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電灯コンセント設備の解説①。照明の設計手順や光源について知ろう

電灯コンセント設備は、その場所に合わせた設計手順や設置基準を知っておく必要があります。
本記事では、電灯コンセント設備の「照明の設計手順と規定」「光源の種類と特性」「照明器具の種類」「照明の計算」についてご紹介します。

照明の設計手順と設置基準

照明設計は、以下の手順で設計を進められます。

  1. 建築物と部屋の用途を確認
  2. 部屋の構造や仕上げ、色彩、インテリアなどのデザインの打ち合わせ
  3. 所要照度の設定
  4. 光源・器具の選定
  5. 照度計算
  6. 灯数、配置の決定
  7. 点滅区分の決定

設置基準

誘導などの設置基準には、以下のようなものが挙げられます。

劇場、映画館、演芸場、観覧場など
避難口誘導灯 1000㎡以上A1+B1 1000㎡未満C1

キャバレー、カラオケボックスなど
避難口誘導灯 1000㎡以上A1+B1 1000㎡未満C1

飲食店、料理店など
避難口誘導灯 1000㎡以上A1+B1 1000㎡未満C1

百貨店、マーケット、物販店など
避難口誘導灯 1000㎡以上A1+B1 1000㎡未満C1

旅館、ホテルなど
避難口誘導灯 1000㎡以上C1 1000㎡未満C1

病院、福祉施設、保育所、幼稚園など
避難口誘導灯 1000㎡以上C1 1000㎡未満C1

学校など
避難口誘導灯 1000㎡以上C1 1000㎡未満C1

光源の特徴

光源には、主に以下の種類があります。

  • 電界発光
  • 熱放射
  • 放電発光

電界発光

LEDはELなどが挙げられます。
LEDは省エネルギーを考慮し、使用範囲が拡大されてきました。
各光源に対応したタイプがあり、従来の光源との代替が行われています。
ELは画発光が容易であり、研究が進んでいます。

熱放射

熱放射には、白熱電球やハロゲン電球が挙げられます。
白熱電球は、住宅やホテルなどで使用されます。
また、ハロゲン電球は住宅やホテル、ロビーや廊下などで使用されています。

放電発光

放電発光は、高圧放電灯と低圧放電灯に分けられます。

高圧放電灯には、水銀ランプやメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプなどがあります。
たとえば、高天井や道路、投光照明などで使用されます。

低圧放電灯には、蛍光ランプと低圧ナトリウムランプがあります。
蛍光ランプは、点灯方式や形状、演色性、色温度などで細分化されます。

低圧ナトリウムランプは、主に道路やトンネル内の証明に用いられます。

照明器具の分類

照明器具は、形状や図面などで分類されます。
ここでは、それぞれの分類についてご紹介します。

「形状」と「図面」

形状には以下が挙げられます。

直形型…逆富士型やカバー付き電灯具
事務室、廊下、トイレ、湯沸かし室などに用いられます。

埋込型…ダウンライト、カバー付き、下面開放形
ホテルのロビー、廊下、応接室、事務所などに多く用いられています。

光り天井…トラフ型
事務所のロビーや玄関ホールなどに用いられています。

天井吊り…チェーン吊り、パイプ吊り、コード吊り
天井の高い部屋に用いられます。
コード吊りは、食堂や和室、喫茶室で用いられます。

ブラケット(壁付灯)…カバー付きが一般的
洗面所の鏡の上、階段室、屋外の建物壁面などに用いられます。

建築家照明…建築家照明用器具のほかに、トラフ型をそのまま用いる
ロビーの天井、壁面などの建設照明に用いられます。

システム天井…埋込下面開放形、直付形の器具を用いる
事務所などの大規模な建物で、標準化平面の部分に用いられます。

照明器具の図面には、見た目ですぐに分かるように姿図が用いられます。

その他

照明器具の使用やダウンライト防災型、非常用照明器具および誘導灯などで分類できます。

仕様
照明器具の電圧と電源の周波数で分けられます。

ダウンライトの防災型
天井埋込型照明器具の場合、器具の放熱に注意が必要です。
特に天井裏に断熱材を用いる場合、器具を覆ってしまい放熱を妨げないようにする必要があります。
また、断熱施工型器具を使用するケースもあります。

非常用照明器具および誘導灯
一般照明器具の形状の非常用照明器具には適合マークが必要です。
誘導灯も、階段室の照明器具で非常用照明と兼用しているものは、認定マークが必要です。

照明の計算方法

照明

照明は以下の手順で計算します。

STEP①:所要平均照度の設定
JISによる照度基準をチェックし、部屋の用途に合わせて所要照度を設定します。

STEP②:照度計算する部屋の図面の入手
建築平面図と室内断面図を用意し、必要な数値を記載します。

  • 室の面積
  • 天井高さ
  • 作業面から光源までの高さ

STEP③:器具の形状の確認
どのようなデザインにするか相談します。

STEP④:室指数Rを求める
窓の間口X、奥行Y、作業面から光源までの距離Hから、室指数Rを求めます。

STEP⑤:天井、壁、床の反射率を計算する
室内仕上表から、天井、壁、床の仕上げ材を確認し、決定します。
指定や要望などがある場合はそれに従います。

STEP⑥:照明率表を入手する
照明器具は、照明率表が各メーカーより発行されています。
メーカーによる表を入手できない場合は、一般社団法人公共建築協会で発行されている資料などを参考にします。

STEP⑦:照明率Uを求める
照明率表から、該当する室指数R、天井、壁、床の反射率に合った照明率Uを求めます。

STEP⑧:保守率Mを求める
メーカーによって発表された照明器具資料から、保守率Mを求めます。

STEP⑨:必要なランプ個数Nを求める
必要なランプの個数であるNを求めます。

STEP⑩:照明器具の台数Nを求める
照明器具の1 台当たりのランプ数を求めます。

STEP⑪:器具の最大間隔を確認する
器具同士の間隔が一定以上になった場合、明るさにムラが生じるケースがあるので注意が必要です。
器具のメーカー資料を参照にし、最大器具取付間隔以内に収まるようにします。

STEP⑫:設計照度の計算を行う
設計照度の計算をします。

照明についての理解を深めておこう

暮らしの中では何気なく見ていることの多い照明ですが、設置されている場所に合った器具を設置するため、
さまざまな計算が行われています。
計算方法は複雑ですが、一度覚えてしまえばあとは同じ方法で計算できます。
照明の設計や光源について、基本的なことは覚えておきましょう。