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RC造の「定着」と「継手・ガス圧接」。特徴を解説

RC造の建築物を作る際に、「定着」「継手・ガス圧接」という単語を耳にしたことがある方は
多いのではないでしょうか。
専門用語なので、分かりにくいと感じている方も多いと思います。

本記事では、「定着」「継手・ガス圧接」の概要や特徴について解説します。

RC造の「定着」

RC造の「定着」とは、鉄筋がコンクリートから抜け出さないように挿入することを指します。
定着には、「直線定着」と「フック付き定着」があります。
直線定着は、鉄筋をまっすぐのまま挿入することです。
フック付き定着は、鉄筋を曲げて挿入することで、フックを付ける分鉄筋が抜け出しにくくなります。

定着の長さとは

鉄筋の定着長さは、コンクリートの設計基準強度や鉄筋系、鉄筋の材質によって決定されます。
設計基準強度が大きいほど、定着長さは短くなります。
また、材質が高強度になるほど、定着長さは長くなるとされています。
定着長さは「40d(dは鉄筋径)」で表現されます。
そのため、鉄筋径が大きいほど、定着長さも長くなるのが特徴です。

定着とアンカーボルト

アンカーボルトの定着も、鉄筋の定着と目的は似ているとされています。
災害時などでアンカーボルトがコンクリートから抜け出さないよう、必要な長さ分だけ埋め込みます。

RC造の「継手・ガス圧接」

RC造

鉄筋の継手とは、2つの鉄筋を1つに接合することを指します。
継手は、鉄筋の長さに関係しています。
鉄筋の長さは、標準で12m以下の製品を作るように設計されています。

しかし、建物の構成する部材は12m以上になることも多いため、
鉄筋を分割し継手でくっつけることにより鉄筋の長さを伸ばすのです。
継手の一種に重ね継手がありますが、コンクリートの設計基準強度、鉄筋の強度で決定されます。
鉄筋同士を溶接するのではなく、配筋時にバラバラならないように結束線で束ねます。
太径の鉄筋(D19以上)は重ね継手ではなく、「圧接継手」という手法が用いられるのが一般的です。

重ね継手の長さの決め方

継手の長さは、コンクリートの設計基準強度、鉄筋の強度によって決定されます。
鉄筋Aに作用する応力が、鉄筋Bに適切に伝わっている必要があります。
しかし、コンクリートに打設して固まると、
鉄筋Aの応力はコンクリートの付着力を介してから、鉄筋Bに伝わります。
この時の、計算式は以下とされています。

Lを継手長さ、σbが鉄筋に作用する応力度、dbは鉄筋の呼び径、faは許容付着応力度とすると
一次設計時の継手長さは「L=σb×db/(4×fa)」という計算式になります。

ガス圧接とは

太径の鉄筋(D19以上)は重ね継手ではなく、「圧接継手」という手法が用いられるのが一般的です。
鉄筋のガス圧接は、接合端面を突き合わせ、圧力を加えながら接合部を1,200~1,300℃に加熱し
赤熱状態でふくらみを作って接合する方法です。
圧接の作業を行うには、「ガス圧接技量資格」が必要となります。
資格は鉄筋の径別に1~4種類まであり、作業可能な鉄筋径が決められています。

ガス圧接には、主に以下の3つの種類があります。

手動ガス圧接
最も一般的なガス圧接方法で、ガス圧接機を使いながら手動で加熱と加圧を行います。

自動ガス圧接
加熱・加圧などの作業を、ガス圧接機を使って自動で行う方法です。
高精度で複雑なため、取り扱いには経験と技術が必要です。

熱間押抜法
手動ガス圧接後に、作られたふくらみをせん断除去します。
主に接合部の欠陥を検査するために用いられます。

定着と継手・ガス圧接を知ろう

定着は、鉄筋がコンクリートから抜け出さないように挿入することです。
また、RC造で必要な鉄筋はそのままでは長さが足りないこともあるため、
継手やガス圧接で長さを伸ばすことがあります。
ガス圧接には、資格が必要なので知っておきましょう。