プロット図は、総合図とも呼ばれ、施工上とても重要な図面とされています。
設備業者などが初めて作成するのが、このプロット図です。
本記事では、プロット図の概要や他の図面との違い、プロット図の種類、作成手順などをご紹介します。
プロット図とは
プロット図とは、コンセントや電話、照明、LAN、火災報知器などの機器や、空調設備、衛生設備などの位置を確認するための図面です。
意匠・構造・設備などの設計情報を一元化して調整するための図面として、使われています。
施工図との違い
プロット図は、施工図を作成するための図面とされています。
施工図を作成する前に、意匠や構造、設備の情報を記載することで、情報の伝達や調整をしやすくするために作成されます。
プロット図の種類
プロット図は1種類ではなく、いくつかの種類があります。
ここでは、プロット図の種類についてご紹介します。
壁/床プロット図
建物の壁や床に設置するものについて、記した図面です。
たとえば、以下のようなものに関する位置を記入します。
- 照明のスイッチ
- コンセント
- 電話線
- インターネット回線
- 空調設備
- 衛生設備
- 分電盤
壁/床のプロット図は平面図のため、作成の際には取り付け場所が重複しないように注意が必要です。
天井プロット図
天井面に取り付ける、以下のような機器について記入した図面です。
電気設備だけではなく、天井に設置するものはすべて記入します。
そのため、エアコンや換気扇等があれば、それらも記入する必要があります。
展開プロット図
展開プロット図は、壁の総合図とも呼ばれており、壁に付ける機器に関する具体的な位置や高さを記入します。
プロット図の作成手順・タイミング
プロット図の基本的な作成手順やタイミングは、以下となります。
作成手順
1.建築図に弱電機器や強電機器を書き入れる
設計図を元に、建築図に弱電機器や強電機器を書き入れます。
コンセントやスイッチなどは誰でも分かるように、共通記号で表記されることが多いです。
2.いくつかの機器をプロットして調整する
プロット図作成は、必要な機器を設置した後で調整を行います。
たとえば、同じ壁の同じ位置の上下に、コンセントとスイッチを取り付けたいとします。その場合は、まずコンセントを書き、その上にスイッチを記入します。
さらに、電気機器や空調機器、衛生機器などを記入して、各機器の納まりを調整することが多いです。
3.機器が入らない場合は壁や柱をふかす
機器がどうしても収まらない場合は、壁や柱を「ふかし」ます。
ふかすとは、建築用語で、仕上げ面などを大きくして前に出すことです。
壁や柱をふかすことで面積が増え、コンセントやスイッチを配置できるようになります。
ただし、ふかせるかどうかなどの対処方法は、現場ごとに異なりますので、必ず設計事務所などに確認が必要です。
作成のタイミング
プロット図は現場着工後、なるべく早い時期に作成します。
躯体工事が始まる前までには、作成されることが多いです。
このプロット図を元に、施工図が作成されるのです。
プロット図の作成における注意点
プロット図を作成する際には、以下の点に注意しましょう。
躯体の柱は避ける
躯体の柱には、機器を設置できません。
躯体の柱の多くは鉄筋コンクリートなので、スイッチやコンセントなどが取り付けられないためです。
躯体の柱ではなく、横の壁などに設置しましょう。
引き戸の戸袋は避ける
引き戸の戸袋に設置することも避けましょう。
戸袋は、引き戸を壁の中に収納するためのものであり、スイッチボックスなどは設置できません。
外壁の躯体壁は避ける
外壁の躯体壁は、避けて設置することが望ましいとされています。
外壁の躯体壁には、結露などが発生しやすいためです。
どうしても外壁の躯体壁に設置する必要がある場合は、結露防止ボックスなどを用意しましょう。
高さを揃える
電気や空調、衛生機器などを同じ壁に付ける場合、高さや寄りを調整して揃えましょう。
高さがバラバラになっていると見栄えが悪いばかりでなく、利便性も悪くなってしまいます。
プロット図すべての施工図の元となる図面
プロット図は、すべての施工図の元となる図面です。
そのため、できるだけ早く作成するだけでなく、正確さも求められます。
大型の現場になるほど、建物に設置する設備の種類や数が多くなるため、作成が大変になります。
作成するタイミングを理解しておくことが、重要といえるでしょう。