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電気設備の設計図の基本。見方や作成方法のポイント

電気設備の設計は、新築工事や増築工事、改修工事などの建築工事を行うもののほかに、
電気設備の改修だけを行う場合もあります。
本記事では、電気設備の設計(主に新築工事で用いる設計図)における、作図の準備段階で知っておきたいことをご紹介します。

電気設備の設計図

電気設備の設計図には以下があります。

電気設備概要書
工事概要書や特記仕様書には、電気設備の工事項目が記されます。
また、工事区分も明記します。
図記号表には、設計図の中に出てくる図記号をまとめて記載します。

受変電設備図
平面図、系統図、キュービクル外形寸法図など

発電機・蓄電池設備図
平面図、系統図、機器図など

幹線設備図
平面図、系統図のほかに詳細図を添付することもあります。

動力設備図
平面図、系統図、制御盤図

電灯コンセント設備図
平面図、分電盤図

照明器具図
記号表にする場合もあります。

弱電設備図
平面図、系統図、機器図

自動火災報知設備図
平面図、系統図

避雷設備図
立面図、平面図

運搬機械設備図
エレベーター、エスカレーター設備

作成ポイント

設計図を作成するときは、基本計画を綿密に立てることが大切です。
また、以下のポイントも気を付けましょう。

工程と必要な図面
提案用、打ち合わせ用、概算見積もり用、明細見積もり用、申請用などさまざまな種類の図面があります。
最初からすべての図面を作るのではなく、必要なタイミングで効率よく進めることが大切です。

図面の整理
CADデータによって、設計図から施工図、竣工図などにデータが効率よく利用できます。
その際、建築図や空調、衛生設備図などとの整合性を図れるようにルールを明確化しましょう。

作成年月日、変更年月日の記載
設計図は後から変更されることが多いので、発行・変更した場合は、発行日・変更日を明記しましょう。

図面リストと見方

各種図面リストはすべて入手するのが望ましいです。
ただし、ほかの図面も電気設備の設計と並行して作成されているため、
最低限必要とされる平面図や断面図、配置図は早めに入手しましょう。
図面リストには以下が挙げられます。

1.意匠設計図面

  • 設計概要書
  • 特記仕様書
  • 室内仕上げ表
  • 付近見取り図
  • 敷地図、敷地求積図
  • 建物求積図、面積表
  • 配置図
  • 平面図
  • 立面図
  • 断面図
  • 矩計図
  • 階段詳細図
  • 平面詳細図
  • 断面詳細図
  • 各部詳細図
  • 展開図
  • 天井伏図
  • 室内仕上げ図
  • 部分詳細図
  • 建具図、表
  • 外構図

2.構造設計図面

  • 杭伏図
  • 基礎伏図
  • 一般階床伏図
  • 屋根伏図、塔屋伏図
  • 軸組図
  • 基礎リスト(杭、耐圧スラブ、土間コンクリートなど)

早期に電気設備設計者から申し入れるべき事項には、以下が挙げられます。

  • 100㎏以上の重量物と取り付け位置
  • 基礎(機器据付ベース)の大きさと機器の重量
  • 梁貫通、床の開口部の大きさと位置
  • 盤類など壁面に埋め込むものの大きさと位置
  • 埋設する電気配管の太さと本数、ルート
  • エレベーターのビットの深さとスピードの関係
  • 耐震、風圧強度など安全性の確認

図面の見方

1.図面の縮尺
一般的に1/100が用いられます。
ただし、住宅の設計図では1/50、大規模ビルでは1/200が用いられるケースもあります。

2.建築平面図の見方

  • 寸法:平面図には寸法が記入されている。通り芯、壁心の寸法は特に重要
  • 構造、仕上げ:鉄筋コンクリート以外の部分の構造、仕上げを図面から読み取る
  • 扉、窓:鉄筋コンクリート以外の部分の構造や仕上げを図面から読み取る
  • 梁、天井:断面図を理解する

図面の略号・平面図の建具記号

建築図面には、略号・平面図の建具記号などが記載されています。
略号や図記号は、JISや日本建築学会などが決めた慣例的な表現に倣って記載します。

略号

一般建築図の略号には、以下が挙げられます。

  • S 縮尺
  • GL 地盤面
  • SL スラブ面
  • FL 基準床面
  • EL 基準水平面
  • B1F 地下1階
  • 1F 1階
  • 2F 2階
  • M2F 中2階
  • RF 屋上階
  • P1F 塔屋1階
  • PRF 塔屋屋上
  • PH 塔屋
  • H、h 高さ
  • CH 天井高さ
  • L、l 長さ
  • W、w 幅、荷重
  • D、d 奥行、直径
  • t トン
  • t 暑さ
  • @ 間隔、ピッチ
  • Φ 直径
  • R 半径
  • CL 中心線
  • DS ダクトスペース
  • PS パイプスペース
  • EPS 電気スペース
  • ELV エレベーター
  • ESC エスカレーター
  • RD ルーフドレン
  • Exp.J エキスパンションジョイント
  • WL 水位、水面
  • U 上る(階段、スロープ)
  • D 下る(階段、スロープ)

平面図の表現

平面表示に使用される扉や窓などは、平面図用の表現を用います。
窓や扉、引き戸などの区別は、スイッチの取り付け位置を間違えないためにも明確に記す必要があります。

平面図の作成方法

電気設備 図面

電気設備用平面図は、建築平面図をベースに、CADデータの取り込みや加工によって作成されます。
建設設計者から平面図を入手した後で、以下の処理を行います。

  • 縮尺は基本的に1/100のものを用いる
  • 平面図面の建具表の記号や詳細な寸法は不要
  • 入手する図面には、室内および階段の記号はない方が良いとされている。ただし、電気設備図面の仕上げ段階では記入する
  • 和室の縁側、フローリングの細かい目地は省略する
  • 小さい部屋、トイレ、浴室など室名が電灯の図記号と重なる場合は、室名は配線図が完成してから調整する
  • 平面図内の寸法線、寸法の文字などは省略する。ただし、施工図では省略しないので注意が必要
  • 通り心は省略した方が良い。ただし、施工図では省略しないので注意が必要

1.1枚の紙面に2つ以上の平面図を書く場合
電気設備用平面図は建築平面図を合わせたレイアウトにします。

2.方位を考慮した配置の書き方

  • 敷地図、配置図、平面図などは原則として北を上に書きます。ただし、建築図面と向きが異なっている場合は、建築図面に合わせます
  • 矩計図、配筋詳細図など用紙を縦向きにして使う際には、原則として建物上部を左側にします
  • 日本語の場合、漢字はひらがな、外国語や外来語はカタカナが原則です
  • 数字やローマ字はゴシック体で統一します
  • 長さの単位は原則として㎜、面積の単位は㎡を用います

電気設備の設計図の基本を知ろう

電気設備の実施設計図は、契約図書や申請図書などに用いられるほか、
見積もりや工事の際にも使用されます。
近年では、CADによる電気設備設計図作成などが行われており、
CADによる設計図データを工事用の施工図へ転用、活用し、業務の効率化が図られています。
電気設備には作成のポイントがいくつかあることを知っておきましょう。