建物には、さまざまな設備が設置されていますが、その中の一つに建築設備があり、我々の生活を支える高度なシステムで、現代の建物にはなくてはならない設備です。
では、建築設備とはいったいどのようなシステムを指すのか、仕事内容や関係する資格について併せて紹介していきます。
建築設備とは
建築設備とは、建物の中で水や電気などを使えるようにするための、機械や配管、配電などの設備のことです。
主に次のようなものがあります。
給水設備
給水設備は、水道の蛇口をひねったり、レバーを引いたりして、水が出てくるようにするための設備です。
水道本管につながっている水道管を通って、敷地内に水が引き込まれます。
そして、揚水ポンプで建物の上まで引き上げてから、高置水槽に貯めて、給水管を通って各蛇口やトイレ、お風呂などに届ける仕組みです。
配電設備
配電設備は、室内で電気を使えるようにするための設備です。
電線から送られてくる電気は、キャビネットを通り、受変電設備で一般家庭やオフィスなどで使えるような形になります。
それから幹線ケーブルを通り分電盤に送られ、各部屋に設置されているコンセントや照明器具などに振り分けられる仕組みです。
このような配電設備があることで、コンセントにプラグを差し込むだけで、簡単に電化製品を使うことができます。
空気調和設備
空気調和設備は、窓を開けて換気をしなくても、室内の空気が籠もることなく循環させられる設備です。
温度や湿度なども、適度な室内環境に保つことができます。
空調機の中に外気を取り込み、ホコリやゴミなどを取り除き温度や湿度を整えます。
吸気ダクトを通って室内に送られる仕組みです。
これと並行して、換気ダクトから室内の空気が吸い込まれて、その一部が再び空調機に送られ、残りが屋外に排気されます。
建築設備士の仕事内容とは
建築設備士の仕事内容は、主に、建築設備の設計や工事監理などについての適切なアドバイスを建築士に対して行うことです。
なお、建築設備士がいなくても建築設備や建築設計をする事は可能です。
また、アドバイスをする事に法規制や強制力はありません。
そのため、建築士のみで設計や工事監理を行うこともできますが、現在は、高度化した建築設備を設置する際に、建築設備士が活躍することが多いです。
安全性を高めるためにも、建築設備士によるアドバイスを受けるというケースも見られます。
建築設備士の資格について
建築設備の専門資格として、建築設備士があります。
建築設備士は国家資格であり、国土交通大臣が登録する試験に合格し、要件を満たす事で取得する事ができます。
建築設備士は、アドバイスをした建築についての確認申請書など、公的な書類に対して記名する事ができます。
建築設備士のアドバイスを受けた建築物は、品質が高い建築物となります。
また、建築設備士の資格を取得し、実務経験を4年以上積むと、実務経験なしで1級建築士の試験を受ける事が可能になります。
試験
建築設備士試験は、マークシート式の一次試験と、設計製図の二次試験に分かれています。
一次試験の出題内容は、建築一般知識が30問、建築法規が20問、建築設備が50問の合計100問です。
二次試験は、建築設備基本計画と建築設備基本設計の2つの分野から出題されます。
受験資格は、大学で建築、機械、電気に関する過程を修めて卒業した人は、2年以上の実務経験で受験資格を取得可能です。
短大卒と高専卒の場合には4年以上、高卒の場合には6年以上の実務経験で、受験資格が取得できます。
また、以下の資格を取得している場合には、2年以上の実務経験で受験資格を取得できます。
- 一級建築士
- 一級電気工事施工管理技士
- 一級管工事施工管理技士
- 電気設備主任者
- 空気調和・衛生工学会設備士
我々の生活にとって欠かせない設備
建築設備は、給排水設備や配電設備など、我々の生活において必要な水や電気を使えるようにするための設備です。
建築設備があるからこそ、我々はいつでも水や電気を使うことができます。
また、建築設備士は専門資格になりますので、興味のある人はぜひ取得を目指してみてはいかがでしょうか。