コンクリートに関わる「強度」については、様々な角度から見ることができます。
それに伴い、コンクリート強度の基準の決められ方も変わります。
本記事では、コンクリートの設計基準強度Fcや耐久設計基準強度Fd、品質基準強度Fqや調合管理強度Fmの基準や求める方法を解説します。
コンクリートの設計基準強度Fc
コンクリートの設計基準強度Fcは、構造設計の基準となる強度です。
Fcは構造設計者が求め、さらにFcから長期・短期の許容応力度を求めます。
続いて安全性を確かめるために、各部の応力度が算出した長期と短期の許容応力度以下かチェックします。
また、Fcから調合強度も算出します。
コンクリートの耐久設計基準強度Fd
コンクリートの耐久設計基準強度Fdとは、日本建築学会出版のJASS5の耐久性能から決まる強度のことです。
Fdの単位には、ニュートン毎平方ミリメートルを用います。
つまり、1辺が1ミリメートルの正方形にどれぐらいの力が加わったかを表します。
コンクリートの耐久設計基準強度Fdは、以下のように計画供用期間の級ごとに数値が異なります。
- 短期供用級:18
- 標準供用級:24
- 長期供用級:30
- 超長供用級:36
また、計画供養期間とは生コンを使える目安期間です。
以下のように計画供用期間の級ごとに、計画供養期間が定められています。
- 短期供用級:およそ30年
- 標準供用級:およそ65年
- 長期供用級:およそ100年
- 超長供用級:およそ200年
つまり、計画供用期間の級が上がるほど生コンの強度と耐久性も上がるため、
生コンを使える目安期間である計画供養期間が長くなることが分かるでしょう。
コンクリートの品質基準強度Fq
コンクリートの品質基準強度Fqとは、コンクリートの品質の基準値となる強度のことです。
FcとFdの両方を満足させる必要があるため、FcとFdのどちらか大きい方の数値をFqの数値とします。
例えば、Fcが20、Fdの長期が30の場合、Fqの数値は30です。
また、Fqの単位にはニュートン毎平方ミリメートルを用います。
コンクリートの調合管理強度Fm
コンクリートの調合管理強度Fmとは、コンクリートの調合の管理基準となる強度です。
建物の構造体コンクリートの強度がFqを満足させるように、調合を決めなければなりません。
ただし、調合を決めるためにはFmを求め、打設から28日標準養生した供試体が満足する強度を知る必要があります。
つまりFmが決まれば、品質基準強度Fqを満足させる建物の構造体コンクリートの調合が決まります。
Fmの求め方はFqに構造体強度補正値Sを加えて求め、Fmの単位にはニュートン毎平方ミリメートルを用います。
例えば、Fqの数値が30、Sの数値が3の場合、Fmは33ニュートン毎平方ミリメートルです。
構造体強度補正値S
構造体強度補正値Sの数値は、3と6の2種類です。
3と6のどちらを選ぶかは、セメントの種類と打設から28日までの予想平均気温シータに応じて選びます。
例えば、普通ポルトランドセメントを使い、予想平均気温シータが8度以上の場合は、
構造体強度補正値Sの数値は3です。
また、予想平均気温シータが0度以上8度未満であれば、構造体強度補正値Sの数値として6を選びます。
そして、予想平均気温シータが25度を超える期間は、構造体強度補正値Sの数値は6です。
構造体コンクリート強度
構造体コンクリート強度の検査では、1回の試験において適切な間隔をとった3台の運搬車から1個ずつ供試体を採取します。
供試体は3本で1セットとし、28日間養生した供試体1セットの平均強度がFm以上かどうかを確認します。
また構造体コンクリート強度の検査にて、JASS5が定める1回の試験を行う1単位(ロット)は以下です。
- 打ち込み日ごと
- 打ち込み工区ごと
- かつ150立方メートルまたはその端数ごと
そして、標準養生した材齢28日の供試体3個の平均強度がFm以上であることを確認できた場合は、
構造体コンクリート強度の検査に合格です。
JASS5では、91日間養生した建物本体の構造体コンクリート強度がFq以上を満たすための規定として、
上記の合格条件を定めています。
RC造のコンクリート強度について知ろう
コンクリートの設計基準強度Fcは構造設計の基準となる強度、
また耐久設計基準強度FdはJASS5の耐久性能から決まる強度です。
コンクリートの品質基準強度Fqの数値として、FcとFdのどちらか大きい方の数値を使用します。
調合の管理基準となる強度であるコンクリートの調合管理強度Fmの数値は、
Fqに構造体強度補正値Sを加えた数値です。
構造体コンクリート強度の検査では、28日間養生した3本1セットの供試体の平均強度がFm以上であれば合格することを覚えておきましょう。