Menu

電気通信工事とは!?具体的な工事内容を詳しく紹介

電気通信工事は、29種類ある建設業工事の1つです。
電話やテレビ、インターネットの情報通信に関わる電気通信工事は、身近な工事の1つといえます。

本記事では、施工管理職として知っておきたい電気通信工事の概要や仕事内容、電気通信工事の施工管理に関わる資格制度についてご紹介します。
また実際に電気通信工事に携わっている方の体験談もご紹介しますので、大変な点ややりがいを感じられる点について参考にしてください。

電気通信工事とは

電気通信工事とは、電気通信設備に関わる工事のことです。
具体的には、以下の設備を設置する工事が当てはまります。

  • 有線電気通信設備工事
  • 無線電気通信設備工事
  • データ通信設備工事
  • 情報処理設備工事
  • 情報収集設備工事
  • 情報表示設備工事
  • 放送機械設備工事
  • TV電波障害防除設備工事

出典:国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)

電気工事との違い

電気工事との主な違いは、「電力の大きさ」です。
電気工事は、送電線や配電盤、電力機器など比較的電力の大きいものを扱いますが、電気通信工事は情報伝達のために使う設備を扱うため、電気工事のように大きな電力のものは扱いません。

なお、電気通信工事施工管理技士について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

【関連記事:施工管理技士の資格の1つ「電気通信工事施工管理技士」。電気工事施工管理技士との違いとは!?

電気通信工事に関わる資格

電気通信工事において現場を監督し運用するためには、電気通信事業法または建築業法で定められた資格が必要です。
資格がなくても携われる場合もありますが、施工管理技士として仕事の幅を広げたいなら資格の取得をおすすめします。

工事担任者資格

「工事担任者資格」は、保安器やONUなど電気通信事業者の通信設備に、通信線を接続する工事において作業の実施および現場監督をするための資格です。

“(電気通信事業法第71条)
利用者は、端末設備又は自営電気通信設備を接続するときは、工事担任者資格者証の交付を受けている者(以下「工事担任者」という。)に、当該工事担任者資格者証の種類に応じ、これに係る工事を行わせ、又は実地に監督させなければならない。ただし、総務省令で定める場合は、この限りでない。”
引用:総務省「電気通信関係資格手続きの案内

また工事担任者が携われる電気通信工事には以下があります。

  • ネットワーク機器のセットアップ、設定、接続、配線工事
  • 通信障害時の切り分け
  • 通信回線試験
  • 復旧工事

取得する「工事担任者」の資格区分により、携われる業務が細かく定められています。

区分 携われる工事の範囲
第一級アナログ通信
(旧:AI第一種)
アナログ回線・ISDN回線に端末設備等を接続するためのすべての工事
第二級アナログ通信
(旧:AI第三種)
1回線のアナログ回線、基本インターフェースが1回線のISDN回線に端末設備等を接続するための工事
第一級デジタル通信
(旧:DD第一種)
ISDN回線を除くデジタル回線に端末設備等を接続するためのすべての工事
第二級デジタル通信
(旧:DD第三種)
デジタル工事の内、1Gbps以下のインターネット接続工事
総合通信
(旧:AI・DD総合種)
アナログ回線、デジタル回線に端末設備等を接続するためのすべての工事

電気通信主任技術者

「電気通信主任技術者」は、事業用電気通信設備の工事における運用と維持を監督するための資格で、電気通信事業を行う際には1人以上選任することが電気通信事業法で義務付けられています。

“(電気通信事業法第45条)
「電気通信事業者は、事業用電気通信設備の工事、維持及び運用に関し総務省令で定める事項を監督させるため、総務省令で定めるところにより、電気通信主任技術者資格者証の交付を受けている者のうちから、電気通信主任技術者を選任しなければならない。”
引用:総務省「電気通信関係資格手続きの案内
取得した資格区分により、電気通信工事における監督できる範囲が異なります。

区分 監督範囲
伝送交換 事業用電気通信設備のなかで、伝送交換設備、またこれらに関係する設備の工事、維持、運用
線路 事業用電気通信設備のなかで、線路設備、またこれらに関係する設備の工事、維持、運用

また資格取得後も3年に一度、総務大臣から登録を受けた機関が主催する、講習を受講する必要があります。

電気通信工事施工管理技士

※「電気工事施工管理技士」と混同しないようご注意ください。
「電気通信工事施工管理技士」は、電気通信工事における営業所の「専任技術者」や電気通信工事の「主任技術者」および「監理技術者」として携わるための資格です。
電気通信工事施工管理技士には1級と2級が存在し、それぞれ携われる事業内容が異なります。

また電気通信工事施工管理技士になるには、国土交通省が定める建築業法に則った「電気通信工事施工管理技術検定」第一次検定と第二次検定に合格する必要があります。

電気工事施工管理技士における1級と2級の違いや試験概要について知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

【関連記事:施工管理技士の資格の1つ「電気工事施工管理技士」。1級と2級の違いを知ろう!

電気通信工事の仕事内容

電気通信施工管理技士

電気通信工事の具体的な仕事内容は、以下となります。

LAN工事

アパートやマンション、オフィスなどにLANケーブルを設置したり、パソコンや通信機器、セキュリティ機器などをネットワークに接続したりする工事のことです。
外部からインターネット回線を引き込み、LANケーブルやルーターと端末を接続します。
また、自社にサーバーを設置する工事も、LAN工事に含まれます。

電話工事

電話工事とは、一般的に以下2つの工程を総称したものです。

  1. 屋内に電話線を引き込む工事
  2. 屋内に引き込んだ電話線を電話機まで配線して利用できるまでの工事

まずは、高所作業車を使用して電信柱から屋内に電話線を引き込みます。
次に、引き込んだ電話線を電話機まで配線しますが、ここの工程は作業をさらに細かく分けて考えることができます。

  • 新設:新しく電話機を設置する
  • 移設/増設:部屋のレイアウト変更などに伴い、電話機を移設/増設する
  • 配線整理:移設/増設により乱れた配線を整理する

電話工事は、以上の流れを覚えておくことが重要です。

携帯電話基地局工事

スマートフォンなどのモバイル端末に、電波を届けるための基地局を設置する工事です。
屋外・屋内の基地局の設置、アンテナや無線設備機器設置などを行います。

テレビ共聴設備工事

建物内でテレビを視聴できるようにするための工事のことです。
ケーブルを引き込んだり、電波を受信するためのアンテナを設置したりします。

電気通信工事に携わる方の声

電気通信工事における大変な点ややりがいを感じるポイントなど、リアルな声を聞くために実際に電気通信工事に携わる方の体験談を2つご紹介します。
電気通信工事の資格を取得して、本格的に関わっていくかどうかの判断材料としてご活用ください。

「体験談1:30代 男性」
携わったことのある電気通信工事
・光回線工事

電気通信工事に携わるようになったきっかけ
工事担任者の資格を取得したことがきっかけで携わるようになりました。

電気通信工事において大変な点
お客様の自宅で作業する場合、お客様から常に見られている状況なため緊張しました。

電気通信工事のやりがいを感じる点
作業後、お客様のスマートフォンやパソコンが無事にインターネットにつながり、以前よりもインターネット速度が速いと喜んでくれたときにはやりがいを感じました。

「体験談2:20代 男性」
携わったことのある電気通信工事
・携帯基地局工事

電気通信工事に携わるようになったきっかけ
電気通信技術に興味があったため、電気通信に携われるお仕事がしたいと思ったのがきっかけです。

電気通信工事において大変な点
高いところが非常に苦手なので、鉄塔に登ってアンテナを取り付ける作業はとてもしんどかったです。
安全に配慮されているとはいえ、高所恐怖症の方にとってはきついこともあるかもしれません。

電気通信工事のやりがいを感じる点
高いところが苦手とはいえ、鉄塔の高さから眺める景色は通信工事に携わる人しか味わえません。
また、取り付けたアンテナによって通信できるようになったときは、非常に大きな達成感が味わえます。

電気通信工事は情報通信に関わるいまどきの工事

電気通信工事の具体的な業務内容や流れ、関連する資格について紹介してきました。
IT機器による情報通信の普及によって、電気通信工事が必要な場面は今後も増えることが予想されます。
施工管理職を目指している方は、電気通信工事の業務内容について覚えておきましょう。