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RC造の空気量と塩化物。高性能AE減水剤と塩化物イオンとの関係

RC造に欠かせないコンクリートには必ず「空気」が入っており、
その量により強度や耐久性が変化します。
空気の量が多いほど強度は低くなりますが、寒暖差や酸化、膨張圧縮といった劣化に強くなるため、
適切な量に調整する必要になります。

そこで本記事では、コンクリートと空気に関わる用語、塩化物イオンとの関連性について解説します。

AE剤とコンクリート

通常、コンクリートは工場でセメントや水、骨材といった原料を混ぜ合わせて作成します。
コンクリートミキサーという機械で各原料を練り混ぜるのですが、
この時コンクリート内部に一定量の空気を含んでしまいます。

このようなコンクラフト内部に含まれている空気の量を「空気量」といいます。
前述のように空気量は、コンクリートをはじめRC造の建物の強度や耐久性にも関わる重要な数値なので、
JIS(日本産業規格)によって「4.5%±1.5%」に定められています。

コンクリートに含まれる空気を調整するために利用されるのが混和剤の一種「AE剤」です。
AE剤の主成分は界面活性剤であり、コンクリートに混ぜることで
空気泡をコンクリートの中に入れることができます。

適切に使用することで、コンクリートの性質である「ワーカビリティ」が向上するほか、
コンクリート内部の水が凍った際に起こる「凍結融解作用」に対する抵抗性が上がります。
さらに、水密性も向上するためコンクリートの表面からの異物の侵入を防ぐことも可能です。

エントラップエアとエントレインドエア

AE剤を用い、意図的に生成した空気泡(気泡)のことを「エントレインドエア」といいます。
エントレインドエアは微細で一つひとつが独立していることが特徴です。

一方、「エントラップトエア」はコンクリートを製造する際などに自然に混入する空気です。
エントレインドエアと比べるといびつな形状で、コンクリートに悪影響を及ぼす気泡です。

高性能AE減水剤と塩化物イオン

ここでは、高機能AE減水剤および塩化物イオンについて解説します。

高性能AE減水剤

高性能AE減水剤は、通常のAE剤よりも高いワーカビリティを得られる混和剤です。
通常のAE剤にはない「空気連行性能」を有するほか、
単位量あたりの水量を増やすことなく、一定のスランプ値を保つ「減水性能」も備えています。

普通コンクリートの製造時に混入していた通常のAE剤と高性能AE減水剤を入れ替えるだけで、
単位水量や水セメント比を変えることなく「流動化コンクリート」を得ることができます。

出典:国土交通省四国地方整備局「高性能 AE 減水剤を用いた流動化コンクリート配合設定の手引き(案)

塩化物イオン

塩化物イオン(塩分)は、コンクリートの構造物に「塩害」を引き起こす原因となります。
塩化物イオンがコンクリートに供給される仕組みにより、コンクリートの材料に塩化物イオンが含まる場合の「内在塩分」と凍結防止剤や海水などによる「外材塩分」に大別できます。

塩害が発生するとコンクリート内部の鉄筋が腐食して膨張してしまいます。
その結果、コンクリートが内部から押し出されてしまい、ひび割れなどが発生してしまいます。

コンクリートの温度設定

コンクリート

フレッシュコンクリートを打ち込む時間は温度によって異なります。
例えば、25度を超える場合は90分、25度以下の場合の打ち込み時間は120分、
打重ね時間はそれぞれ150分、120分です。

コンクリートと空気量に注意しましょう

コンクリートの空気量について解説しました。
コンクリートは非常にデリケートで、空気量や温度などによって品質が大きく左右されます。
打設などの作業時も養生などコンクリートを保護する工程を疎かにしないようにしましょう。