが原則です。

しかし、人口の減少によって料金収入が減ったため、全国の約1割が赤字となっています。
小規模な自治体ほど経営状態が悪く、十分な設備更新ができていません。
水道の整備も必要なことから、民営化も検討される事態となっています。

出典:国土交通省「道路メンテナンス年報
出典:国土交通省「デジタル技術の進展を踏まえた規制の総点検 インフラの老朽化と新技術・データ活用について
出典:国土交通省「老朽化の現状・老朽化対策の課題

インフラの老朽化を点検する人材不足

インフラの老朽化に伴い点検する人材も必要となりますが、人数、経験共に不足しているのが現状です。
たとえば、道路橋の点検では「道路橋に関する相応の資格または相当の実務経験」「道路橋の設計、施工、管理に関する相当の専門知識」が求められます。
しかし、市区の約7%、町の約24%、村の約59%では、橋梁保全業務に関わる土木技術者がそもそも存在しません。
地方自治体の橋梁点検において、直営点検の約54%、委託点検の約42%が研修を未受講かつ資格未保有者によって行われているのです。
インフラが安全に使用するためには定期的な点検や監理が欠かせませんが、それを支えている体制は危機に瀕しています。

出典:国土交通省「道路メンテナンス年報
出典:国土交通省「デジタル技術の進展を踏まえた規制の総点検 インフラの老朽化と新技術・データ活用について
出典:国土交通省「老朽化の現状・老朽化対策の課題

インフラ点検の現状を知ろう

インフラや水道施設は全国で老朽化しています。
しかし、それを改修する予算や人材が不足しているのが現状です。
国土交通省は、自治体職員向けの維持管理研修などを行っていますが、育成は容易ではありません。
インフラ点検についての現状を知っておきましょう。