電灯コンセント設備にはさまざまな種類があり、使用目的などによって使い分ける必要があります。
本記事では、主に新築工事で用いる設計図における、電力設備の電灯コンセント設備の「コンセントの種類・個数」「分岐回路の設計」「配線図・器具配置の記入方法」などをご紹介します。
コンセントの種類・個数
一般的なコンセントの種類には、以下が挙げられます。
一般形コンセント
一般の居室や廊下に設置するものです。
100V用接地極付コンセント
電気洗濯機、電気衣類乾燥機、電子レンジ、電気冷蔵庫、エアコン、自動販売機、医療機器などに用いられます。
また、屋外用、台所用、厨房用として設置されます。
200V用接地極付コンセント
電気温水器用、住宅以外に設置する200V用のものに設置されます。
抜け止めコンセント
引っ掛けシーリング式天井灯、アンプ、タイムレコーダー、常時接続する機器などに設置されます。
コンセントの個数は、事務所ビルで10㎡に1個以上とされています。
事務所ビルは座席レイアウトの変更が多いため、コンセントによる制約を減らせる必要があります。
そのため、OAフロア(フリーアクセスフロア)が採用されています。
住宅では、以下の推奨値を元に決定されます。
- 3畳…2個以上
- 4.5畳…3個以上
- 6畳…4個以上
- 8畳…5個以上
- 10畳以上…6個以上
200V家電製品用のコンセントを設置しない場合でも、200V用分岐回路の設備を将来的に利用できるようにしておくことが推奨されています。
コンセント図面の設計
コンセントは分電機から配線されます。
コンクリートの壁に配管が集中すると、コンクリートの強度に影響するため「ふかし壁」と呼ばれる仕上用の壁内に配管やケーブル配管を布設します。
1.平面図へのプロット
コンセントとの図記号を平面図内に記入し、これをプロットにします。
2.配線図の作成
コンセント同士を点線で結びます。
1つで結んだグループを1分岐回路と呼び、コンセントは6個以下にするのが推奨されています。
3.設計上の注意点
コンセントの位置は書棚や家具の裏側にならない場所に配置します。
取付高さは使用方法を考えて決定します。
分岐回路の設計
ここでは、電気コンセント用分岐回路の設計を行います。
1.屋内配線の方法
分電盤から照明器具、スイッチ、コンセント、大型電気機器に直接接続している配線を分岐回路といいます。
建物内の配線は屋内配線と呼ばれ、以下の補法が行われます。
UVケーブルの配線
一般の天井や壁内隠ぺい配線を行います。
IV電線の配管内配線
PF感が最も多く使われており、他にはCD管、ビニル電線、薄鋼電線管
FPケーブルの配線
耐火性能が要求される電線への配線
2.屋内分岐配線
屋内配線の設計するにあたっては、漏電・加熱などによる感電や火災防止も考慮する必要があります。
対策には以下が挙げられます。
漏電対策
水気を扱う機器に接続される分岐回路やメインブレーカーは、漏電遮断器にします。
住宅用分電盤のメインブレーカーには、中性線欠相保護機能付漏電遮断器が用いられることが多いです。
また、消防法によって漏電火災警報器の設置が義務付けられている場合、5kW以上を利用する木造建造物などでモルタルの壁や天井、金網などが使われているものです。
加熱対策
分岐回路は、大型電気機器の容量に適合したブレーカーと配線を用います。
ただし、一般の電灯コンセントには20Aのブレーカーで、1つの分岐回路を構成します。
また、過負荷時の過電流を遮断して加熱出火を防止します。
配線図・器具配置の記入方法

ここでは、平面図への器具配置の記入方法についてご紹介します。
電灯
照度計算や意匠デザイナーによって照明器具の配置を決定したら、平面図にプロットします。
天井内の空調機器、梁などの照明器具がぶつからないように打ち合わせします。
照明器具の記号、室名に関しては、平面図の該当箇所にそのまま記入すると分かりにくい場合があります。
そのため、近くに書き込んでも良いとされています。
スイッチ
スイッチの位置と個数が決定したら、該当箇所に書き込みます。
コンセント
小規模な事務所ビルなどの場合、設計電灯とコンセントは、同じ平面図に書きます。
ただし、研究室や実験室のようにコンセントが多い場合や、縮尺が1/20などの場合は、別々の平面図に書き込みましょう。
コンセントの設計では、家具の裏側にならないようにし、取付高さは使用方法を想定した上で決めましょう。
配線
電灯の配線図は、分電盤の1分岐回路ごとに線を結びます。
分電盤へ矢印を持ち、分岐回路の番号を付けて表示します。
スイッチは、点滅区分が分かるように、スイッチと電灯どちらにも同じ記号をふります。
コンセントの種類や図面への記入方法を知ろう
コンセントは、部屋の大きさや使用場所などによって、適切な種類や数が異なります。
そのため、場所に合った適切なコンセントを選ぶ必要があります。
図に記入する際には、煩雑にならないように分かりやすく記入しましょう。