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水道施設工事とは!?工事内容を理解しよう

水道施設工事は、29種類ある建設業の1つで、専門工事に分類されます。
上水道や工業用水道等、水道に関わる工事を指しますが、施工管理職を目指す方は、具体的な工事の種類や、他の工事との区分について知っておく必要があるでしょう。

本記事では、水道施設工事の仕事内容や工事例をご紹介します。
また、水道施設工事において建設業許可を取得するための4つの要件および該当してはいけない欠格要件についても詳しく紹介していきます。

水道施設工事とは

水道施設工事とは、上水道や工業用水道などのために、取水、配水等の施設を築造する工事や、公共下水道、流域下水道の処理施設を設置する工事のことです。
「水道施設」とは、浄水場や貯水施設、送水施設、下水処理場の設備のことを指します。
「水道」という言葉から、一般家庭やオフィスなどの水道を設置する工事と間違えやすいので注意しましょう。

出典:国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)

工事の種類と区分の考え方

水道施設工事

水道施設工事の種類と、他の工事との区分は以下のようになります。

工事の種類

取水施設工事
河川や湖沼、貯水池、地下水などの水源から取水し、用水路や導水管などの施設に、水を送る設備を設置する工事です。

浄水施設工事
浄水施設工事とは、水源から送られた水を飲用に処理する施設を設置する工事です。
浄水施設では、凝集、沈殿、ろ過、消毒などを行います。

配水施設工事
水道水等の水量・水圧を調節し、配水間に送り込む施設を設置する工事を指します。

下水処理施設工事
家庭や工場などから出る汚水の汚れやごみを取り除き、消毒して川などに放流する下水処理施設を設置する工事です。

水道施設工事と他の工事の境界

水道施設工事と似た工事に、「管工事」や「土木一式工事」などがあります。
他の工事との境界や、区分は以下のように定められています。

「水道施設工事」「土木一式工事」と「管工事」と「清掃施設工事」の区分

水道施設工事…上水道等の取水、浄水、配水等の施設や下水処理場など、処理設備を築造・設置する工事

土木一式工事…公道の下等にある配管工事や下水処理場自体の敷地造成工事
また、農業用水道、灌漑用排水施設等の建設工事も該当する

管工事…家屋や、その他の施設の敷地内の配管工事や、上水道等の配水小管を設置する工事

清掃施設工事…公共団体が設置するもの、かつ汲取方式によって集められたし尿を処理する施設の建設工事

出典:国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)

建設業許可を取得する為の要件

水道施設工事にて建設業許可を得るには、「建設業法」で定められた4つの要件を満たし、かつ「欠格要件」に1つも該当しないことが条件です。
まず満たすべき4つの要件とは以下が挙げられます。

1.建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者

「建設業法」では以下のように、経営業務における管理者等の設置を求めています。
“(1)経営業務の管理責任者等の設置(建設業法施行規則第7条第1号)
 建設業の経営は他の産業の経営とは著しく異なった特徴を有しているため、適正な建設業の経営を期待するためには、建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者が最低でも1人は必要であると判断され、この要件が定められたものです。”
引用:国土交通省「許可の要件

また経営業務における管理責任者とは、以下のどれかに当てはまる人を指します。

  1. 建設業において経営業務の管理責任者として5年以上経験している
  2. 建設業において経営業務の管理責任者と同等の権限を5年以上持っている、あるいは同等の職務に5年以上就いている
  3. 建設業において経営業務の管理責任者を補佐する業務を6年以上経験している
  4. 建設業において役員等に2年以上就いており、かつ役員または役員に次ぐ立場として5年以上の業務経験を持っている、または役員等を補佐する業務を5年以上経験している
  5. 5年以上の役員経験があり、かつ建設業において2年以上の役員経験がある

また、企業自体が適切な社会保険へ加入していることも要件に含まれています。
適切な社会保険とは「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」のことを指し、加入と同時にその旨を届け出ます。

2.専任技術者の設置

「建設業法」では、建設業の許可を得るためには以下のように専任技術者の設置が必要であると述べています。
“専任技術者の設置(建設業法第7条第2号、同法第15条第2号)
 建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するためには、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての専門的知識が必要になります。見積、入札、請負契約締結等の建設業に関する営業は各営業所で行われることから、営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格または経験を有した者(専任技術者)を設置することが必要です。”
引用:国土交通省「許可の要件

許可を得る対象の建設業が「一般建設業」か「特定建設業」かにより、専任技術者に必要な資格が異なります。

「一般建築業」の場合は以下のどれかを満たした専任技術者が必要です。

  • 高校で指定された学科を履修し卒業後5年以上または大卒後3年以上の実務経験がある
  • 指定の専門学校を卒業後5年以上の実務経験がある、または専門学校卒業後に3年以上の実務経験があり専門士または高度専門士の資格を持っている
  • 許可を得る対象の工事において10年以上の実務経験がある
  • 建設業法で定められた国家資格を持っている
  • 建設業法で定められた複数業種において実務経験がある

「特定建設業」の場合は以下のどれかを満たした専任技術者が必要です。

  • 建設業法で定められた国家資格を持っている
  • 指導監督的実務経験がある
  • 過去に特別認定講習を受けて合格した、または国土交通大臣が定める考査に合格した

また「営業所ごとに専任技術者を設置することが必要」と定められているため、専任技術者は営業所に常勤している必要があります。

3.誠実性

建設業における取引は、開始から終了まで長い期間を要します。
そのため代金の前払いが習慣化されるなど、取引関係者同士の信頼性が重視されています。
契約や業務中に、不正や不誠実な行動を防ぐために以下のような要件が設けられています。
“誠実性(法第7条第3号)
 請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかである場合は、建設業を営むことができません。これは、許可の対象となる法人若しくは個人についてはもちろんのこと、建設業の営業取引において重要な地位にある役員等についても同様にです。”
引用:国土交通省「許可の要件

4.財産要件

適正な施工を行うためにはある程度の準備資金が必要です。
対象工事が「一般建設業」と「特定建設業」では要件が異なります。
“財産的基礎等(法第7条第4号、同法第15条第3号)
(注)一般建設業と特定建設業では要件が異なります。
 建設工事に着手するに当たっては、資材の購入及び労働者の確保、機械器具等の購入など、一定の準備資金が必要になります。また、営業活動を行うに当たってもある程度の資金を確保していることが必要です。このため、建設業の許可が必要となる規模の工事を請け負うことができるだけの財産的基礎等を有していることを許可の要件としています。”
引用:国土交通省「許可の要件

「一般建設業」の場合は以下のどれかに当てはまっている必要があります。

  • 自己資本が500万円以上
  • 500万円以上の資金調達能力がある
  • 過去5年間、許可が必要な業務を継続して行った実績がある

「特定建設業」の場合は以下のすべてに当てはまっている必要があります。

  • 欠損の額が資本金の20%を超えていない
  • 流動比率が75%以上
  • 資本金が2,000万円以上、かつ自己資本の額が4,000万円以上

該当してはいけない「欠格要件」

また建設業許可を取得するためには、以下の欠格要件に一つも該当していないことが条件です。

  • 破産者であり復権を得ていない
  • 一般建設業または特定建設業の許可を取り消されて5年が経過していない
  • 営業停止命令を受け、停止期間が過ぎていない
  • 禁錮以上の刑を受ける、または受けないことが決まった日から5年以上経過していない
  • 暴力団員による不当な行為また違反により、刑が決まってから5年が経過していない
  • 精神機能の障害などから建設業に携わるために必要な認知や判断ができない
  • 未成年者
  • 建設業に携わっている者のなかに暴力団員が含まれている

出典:国土交通省「許可の要件」 
出典:国土交通省「建設業許可制度

水道施設工事は上下水道の処理設備を築造・設置する工事

水道施設工事は「水道」という言葉から、日常的に使う水道に関する工事と間違えている方もいます。
しかし、実際には大本となる取水・配水施設や、下水道の処理設備などを設置する工事のことですので、間違えないようにしましょう。
また、水道施設工事で建設業の許可を得るには「建設業法」で定められた4つの要件を満たすことと欠格要件に該当しないことが条件です。
要件は細かく定められているため、あらかじめ確認しスムーズに工事を進めましょう。