ダムと堰堤(えんてい)は、どちらも水をせき止めるという役割を持っています。
そのため、細かい違いについては知らない方もいるのではないでしょうか。
どちらも日々の安全な暮らしのためには欠かせないものです。
本記事では、ダムと堰堤の違いやそれぞれの役割、建設までの流れなどをご紹介します。
ダムと堰堤の違い
ダムと堰堤はどちらも水場に作られる構造物であるため、言い方が違うだけだと理解している人もいます。
しかしダムと堰堤では、細かい定義と役割が異なります。
まず、ダムと堰堤の大きな違いは高さです。
一般的に、15m以上の高さがあるものをダム、それよりも低いものが堰堤と呼ばれています。
またダムには貯水機能が備わっていますが、堰堤にはありません。
そのため、堰堤を使って発電することはできません。
ダムの役割
ダムの主な役割は、以下となります。
治水
川が氾濫したり枯れたりしないように、水の量を調節する役割を持っています。
また水の量を調整することで、水害を防ぎます。
ダムは堤防から氾濫した水を貯水池に貯め込み、安全な量だけを放流します。
そのため、下流地域を洪水被害から守ることができます。
この役割はダムによる「洪水調整」と呼ばれています。
利水
生活用水を始め、畑や工場などで利用される水を届ける役割も果たしています。
河川の流量が十分な時にはダムに水を貯留しておき、水が不足している場合には不足分を放流します。
利水機能によって、雨の量に左右されることなく水を使うことができます。
また、渇水調整が行われる場合もあります。
渇水調整とは、河川の流量が少なくなり水道水の取水が困難になった際に、河川管理者と利水者が使用量の制限(節水)や取水制限を行うことです。
ダムの水を大事に使うことで、被害を軽減します。
発電
貯水池に貯めた水が流れ落ちる力を使い、発電することができます。
ダムから流れた水は海にたどり着き、やがて雨となってダムに戻ってくることから、水力発電は再生可能エネルギーに分類されています。
化石燃料を使わない発電方法として注目されています。
流水の正常な機能維持
川の水が少なくなった際にも、船が安全に航行できたり、生き物が安心して暮らせるように水質を維持する機能です。
適切な環境を維持することで、水辺周辺の環境を整えています。
近年では、ダム建設時にダムの周辺環境についても調査を行い、環境に必要な対策などが行われています。
またダム周辺は自然が豊かな場所が多いことから、自然と人が触れ合えるような環境整備なども行われています。
堰堤の役割
堰堤の主な役割は、以下となります。
土砂災害を防ぐ
堰堤の主な役割は、土砂災害を防ぐことです。
堰堤はダムよりも小規模なため貯水することはできませんが、水をせき止めることはできます。
河川に作られたものは普段はゲートが閉じていますが、洪水の時にはゲートを開けて水量を調節します。
砂防堰堤の役割
砂防堰堤とは、山の斜面や川底・河岸などから流出した土砂を貯めるために作られる堰堤です。
川の水の流れを緩やかにしたり、斜面崩壊や川の浸食を防ぐ役割を持っています。
一度に大量の土砂が下流に流れ出ないようになっており、大規模な災害を防ぐことにつながります。
渓岸部では、砂防堰堤に土砂が貯まることで、川底が上がり、山崩れなどの防止につながります。
また川幅が広くなることで、水の流れを遅くできるでしょう。
ダムと堰堤それぞれの役割を知っておこう
ダムと堰堤はどちらも水をせき止めていますが、細かい役割などに違いがあります。
またダムと堰堤では、適用される法律が異なるのも特徴です。
それぞれの役割について理解しておきましょう。