型枠工事は、コンクリートを使用する工事をする際に必要な手順の一つです。
建物の骨組みを鉄筋や鉄骨で作り、周りをパネル板で覆い、中にコンクリートを流し込んで鋳造します。
本記事では、型枠計画図・型枠工作図、せき板、透水型枠、セパレーターなど、
知っておきたいポイントやそれぞれの役割についてご紹介します。
RC造の型枠工事「図面」「せき板」「透水型枠」
ここでは、RC造の型枠工事に関わる「図面」「せき板」「透水型枠」について紹介します。
図面
型枠工事の図面には、型枠計画図と型枠工作図があります。
設計図書の図面を見ながら、施工者が躯体図を起こします。
躯体図から、パネル割やセパレーターの位置、支保工位置などを記したものが型枠計画図です。
そして、合板と桟木などの組み合わせ方を書いたものが、型枠工作図です。
施工者はこの図面を工事監理者に提出します。
せき板
せき板は、生コンをせき止める板のことです。
特記が無い場合、厚さは12㎜です。
木製のせき板は、コンクリートパネル(コンパネ)とも呼ばれています。
透水型枠
透水型枠は、コンリート表面の余剰水や空気を外に出せるように作られた型枠です。
生コンは、打つ際に余った水や空気が溜まりやすくなります。
透水型枠を使用しますと織布と孔から余分な水や空気を外の出せるため、
コンクリート表層部を緻密にできます。
RC造の型枠工事「セパレーター」「端太材」「パイプサポート」「鋼管枠」
ここでは、RC造の型枠工事に関わる「セパレーター」「端太材」「パイプサポート」「鋼管枠」について紹介します。
セパレーター
セパレーターは、せき板の間隔を保持する金具のことです。
セパレーターには、コンクリート面が打放し、仕上げありの違いにより
B型、C型、BC型の種類があります。
端太材
端太材(ばだざい)は、せき板の外側に付けて補強する材のことです。
木製角材、鋼製パイプ、鋼製角パイプなどを用います。
パイプサポート
パイプサポートとは、高さを調整できるパイプの支柱のことです。
1~1.2mの間隔に並べ、スラブや梁の型枠を支えます。
2本まで継ぐことができ、4本のボルトか専用の金具で留めます。
鋼管枠
鋼管枠(枠組式支保工)は、枠組足場を支柱とするものです。
主に天井の高いホールや体育館などで用いられます。
枠組足場と同様に、最上階と5層以内ごとに水平つなぎを入れます。
RC造の型枠工事「足場」「ターンバックル」「腰壁」

ここでは、RC造の型枠工事に関わる「足場」「ターンバックル」「腰壁」について紹介します。
足場
足場は、倒れないように何mかおきに壁つなぎを付ける必要があります。
しかし、型枠とつないでしまうと、足場の上を歩くたびに揺れて、型枠がひずむ可能性があります。
そのため、型枠と足場はつながないようにしましょう。
ターンバックル
ターンバックルとは、回転させ、長さを調節して締める金具のことです。
コンクリートスラブに、事前にU字型の金具を埋め込み、型枠との間に斜めに鎖をかけた後に
ターンバックを回して型枠が動かないようにします。
水平や垂直の位置の調整を行うことを「建入れ直し」と呼びますが、
鎖とターンバックルでも建入れ直しを行います。
また、鉄骨の建て方の建入れ直しでも、ターンバックルが活躍します。
腰壁
腰壁は、腰位の高さを目安に仕上げた壁のことです。
窓下の腰壁上部にコンクリートが回るようにするには、型枠中央部に空気孔を開けるか、
中央部からもコンクリートを入れます。
窓下の腰壁は、生コンが回り込みにくく、空気が溜まりやすいとされています。
そのため、小さな窓では腰壁上端中央部から空気孔を開けて空気を抜けやすくしたり、
生コンを片方から押して空気が溜まらないなどに工夫を凝らします。
RC造の型枠工事「柱型枠」「スリーブ」「スペーサーの確認」
ここでは、RC造の型枠工事に関わる「柱型枠」「スリーブ」「スペーサーの確認」について紹介します。
柱型枠
柱型枠の足元は、コンクリートの圧力でズレないように桟木で固定します。
柱型枠の足もの部分は、生コンの側面方向にかかる圧力が、最も大きいとされている部分です。
そのため、桟木などで補強し、床スラブにもしっかり固定します。
合板だけの場合、生コンの圧力で外側にズレる可能性があります。
スリーブ
スリーブの型枠は、鋼板、硬質塩ビ管、紙管などを動かないようにしっかりと取り付け、
切断面にコンクリートが入らないように蓋をします。
スリーブ周囲には補強の鉄筋を入れ、スリーブの孔が構造上の弱点にならにように気を付けます。
地中部分で水密を要する場合は、スリーブ管とコンクリートの隙間から水が入りにくいように
つば付きの鋼管を用います。
鋼はコンクリートと一体化してくっつくため、塩ビよりも水が入りにくいのが特徴です。
スペーサーの確認
スケールや定規などを用いて、スペーサーが配置されていることを確認します。
かぶり厚さは非常に重要なため、コンクリートを打つ前に必ず測定します。
手の届かない場所は、スペーサーが入っていることを目視で確認しましょう。
RC造の型枠工事で知っておきたいポイントを抑えよう
RC造の型枠工事には、さまざまな手順や資材などが用いられています。
多くのことを覚えなくてはいけませんが、一つでも間違ってしまうと
大きなトラブルにつながってしまう可能性があります。
本記事で紹介したポイントや役割は抑えておきましょう。