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「安全管理」は施工管理職のもっとも重要な仕事!現場の安全管理で大切なこととは!?

施工管理職の重要な仕事の一つが「安全管理」です。
安全管理とは、現場で働く作業員が安全に働くため、さまざまな災害を防ぐ対策を行うことをいいます。
本記事では、安全管理はなぜ重要なのか、安全管理とはどんな対策を行うのかなどをご紹介します。

施工管理職による安全管理はなぜ重要?

施工管理職の主な仕事は「工程管理・原価管理・品質管理・安全管理」の4つです。
安全管理とは、作業員が安全に働くための対策を行う仕事です。

建設現場では、高所からの転落、クレーンからの重量物落下、大型建設機械取り扱い時の事故などさまざまな災害が想定されます。
これらの災害を防ぐため、あらゆる場面を想定し、安全対策を行う必要があるのです。

次項では、具体的な安全管理の方法について紹介します。

施工管理職が行う安全管理

安全管理をする女性の施工管理職

では、施工管理職はどのような安全管理を行うのでしょうか。
ここでは、具体的な安全管理についてご紹介します。

機材の点検
使用する機器や機材の安全点検を行います。

作業員の健康チェック
作業員が疲労や体調不良の状態だと、ヒューマンエラーが起こりやすくなります。
朝礼時の確認や、作業中でも、熱中症などの体調不良となればすぐに休めるような体制を構築します。

不安全行動の排除
不安全行動とは、作業員本人や関係者の安全を阻害する行動を、意図的に行う行為を指します。
「これくらい大丈夫だろう」「めんどうくさい」「自分は事故を起こさない」などの思い込みや慣れなどから取った行動が、労働災害に発展するケースも多いです。
これらの不安全行動を排除するには、作業手順を明確に定める必要があります。
さらに、安全教育とそれが十分に伝わっているか、日常的に確認することが求められます。

不安全な環境の排除
労働災害に発展しそうな環境の排除も安全管理の一つです。
例えば、以下のような対策が挙げられます。

  • 墜落や転落防止のための手すりや蓋の設置
  • 重機の旋回半径に三角コーンなどで囲いを設ける
  • 使用機器や器材の安全対策などを行う
  • 危険個所に安全看板などを設置する

現場の状況を常に確認し、それぞれに適応した環境整備や段取りを行うことも、施工管理職の重要な業務です。

工法の確認
決められた工法を守っているかを確認します。

ヒヤリハット事例の共有
ヒヤリハットの具体的な事例を共有し、周知と改善策を立てます。
ヒヤリハットとは、大きな事故になってもおかしくなかった「一歩手前」の状況のことを指します。

  • 現場の写真を撮影中、後ろに下がったときに階段に気付かず転落しそうになった
  • 足場のツメが破損。板が傾いて転落しそうになった
  • 階段の踏み段の高さがアンバランスで踏み外して転倒しそうになった
  • 仮設通路でつまずいた
  • 鋼材の吊上げ作業において、マグネットが外れて鋼材が落ちそうになった
  • インパクトドライバーのドリルに手袋が巻き込まれそうになった

ヒヤリハットの事例は職人はもちろん、施工管理職の業務に関するものもたくさんあるので、自分事として捉えて対策する必要があります。

出典:厚生労働省「安全衛生キーワード

安全を保つために考えたいこと

男性の施工管理職3人

具体的な安全対策と同じくらい大事になるのが「心構え」です。
どんな行動が災害に繋がるのか、災害を防ぐにはどんな行動を取ればいいのかなどをご紹介します。

可能性段階の危険に対しても準備をしておく

設備などの環境に対して「~かもしれない」という意識を持ちましょう。
現状は問題なくても、自然現象や地理的要件などによって危険度は変化します。
たとえば、暑い日には熱中症の危険性があるため、こまめに水分補給をさせます。

また、強風の日に飛散地対策をしたり、豪雨の時には作業を中止したりするなど、早めの対策も必要です。
「~かもしれない」という心構えを持っていれば、早めに危険を察知でき、安全を確保できるのです。

自己判断で安全管理をしない

「このくらいは大丈夫だろう」「事故にはならないだろう」という思い込みや判断ミスが、重大な災害を引き起こす可能性もあります。
そのためには、自己判断だけで安全管理をしないことが大切です。

安全管理に活きる資格

前述のとおり、安全管理は行うべき4大管理業務(工程管理、原価管理、品質管理、安全管理)の1つです。
そのため建設現場においては施工管理の資格が、特に安全管理に直結する仕事といえるでしょう。

施工管理技士は、受け持つ工事の種類によって7種類に分類できます。

  • 建築施工管理技士
  • 土木施工管理技士
  • 電気工事施工管理技士
  • 管工事施工管理技士
  • 造園施工管理技士
  • 建設機械施工技士
  • 電気通信工事施工管理技士

いずれの資格も1級と2級があり、1級の方が幅広い工事の安全管理に携われますが取得難易度や受験資格が2級よりも厳しいです。
施工管理職を目指すのであれば、まずは実務経験を積めば受験資格が得られる2級から取得することが一般的です。

安全管理者

常時使用する労働者数が50人以上の規模の事業場では、安全管理者の資格を持つ人を配置しなければなりません。

厚生労働省のホームページでは、安全管理者の職務は以下の事項とされています。

  1. 建設物、設備、作業場所または作業方法に危険がある場合の応急措置または適当な防止の措置
  2. 安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期的点検および整備
  3. 作業の安全についての教育や訓練
  4. 発生した災害原因の調査や対策の検討
  5. 消防および避難の訓練
  6. 作業主任者その他安全に関する補助者の監督
  7. 安全に関する資料の作成、収集および重要事項の記録
  8. その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における安全に関し、必要な措置

安全管理に必要な能力

安全管理を徹底して、事故のない現場を実現するためには知識や経験、効率的かつ確実に安全を確保するためのシステム化など幅広いことが求められます。
その1つには「コミュニケーション能力」があることも、覚えておきましょう。
施工管理職と職人の関係性はもちろん、職人同士のトラブルや連携不足も事故の要因の1つです。
そのため、施工管理職はコミュニケーションを積極的に図ることで、現場関係者の全体の人間関係を把握して、仲裁などが必要な場合は率先して取り持つ必要があります。

また、危機察知能力も安全管理における大切な業務の1つです。
資材の置き方や掃除の丁寧さ、職人の体調、納期の遅延などによる焦燥感など、事故につながるかもしれない雰囲気や予兆などをなるべく早く察して、対応することで想定外のトラブルの防止につながります。
危機察知能力を高めるためには、現場経験や施工管理職の「勘」だけではなく、ヒヤリハットや実際に起こってしまった事故の事例などの情報を事前にたくさん仕入れることも大切です。
事故に関する情報をたくさん所有し、「自分だったらどうするか」もしくは「どうすべきだったか」を考えることは、安全管理の「引き出し」の数を増やすために欠かせないポイントです。

作業員を安全な環境で作業させることが大切

建設作業は、大なり小なりさまざまな危険をはらんでいます。
重大な災害を起こさないためには、安全管理による安全対策や心構えが、とても大切です。
施工管理職が、安全に対する意識と知識を共有し、対策を行っていきましょう。

※出典:厚生労働省「安全管理者について教えて下さい。

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