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オールケーシング工法の特徴。工法種類や施工手順を紹介

オールケーシング工法とは、ケーシングチューブを用いた掘削工法の一種です。
ケーシングチューブを土中に圧入して作業を行います。
オールケーシング工法は、主にどのような地盤やシーンで利用されるのでしょうか。

本記事では、オールケーシング工法の概要や種類、施工手順などをご紹介します。

オールケーシング工法とは

オールケーシング工法とは、ケーシングチューブを掘削孔全長に回転圧入しながら地盤を切削する工法です。
ケーシングチューブ内の土砂は、ハンマグラブで掘削・排土されます。
粗石、巨石、岩盤や地中障害物などを含んだ地盤でも施工ができます。

さらに、拡底杭工法と併用して施工することも可能です。
ケーシングチューブを全長にわたって使用するので、孔壁が崩壊する心配が少ないのが特徴です。
またケーシングチューブを回転・圧入するため、鉄筋コンクリートや鋼材などの切削なども可能です。
クサビ型チャック装置と最大級の回転力と引き抜き力を利用することにより、大深度施工も可能になります。

アースドリル工法との違い

アースドリル工法とは、ドリリングパケットを用いて掘削する工法です。
地下水の少ない粘性土層に適しており、礫層や砂利層の掘削は困難とされています。
オールケーシング工法はほとんどの土質に対応できるため、その点が大きな違いといえます。
さらに、オールケーシング工法はケーシングチューブを使用しますが、アースドリル工法は表面にケーシングチューブを使用し、深い部分にはベントナイト泥水を使用します。

オールケーシング工法の種類

オールケーシング工法には、主に以下の2種類があります。

全旋回式

全旋回式オールケーシング工法とは、ケーシングを全周回転させて掘削する工法です。
本体の周囲に回転反力取り用の重りを置かなくてもよいため、狭い現場でも施工ができます。

揺動式

揺動式オールケーシング工法は、ケーシングを円周方向に往復運動させ、油圧ジャッキで地盤に押し込みながら掘削する工法です。
支持層に達すると、鉄筋カゴに建て込みコンクリートを充填します。

オールケーシング工法の施工手順

掘削工事の現場

ここでは、オールケーシング工法の一般的な施工手順をご紹介します。

手順1:芯出し

杭の芯出しを行い、掘削位置を示します。
そして書かれた杭径の上にマシンをセットします。

手順2:掘削

ケーシングチューブの先端であるファーストチューブを建て、掘削を開始します。
所定深度までチューブを建て込んだら、掘削・排土を繰り返します。
ケーシングチューブが地中に入ったら、グラブバケットで土砂を掻き出します。

手順3:チューブを追加

壁の崩壊を防ぐため、掘削孔の底は原則としてチューブの下端よりも下にならないようにします。
ファーストチューブの全長を掘削し終わったあとは、チューブを継ぎ足し、掘削を繰り返すことで所定の深さまで掘削します。

手順4:鉄筋カゴの建て込み

支持層に達したあと杭底部のスライムを除去し、杭の外枠となる鉄筋カゴの建て込みを行います。

手順5:トレミー管の建て込み

上端に漏斗状の受け口を持ったトレミー管の建て込みを行います。

手順6:コンクリート打設

コンクリートを少しずつ打設します。

手順7:チューブ引き抜き

ケーシングチューブ1個分を打設後、チューブを引き抜きます。
これを繰り返してすべてのチューブを引き抜きます。

手順8:完成

すべてのチューブを引き抜いて地表面まで打設が終われば完成です。

オールケーシング工法の特徴や種類について知ろう

オールケーシング工法は、さまざまな地盤に対応している掘削工法です。
地中に障害物のある地盤でも施工が可能です。
ケーシングチューブを全長にわたって使用するため、高い施工精度を確保できます。
建設業界を目指す方は、特徴や種類について覚えておきましょう。