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これからの建設機械に期待されること。メリットと実現に向けた課題

近年、建設業界において無人化やCO2を排出しない燃料で動く建設機械などが登場しています。
本記事では、遠隔操作による無人化施工の実現、脱炭素社会に繋がる「水素」を活用した燃料電池フォークリフト、洋上風力に使用される建設機械などをご紹介します。

遠隔操作による無人化施工

日本では無人化施工自体の歴史は古いものの、コストやオペレーションの面でなかなか浸透しませんでした。
しかし近年では、技術の進歩により徐々に課題は解消されつつあります。
日本初の無人化施工は、1969年の富山県にある富山大橋の応急復旧工事です。
この時に初めて、有線リモコン方式の水陸両用のブルドーザーが用いられました。

その後はラジコン装置を操作できるオペレーターの確保などが困難だったことや、
大型車両の確保が難しいという課題があり、浸透はしませんでした。
しかし現在では、CAN式制御を用いてレバーに信号を入れ、
操作情報を無線LANで飛ばすことが可能になりました。

また、インターネットや専門回線を用いてリアルに遠隔操作するシステムが開発されました。
これにより、約1,000km離れた油圧ショベルの操作も可能となったのです。

燃料電池フォークリフトの展望

最近では、燃料電池で動くフォークリフトも登場しています。
燃料電池フォークリフトは設備ネットワークを必要としないため、燃料電池車よりも有望視されています。

水素は理論上無限にあるため、資源の少ない日本では石油に替わるエネルギーとして期待されています。
しかし、水素は1次エネルギーではなく、化石燃料から取り出すか
再生可能エネルギーを使い電気分解しなければなりません。
加えて、1㎏あたり1,200円程度となるため、ハイオクガソリンと同水準となってしまいます。
そのため、車両にはまだ導入しづらいのが現状です。

フォークリフトは、建設工事現場において資材の搬入や搬出などに用いられています。
限られたエリアで稼働するので、水素充填設備の整備ハードルが低くなり、
自動車よりも早く見込まれているのです。
日本政府が発表している「水素・燃料電池戦略ロードマップ」によると、
2030年度までに燃料電池フォークリフトを1万台程度普及させるとしています。
車両、水素充電設備そして水素の価格の低下によっては、広く普及する可能性を秘めているのです。

出典:経済産業省「水素・燃料電池戦略ロードマップの達成に向けた対応状況

洋上風力に使用される建設機械

洋上風力

近年、洋上風力発電に関する法整備が整ったため、大量導入が見込まれています。
日本の再生可能エネルギーの比率は高まっており、2030年には約22~24%の目標を掲げています。
その切り札とされているのが、洋上風力の大量導入です。
風力は太陽光と比べ、昼夜・晴雨問わずに発電できますが、安定して風が吹く場所を確保する必要があります。

また、日本では台風が多いため、発電設備の倒壊や部品の脱落、飛散による事故を防ぐための対策が必要です。
その上、現在風力発電施設は北海道と東北に偏っているので、
電気が余った場合は他のエリアに融通する必要が求められます。

建設機械の導入

日本の建設会社は、大型の着床式洋上風力発電建設の受注を見込んでおり、SEP船の建造を始めています。
これには欧州メーカーのクレーンや掘削機などが搭載されていますが、
部材のつり上げや組み立てに用いるクレーンは日本メーカーも参入のチャンスがあると考えられています。

これからの建設機械について知ろう

日本では、燃料電池フォークリフトや洋上風力に使用される建設機械への参入が期待されています。
これからは、脱炭素社会へ進んだり、人材不足から無人化が進んだりなど
さまざまな変化があると考えられているため、今後の動向について注視することをおすすめします。