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私たちの生活と自然環境保全。どのような経緯によってできたもの?

人々の生活は、少なからず自然環境に影響を与えています。
特に近代以降、産業が活発化すると顕著になり、自然の喪失につながりました。
このことから、自然環境の保全についても重要視されるようになりました。

本記事では、自然環境の保全ができた経緯や考え方、自然環境保全法についてご紹介します。

自然環境保全に至る経緯と考え方

明治以降の近代化により、自然環境に大きな影響が与える急激な改変が起こりました。
殖産振興により地方から都市へ人口が集中したことで、
神社仏閣の樹木や各地の森林、自然海浜の喪失につながります。
たとえば、足尾銅山や別子銅山などは大規模な森林破壊と復旧の実例を見ることができます。

喪失した森林に対する保護の動きは、1897年の森林法による保安林制度や1915年に保護林制度などから出てきました。
その後、1919年には希少野生鳥獣の保護が目的の「史蹟名勝天然物記念物保存法」が、1931年には優れた風景を保全するために「国立公園法」が制定されます。
そして、自然保護のための開発規制など、個別の法律ではなく一本化したものが1972年制定の「自然環境保護法」です。

自然環境保全の考え方

自然環境保全の対象は、人間にとって経済活動の資源だけでなく生活に不可欠な構成要素となっています。
特に日本人は自然との折り合いを基本としており、人と自然が有機的かつ複合的に一体化された環境が対象となっています。
人々が住む社会では、自然環境破壊が進んでおり、深刻な問題提起がなされています。

そのため、一部では社会的公正を損なってしまう、不均等な利害も発生しているとされています。
このことが、自然破壊に対して取るべき明確な対応が複雑化している原因の一つとされています。

自然環境保全法の理念

自然環境保全法の理念は、「自然環境の保全は、自然環境が人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることを鑑み、広く国民がその恵沢を享受すると共に、将来の国民に自然環境を継承できるように適切に行わなければならない」という基本理念があります。

この法律では、国、地方公共団体、事業者や国にそれぞれの役割があります。
国には、自然環境を適正に保存するための基本的で総合的な施策の策定・推進が求められます。
事業者は実施にあたって、自然環境が適正に保全されるために必要な措置を講じなくてはいけません。
また国民も、自然環境が適正に保全されるように努めることとしています。

具体的な方策としては、以下が定められています。

1.自然環境保全法を始めとする各種の関係制度の総合的な運用
・原生の自然地域、傑出した自然の景観、学術上・文化上価値の高い自然物などの保全
・自然地域、自然風景、野生動物の生息地の保護
・農林水産業が営まれ地域の環境保全能力の評価と育成
・都市地域における樹木地、草地、水辺地など自然地域の保護育成や復元
2.必要な民有地の買い上げの促進
3.大規模な各種開発が自然環境に及ぼす影響の予測や代替案の比較を含めた事前調査
4.人間活動と自然との関係や物質の循環、生態系の保全技術などの研究
5.環境教育の積極的な推進
6.野外レクリエーション政策の調整

自然環境の保全について知ろう

近代化と共に、自然環境は大きく破壊されてきました。
このため、人々は自然を守ろうと自然環境の保全に関して大きな関心を持ったのです。
また自然環境保護法などの法律も制定され、自然との共生の道が模索されています。
今後も利便性と自然との共生は課題になると予想されますので、関心を持ってみてはいかがでしょうか。