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プラントエンジニアとは?仕事内容や年収、必要な資格を解説

プラント(plant)は、さまざまな原材料や製品、エネルギーを生産する工場や設備のことです。このプラントを設計したり、施工管理したりする専門の技術者は、「プラントエンジニア」と呼ばれます。

プラントエンジニアリング業界は国内外で成長し続けていますが、人手不足が課題です。プラントエンジニアの実務経験はないものの、プラントエンジニアはどのような仕事をして、どれぐらいの年収を得られるのか。また、どのような資格が必要なのか、転職先として気になっている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、プラントエンジニアの種類と仕事内容のほか、やりがいや年収、必要な資格について解説します。

多種多様なプラントの設計から保守管理まで担うプラントエンジニア

プラントエンジニアとは、プラントを設計するだけでなく、部材調達から施工管理、保守管理までを担う技術者を指しています。

一口にプラントといっても、多種多様です。原油を加工して、ものづくりに必要なプラスチックなどの原材料を製造したり、日常生活で私たちが口にする食品を加工したりするプラントもあります。また、水力や風力により、エネルギーを生産するのもプラントです。
このように、成果物も規模も異なるプラントをゼロから作り出す専門家がプラントエンジニアなのです。

プラントエンジニアの種類

プラントエンジニアは大きく、4種類に分けられます。ここでは、プラントエンジニアの種類ごとに、どのような役割を担うのか解説します。

配管系プラントエンジニア

配管系プラントエンジニアは、プラントにおける配管システムの設計・施工管理を行います。配管は、プラントの多くを占める領域であり、人間で例えると血管にあたる重要な役割です。

配管系プラントエンジニアの仕事には、流体の輸送を効率的かつ安全に行うための配管レイアウト・材料選定・圧力計算のほか、支援構造の設計・施工管理などが含まれます。

電気系プラントエンジニア

電気系プラントエンジニアは、プラント稼働において欠かせない電力の供給・制御システムを設計・構築するのが役割です。具体的には、制御プログラムの設計や試運転まで携わることになるでしょう。電気工学や電子工学に関する専門知識が必須となります。

また、電気系プラントエンジニアは、高電圧の電気をエネルギーとして扱う「強電系」と、それ以外の「弱電系」に分野が分かれており、それぞれの専門技術者が現場を管理するケースがあります。

機械系プラントエンジニア

さまざまな機械設備の集合体であるプラントの基本設計・詳細設計と構築のほか、試運転や改良、保守管理などを担うのが機械系プラントエンジニアです。プラントの根幹となる機械設備に携わるため、機械工学系の専門知識が不可欠なのはいうまでもありません。

土木・建設系プラントエンジニア

土木・建設系プラントエンジニアは、プラントが建設される土地の基礎工事やプラントに付随する道路・鉄道・港湾設備など、インフラの設計・施工を担っています。プラント建設前の初期段階を担うため、土木工学に関する専門知識だけでなく、調整力も求められるのが特徴です。

プラントエンジニアの仕事内容

現場で様々なものをチェックするエンジニア

プラントエンジニアリング業界では、主に設計(Engineering)と調達(Procurement)、施工(Construction)のそれぞれの頭文字を取った、「EPC」という方式で事業を進めるのが一般的です。
ここでは、プラントエンジニアリングにおける仕事内容について解説します。

設計(Engineering)

プラントエンジニアは、プラントの事業化調査(Feasibility Study、略称FS)として、クライアントからどのようなプラントを建設または改修するのかをヒアリングし、プランや見積もりを提案します。これらの合意ができたところで、設計に入るのです。
設計は基本設計(Front End Engineering Design、略称FEED)と詳細設計に分かれており、基本設計で決めた大まかな設備・装置の配置図をもとに、詳細設計においてひとつずつ各エンジニアが設計します。

調達(Procurement)

プラントエンジニアは、部品や材料の調達も行います。各ベンダーに設備・装置を構成する機械の見積もりを取り、比較・検討しながら最適な機械を選定します。
納入された際には機械の仕様や性能などに関して検査を行い、設計図との整合性を確認するのもプラントエンジニアの仕事です。

建設(Construction)

プラントの建設もプラントエンジニアが担います。建設工事が計画どおりに進んでいるのか、設計図や工程表と照らし合わせながら、品質管理や工程管理などの施工管理業務を行います。プラントでは化学物質などの危険物を扱うことも多いため、作業員の安全管理も必須です。
施工管理には専門の国家資格が求められる場合もあるため、必要に応じて資格を取得しなければなりません。

試運転(Commissioning)

プラントエンジニアはプラント完成後には試運転を実施し、設計どおり正常に稼働するのかチェックを行います。試運転後に、クライアントの要望に応じて改修することも想定しなければなりません。
なお、EPCに試運転を含めて、「EPCC」と呼ばれることもあります。

保守管理(Maintenance)

プラントが完成したからといって、プラントエンジニアの仕事は終わりではありません。安定稼働するための保守管理も不可欠です。
プラントの競争力維持や法令順守のため、設備・装置の更新や改良・増設を行う場合もあります。

プラントエンジニアのやりがい

プラントで作業するエンジニアのイメージ

プラントエンジニアは、さまざまなやりがいがある仕事です。

例えば、人々の日々の暮らしに欠かせないエネルギーや製品を生み出すプラントを建てることへの、社会貢献意識が持てるのは、プラントエンジニアのやりがいとして挙げられます。

また、形として何十年も残る巨大なプラント建設に携わる喜びと、完成したときの達成感も得られるでしょう。
さらにいえば、専門性と難度の高い仕事に対する、高い報酬が得られることに強いやりがいを感じる方もいます。

プラントエンジニアに向いている人の特徴

プラントエンジニアという仕事は、どのような人が向いているのでしょうか。ここでは、プラントエンジニアに向いている人の特徴について解説します。

論理的思考力と計画性がある

プラントエンジニアに向いている人の特徴として、論理的思考力を持っていることが挙げられます。論理的思考力によって複雑な設計をしたり、さまざまなトラブルの発見やその解決策を見いだしたりすることができるからです。

また、計画的に物事を進める能力は、プロジェクトの進捗管理や工程の最適化に役立ちます。これらのスキルを持った方は、経験の有無にかかわらず、プラントエンジニアに向いているといえるでしょう。

コミュニケーションと調整に長けている

プラントエンジニアの仕事は一人で完結することができず、さまざまな専門知識を持つ関係者との連携が不可欠となります。そのため、プロジェクトに関する情報を常に連携・共有するためにも、コミュニケーション力を持っている方が求められるのです。海外でのプロジェクトには、英語によるコミュニケーション力も求められるでしょう。

また、多方面からの異なる意見や技術的な要求を調整する力も、プラントエンジニアには必要です。人の話をよく聞けて、バランス感覚を持っている方は未経験でも重宝されます。

最新の技術・知識に対する好奇心と向上心がある

技術の進歩が著しいプラントエンジニアリング領域において、プラントエンジニアには常に最新の技術・知識を習得しようとする好奇心と向上心が求められます。学ぶ意欲を強く持ち、自己研鑽を絶え間なく行うことで、より高度な問題解決や革新的な設計・施工を実現できるのが、その理由です。

たとえ未経験でも、好奇心や向上心、また探究心を持っている方は、プラントエンジニア向きといえるでしょう。

柔軟性と適応力を有している

プラントエンジニアの仕事は、クライアントやプロジェクトによって流れや進め方が大きく変わることが往々にしてあります。その中で、多様なニーズに対しても柔軟に対応することが求められるので、そのような柔軟性がある方は、プラントエンジニア未経験だったとしても適性があるといえます。

このほか、海外の現場のような未知の環境においても迅速に適応し、最適なソリューションを導き出すスキルがあると、プラントエンジニアとしては重宝されるはずです。

ストレス耐性と責任感がある

大規模かつ長期的なプロジェクトを担うこともあるプラントエンジニアには、ずれが許されない納期や慣れない土地での生活などに対する、高いストレス耐性が求められます。

また、プロジェクトや作業員の安全に対する責任感も、プラントエンジニアには欠かせない要素です。強靭なメンタルと強い責任感を持つ方にとって、プラントエンジニアは天職といえるかもしれません。その適性があれば、経験の有無は問われない場合があります。

プラントエンジニアリング業界の将来性

プラントエンジニアリング業界は国内外で成長しており、高い将来性があります。

国内においては、新規の案件自体は頭打ちになりつつあります。しかし、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造の工場の法定耐用年数は最長38年と定められており、今後は各地のプラントが耐用年数を超えるようになるため、年に1回、稼働を止めて行う定期修理(定修)だけでなく、建て替え需要が生じる可能性があるのです。そのため、プラントエンジニアの需要が、一気に大きく下がることは考えにくいでしょう。
なお、建て替えの際には、再生可能エネルギーの活用など、脱炭素社会にマッチしたプラントを建設することになるため、新たな技術の知識や理解が求められます。

一方で、今後成長することが見込まれているのが、海外のプラントです。すでに日系プラントエンジニアリング企業は、海外での売上比率が高くなっており、今後も中東や東南アジア、アフリカなどで、エネルギープラントを中心に数多く手掛けていくことになります。グローバルに活躍したい方にとっては、最適な環境といえるかもしれません。
ただし、英語によるコミュニケーション力や、異文化理解力が求められる点には注意が必要です。

プラントエンジニアの年収

プラントエンジニアの平均年収は、厚生労働省の職業提供サイト「jobtag」によれば、612.4万円です。この平均年収は、2024年3月公表の「令和5年賃金構造基本統計調査」の結果をもとにしています。ただ、日本企業の賃上げは続いており、平均年収も経験年数や保有資格のほか、勤務先などによっても異なってきます。

プラントエンジニアの特徴としては、海外プラントの建設に伴って、海外での長期赴任が多くなることです。海外での長期赴任となる場合、時間外手当だけでなく、長期赴任手当や勤務地手当などが付与されるため、年収が1,000万円を大きく超えるケースもあるでしょう。
国際貢献したいと考えている方にとっては高年収も得られるため、メリットが大きいといえます。

プラントエンジニアのキャリアパス

プラントエンジニアは多岐にわたる業務を担当しますが、どのようなキャリアパスが開かれているのかも気になるところです。ここでは、プラントエンジニアのキャリアパスを解説します。

スペシャリストとしての道を歩む

プラントエンジニアリングの、ある領域に特化して、専門知識と実務経験のほか、高い技術力を身に付けることで、スペシャリストとしての道を歩むことができます。
最終的にはチーフエンジニアとして、社内外から高い評価を得ることができるでしょう。

マネジメント職への昇進

現場での経験を活かし、プロジェクト全体を統括するマネジメント職を目指すことも、プラントエンジニアのキャリアパスのひとつです。初期段階では小規模なプロジェクトのリードエンジニアを務め、徐々に大規模プロジェクトのマネージャーや部門長へと昇進します。
このキャリアパスは、専門知識や技術力に加え、コミュニケーション能力やリーダーシップが求められます。

発注者側やコンサルタントへの転職

プラントエンジニアとしての知見を活かし、プロジェクトの上流である発注者側の企業に転職したり、コンサルタントとして働いたりする選択肢もあるでしょう。
プラントエンジニアで培った問題解決能力と論理的思考を発揮することで、より広いフィールドで活躍できます。

プラントエンジニアに必要となる資格

プラントエンジニアは、基本的に大学理系学部卒以上の知識が必要です。さらに、さまざまな資格を保有していると、キャリアの幅が広がります。未経験の場合でも資格を持っていれば、転職時に効果を発揮するでしょう。
プラントエンジニアの仕事に必要となる資格は、主に下記のようなものが挙げられます。

<プラントエンジニアに求められる傾向がある資格の例>

  • エネルギー管理士
  • 各種施工管理技士
  • 監理技術者資格
  • ガス主任技術者
  • 機械設計技術者
  • 危険物取扱者
  • 技術士
  • CAD利用者技術資格
  • 計装士
  • 高圧ガス製造保安責任者
  • 公害防止管理者
  • 電気主任技術者
  • 電気工事士
  • ボイラー技士

※50音順

これらの資格を1つでも保有していれば、プラントエンジニア未経験者でも転職時に有利になる可能性があります。
また、プラント建設は国内の地方や海外となるケースも多いため、普通自動車の運転免許証や一定以上のTOEICスコアがあれば、さらに好条件での転職が実現するかもしれません。

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笑顔の作業員のイメージ

好況ながら人手不足が叫ばれるプラントエンジニアリング業界において、プラントエンジニアには高いニーズがあります。専門知識は問われるものの、近年は未経験者にも大きく門戸を開いているのが特徴です。
プラントエンジニアは専門性が高いため、建設業界の中でもさらに高収入が得られる可能性が高く、海外などのスケールの大きなプロジェクトに携われるといったメリットもあります。さらに、企業規模が大きくなるに伴って、条件も良くなっていく傾向があるでしょう。

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