産業廃棄物を処理する際に必要な書類の1つが、産業廃棄物管理票「マニフェスト」です。
産業廃棄物のルールは廃棄物処理法として明確に定められており、この書類によってどのような処理がされたのかを分かるようにしなくてはいけません。
本記事では、マニフェストの概要や産業廃棄物の種類、マニフェスト記入の流れや書き方などをご紹介します。
建設業界のマニフェストとは
建設業界の産業廃棄物管理票(マニフェスト)とは、排出事業者が産業廃棄物の処理を依頼する際に、産業廃棄物の種類や形状・荷姿、数量、委託先の収集運搬業者名、委託先の処分業者名などを記載した書類のことです。
産業廃棄物の処理の流れを把握・管理することで、廃棄物の適切な処理を確認します。
また産業廃棄物が適正に最終処分されたことを確認できたり、収集運搬業者や処分業者に廃棄物の注意事項などを確実に伝えたりできるなどのメリットもあります。
マニフェストで産業廃棄物を管理することは、廃棄物処理法によって定められています。
排出事業者や収集運搬業者、処理業者には一定の義務が課せられているため、違反すると罰則を受けることになります。
産業廃棄物の種類
産業廃棄物は大きく以下の2種類に大別されます。
安定型産業廃棄物
安定型産業廃棄物とは、安定型最終処分場で埋め立て処分できるものを指します。
- がれき類
- ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず
- 廃プラスチック類
- 金属くず(鉛を含んでいないもの)
- ゴム
管理型産業廃棄物
管理型産業廃棄物は、安定型最終処分場で埋め立て処分できないものを指します。
- 汚泥
- ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず(有機性のものが付着・混入したものなど)
- 廃プラスチック類(有機性のものが付着・混入したものなど)
- 金属くず(有機性のものが付着・混入したものなどや鉛を含んだもの)
- 木くず
- 紙くず
- 繊維くず
- 廃油
- 燃え殻
産業廃棄物管理票の流れ
産業廃棄物管理票(マニフェスト)は、以下の流れで作成します。
- 必要事項の記入
- 引き渡しの控え(A票の受け取り)
- 控えの保存
- 中間処理業者、最終処分業者への引き渡しの確認
- 中間処理業者からの処分終了通知の受け取り
- 中間処理業者から最終処分完了通知を受け取り
- 処分を確認・保存
1.必要事項の記入
排出事業者は、7枚複写のマニフェストに必要事項を記入します。
交付担当者のサイン後、産業廃棄物と共に7枚すべてを収集運搬業者に引き渡します。
2.引き渡しの控え(A票の受け取り)
収集運搬事業者に産業廃棄物を引き渡す際には、互いに記載事項の確認をします。
収集運搬担当者のサインまたは押印、車番・車種を記入してもらい、控えのA票を受け取ります。
3.控えの保存
A票は確実に保存しておきます。
4.中間処理業者、最終処分業者への引き渡しの確認
中間処理業者または最終処分業者に引き渡した確認として、処分受託者名と処分業者の受領担当名が記入されたB票を受け取ります。
5.中間処理業者からの処分終了通知の受け取り
委託先が中間処理業者の場合、産業廃棄物の中間処理が終了すると、D票が送られてくるので受け取ります。
6.中間処理業者から最終処分完了通知を受け取り
中間処理業者から最終処分終了日、処分を行った場所の所在地と名称が記載されたE票が返送されるので確認・保存します。
7.処分を確認・保存
D票とE票をA票と照合し、指示通りに処分が行われたかを確認します。
産業廃棄物管理票の書き方
建設業の産業廃棄物管理票は、以下の内容を記載します。
- 産業廃棄物が発生した日付
- 排出事業者の住所・氏名もしくは名称・電話番号
- 排出場所の住所と現場名、電話番号
- 排出する廃棄物の種類、単位、数量を記入
- 該当項目がなければ斜線、委託契約を交わしていれば「委託契約書記載のとおり」にチェックを入れる
- 1つ目の収集運搬業者の住所・氏名または名称・電話番号、積替保管の有無、運搬車両情報
- 2つ目の収集運搬業者の住所・氏名または名称・電話番号、積替保管の有無、運搬車両情報
- 運搬先事業所の住所・名称・電話番号・処分方法
- 処分業者の住所・氏名または名称・電話番号
- 積替保管がある場合は記入する
- 運搬業者の会社名・作業者名(サインもしくは印鑑を押印)
マニフェストを理解しておこう
建設業界におけるマニフェストは、産業廃棄物の適切な処理のために欠かせない書類と制度です。
マニフェストについて、きちんと理解しておきましょう。