Menu

建設業におけるJVとは!?特徴を抑えよう!

JV(ジョイントベンチャー)という言葉を、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
JVは別名「共同企業体」といいますが、組織体が複雑なので、なかなか覚えにくいものです。

本記事では、建設業におけるJVの概要、分類方法などをご紹介します。

JV(ジョイントベンチャー)とは

JV(ジョイントベンチャー)とは、複数の建設企業が、一つの建設工事を受注・施工するために形成された組織体を指します。
資金力・技術力などからみて、一つの企業では請け負うことが難しい大規模な工事や事業を行う際に、協力して請け負うために組織されます。

次項では、JVの分類について、「活用目的」と「施工方式」それぞれの視点から紹介していきます。

出典:国土交通省「共同企業体制度(JV)

「活用目的」によるJVの分類

JV 建設

ここでは、活用目的ごとのJVの分類をご紹介します。

特定建設工事共同企業体(特定JV)

各分野に秀でた企業同士で作られたJVです。
大規模で技術難度の高い工事を施工する場合に、技術力などを結集することで工事の安定的な施工が見込める場合に結成されます。

また、単体企業で施工できなくはないものの、大規模や難易度の高い工事に関しても特定JVを利用することがあります。
発注されるごとに結成され、最も出資比率の高い企業が受注及び施工を主導します。
工事完成後や、工事を受注できなかった場合には解散となります。

経常建設共同企業体(経常JV)

中小・中堅の建設企業が、継続的な協業関係を確保し、経営力や施工力を強化する目的で結成されたJVを指します。
「通年型」とも呼ばれます。
単独では受注できなかった上位の工事の機会を得ることができ、中小・中堅企業の育成や振興にもなるといわれています。
単体企業と同様に、発注機関の入札参加資格審査を申請する際に、経常JVとして結成されます。
また、一定期間、有資格業者として登録されます。

地域維持型建設共同企業体(地域維持型JV)

地域を維持管理するのに不可欠な事業で、地域の建設企業が継続的な協業関係を確保することで、実施体制の安定を図ることを目的として結成されるJVです。
発注機関の入札参加資格の申請時か随時、結成可能です。
また、一定期間、有資格業者として登録できます。

出典:国土交通省「共同企業体制度(JV)

「施工目的」によるJVの分類

3人の施工管理職

施工目的によってJVを分類する場合、大きく分けて、「甲型」と「乙型」に分けられます。
甲型・乙型両方に共通することは、現場職員の配置を適正に行わなくてはいけないということです。
専門分野で分ける場合を除き、経験や専門性を考慮した配置を設立時に決めます。

以下では、甲型と乙型それぞれの詳細についてご紹介します。

甲型共同企業体

共同施工方式のことで、全構成員が、あらかじめ決められた出資割合に応じて、資金、人員、機械などを拠出する方式のことを指します。
たとえばA社が40%、B社が30%、C社が30%出資する場合、その金額に応じて、資金、人員、機械などを拠出します。
この出資は、財産的価値のあるものが対象で、出資の時期は、資金計画に基づいて決定されることが多いです。

損益計算方法
損益計算を行う場合、共同企業体として会計単位を設け、合同で損益計算が行われます。
利益や欠損金の配分などは、出資割合に応じて行われます。

技術者の配置
下請契約の金額が4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上になる場合、特定建設業の構成員一社以上が、監理技術者を配置する必要があります。
また、請負金額が3,500万円以上となる場合は、監理技術者などが専任でなくてはいけないとされています。

乙型共同企業体

乙型共同体は、分担施工方式とも呼ばれており、1つの工事を複数に分け、それぞれ参加企業が分担する方式のことを指します。
たとえば、水力発電の施設を作る場合、A社はダム、B社は導水路、C社は発電所など、分担して施工を行います。
分離・分割受注土地と違うのは、最終的に他の構成員が施工した工事に関しても、お互いが連帯責任を負う点です。

損益計算方法
各構成員は、共通の経費を共同企業体の事務局に支払います。
損益計算をする場合は、各構成員が自分の担当工事ごとに行い、甲型のように構成員一体となった計算は行いません。
そのため、乙型には利益を上げた企業と損失があった企業が、混在する可能性があります。
その場合、各社の損益計算で算定された利益・欠損金が各社ごとに残り、構成員間で利益・損失調整がされることはありません。

技術者の配置
乙型の場合、分担工事に関わる下請契約金額が、4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上となる場合は、特定建設企業が監理技術者を配置する必要があります。
また、分担工事に関する請負金額が、3,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上になる場合は、設置される監理技術者は専任である必要があります。

JVは明確な目的をもって結成された組織体

JVは、単体では受注できないような大型の工事の参加資格を得ることができ、他社と共同で作業することで技術を高められます。
また、専門性を前面に出した経営も可能になります。
JVは、様々な目的をもって結成されるので、どのような種類があるか知っておきましょう。