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整枝剪定のポイントと手順。基本知識を身につけよう

整枝剪定は専門的な技術で、知識やスキルが必要とされます。
また、樹木に関するメカニズムについても知っておく必要があるでしょう。

本記事では、剪定前に知っておきたい樹木の基本や剪定について、
剪定の方法や手順、生け垣・玉物手入れなどをご紹介します。

剪定前に知っておきたいこと

整枝剪定前に、まずは樹木の活動メカニズムについて知っておきましょう。
樹木は、水と光と二酸化炭素によって活動・成長します。
この基本的なメカニズムを知ることで「どこに植えたらいいのか」「どこをどう剪定したらいいのか」
「どの肥料を与えたらいいのか」といった問題解決の助けとなるでしょう。
たとえば、樹木の下部は上部に比べて日当たりが悪いので成長しづらい傾向にあります。
そのため、下葉を大切にする必要があるのです。
また、根が腐ったり成長が妨げられたりすると水分が吸収できなくなるため、
光合成することが難しく樹木が衰弱してしまいます。

さらに、樹木の治癒能力についても知っておくとよいでしょう。
樹木には幹から出た枝の基部や二股になった幹の基部などには
「ブランチカラー」や「バークリッチ」と呼ばれている組織があり、これが樹木の再生に関係しています。
枝を切断する際には、ブランチカラーを傷つけないようにしましょう。
傷つけると、傷を治そうとする「カルス」という組織の効果が期待できなくなってしまいます。

剪定とは

剪定とは、樹木本来の特性を活かし、美しい樹形を作る作業を指します。
植栽の下層部の日当たりを良くしたり風通しを良くしたりすることで、
樹木だけでなく地被植物まで健全に育成できる環境を作りだします。

さらに、病や虫害の発生を予防するためにも必要な作業です。
そして、新しい枝を多く発生させることで樹勢を増大し、
樹木を若返らせるようにバランスを考えて幹枝を切り、成長をコントロールします。

剪定の方法には以下が挙げられます。

1.刈り込み
葉のついている表面全体を刈り込み、ハサミで切り詰める方法です。
主に、ツゲ、カイズカイブキ、ベニカナメモチ、ツツジ、サツキ類などがあります。

2.枝透かし
不要な枝を切り、日照と風通しを良くする方法です。
小透かしと大透かしがあり、小透かしは1年に1~2回行います。
大透かしは、隔年または何年かに1回行いましょう。

3.切り戻し
樹形を小さくしたり、大きさを維持したりします。

4.枝おろし
幹や大枝を切り取る作業を指します。

剪定の手順



ここでは、基本的な剪定の手順についてご紹介します。

1.高さを決める

中高木の場合、剪定する高さを決めてそこから下に剪定します。
不要枝の除去が選定の基本となります。

また、三葉透かしという方法もあります。
三葉透かしは、一年枝の基部に榛葉を3枚ずつ残します。
ただし、樹木によって顧客の要望によって変える必要があるため、
基本は頂上付近の透かしの濃淡を全体で踏襲させます。

2.新葉を残す

剪定の際には、できるだけ新葉ややわらかい葉を残し、小枝の途中で切れないようにしましょう。

3.樹形を見ながら剪定する

樹木が美しく見えるように剪定します。
上から下へ外側も見ながら選定を行います。

4.枝が引っかかっていないか確認する

剪定の際に切った枝が樹木に引っかかっていないか確認します。
引っかかっていたら落としながら、掃除のために再度登ることのないようにします。

生け垣・玉物の刈り込み

ここでは、生け垣・玉物の刈り込みについてご紹介します。

生け垣の刈り込み

1.生け垣の形を確認する
生け垣では直線が出るようにすると綺麗に見えます。
コバ(角)を少し取ると良いでしょう。
この時、腹が膨らんだり、反り返ったりしないようにします。

2.枯れ枝を除去する
生け垣の中に葉が枯れた部分があったり、穴が開いたりした部分の枯れ枝を除去します。
その際、近くに入れる枝を誘引すると穴が塞がります。

3.カイズカイブキの確認をする
カイズカイブキは先祖返りと呼ばれるもので、杉の葉に似たものが発生することがあります。
特に、強い剪定をした後に発生しやすいといわれています。
手入れの際は、こまめに取り除きましょう。
放置すると本来のカイズカイブキの葉が負けてしまい、先祖返りした葉が大きく広がる可能性があります。

玉物の刈り込み

1.曲線を出すようにする
玉物は曲線を出すように刈り込むと美しいラインになります。

2.蓑笠のように面を合わせる
玉の下のラインは、蓑笠のように面を合わせて刈り込むと美しく見えます。
また、笠の向きも同方向になるようにしましょう。

3.枯れ枝を除去する
玉の中で葉が枯れて穴が開いているものは、枯れ枝を除去して近くにある枝を誘引して穴を塞ぎます。

整枝剪定の基本について知ろう

整枝剪定には、樹木のメカニズムから剪定の基本のやり方、美しく見えるラインなど
知っておきたいことが数多くあります。
覚えることは多いですが、美しい樹木や庭を作るためには大切な知識です。
造園施工管理職を目指す方は、ぜひ覚えておくことをおすすめします。