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施工管理職が覚えておきたい法律。建設業法について詳しくなろう

建設業には「建設業法」という法律があり施工管理職に就くならば理解しておきたい法律の一つです。
そのほかにも把握すべき法律や契約形態などがあります。
本記事では、請負契約や労働法と併せて「建設業法」について詳しく解説していきます。

請負契約とは

施工管理職に携わるうえで理解すべき法律の一つに、請負契約があります。

請負契約とは

仕事の依頼を請け負った企業または人は、仕事を完遂することを約束する代わりに、依頼側から仕事の結果に対する報酬をもらうことを約束する契約です。
請け負う仕事の内容は、有形・無形を問わず対象で、お客様から建造物建設の依頼を受けて取り組む建設工事も請負契約にあたります。

そのほか、請負契約に関する注意点には以下があります。

  • 請け負った側は依頼された仕事に着手し、契約で定めた仕事を完遂させなければならない(仕事に着手しないまたは期日までに完遂しない場合、依頼側は契約を解除できる)
  • 請け負った側が、仕事の完遂のため他社と請負契約を結び、その他社が過失を被った場合、請け負った側が責任を負わなければならない
  • 仕事が完遂したら、完成品を依頼側へ引き渡さなければならない
  • 完成品が不可抗力によって過失を被り損害金が発生した場合、請け負った側が負担しなければならない
  • 完成品に欠陥がある場合は、依頼側は請け負った側に「瑕疵修補請求権」「損害賠償請求権」「契約解除権」を使用できる。またこれらの権利は通常の完成品なら5年、石造など堅固な完成品は10年継続する
  • 依頼側が破産手続きを行なった場合、請け負った側は契約を解除できる

仕事を進めるうえで後に契約トラブルを起こさないためにも、請け負う仕事のゴールはどこか、また前払金の有無など、請負契約を結ぶ際は細かく規程を定める必要があります。

出典:国土交通省「請負契約とその規律

請負契約について民法に記載されている内容

民法には、請負契約や報酬の支払時期に関して以下のように記載されています。

「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」(第9節・請負」民法632条)

「報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。」
「第9節・報酬の支払時期」民法633条

出典:e-GOV「民法

労働法

労働者と事業主の間で雇用契約を締結する際には、労働法によってルールが定められています。
ここでは、建設業において取り上げられることの多い、「労働基準法」と「労働安全衛生法」について解説します。

労働基準法

「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」(労働基準法 第32条)
引用:e-GOV「民法

労働基準法は、労働者の最低限の労働条件を定めるものです。
労働基準法では、「1日8時間、1週40時間」という所定労働時間が定められています。
これ以上労働時間が長くなる場合は、基本給の他に残業代が支払われるのが原則です。

労働安全衛生法

「この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。」(労働安全衛生法 第1条)
引用:e-GOV「民法

労働安全衛生法は、労働者の安全と健康のため快適な職場環境を確保することを目的としています。
労働基準法と同じく、労働者に与えられるべき権利である安全と健康について定められた法律です。
違反した場合、刑事罰が科される可能性もあります。

建設業法

施工管理士の男性

建設業法は、建設工事の請負契約の適正化や建設業の営む人の資質の向上などを図り、建設工事の適正な施工を確保するために定められた法律です。
また、適切な施工により発注者の保護や建設業の健全な発達も目的としています。
以下は、建設業法に定められた具体的な内容の一部となります。

対象の工事が公共事業か民間事業かを問わず、建設工事を進めるためには、建設業法に則り許可を得る必要があります。以下は、建設業法にて定められている許可についての説明です。

一般建設業許可
「一般建設業の許可(第八条第二号及び第三号を除き、以下この節において「許可」という。)を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣に、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。」(建設業法 第5条)
引用:e-GOV「民法

請け負った案件で、工事費用が4,000万円未満(建築工事業の場合は6,000万円未満)の場合は一般建設業許可が必要です。
また2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業を行う場合には国土交通大臣、1つの都道府県区域内の場合は都道府県知事に許可申請書を提出する必要があります。

出典:国土交通省「建設業の許可

特定建設業許可
「特定建設業の許可を受けた者でなければ、その者が発注者から直接請け負つた建設工事を施工するための次の各号の一に該当する下請契約を締結してはならない。
一 その下請契約に係る下請代金の額が、一件で、第三条第一項第二号の政令で定める金額以上である下請契約
二 その下請契約を締結することにより、その下請契約及びすでに締結された当該建設工事を施工するための他のすべての下請契約に係る下請代金の額の総額が、第三条第一項第二号の政令で定める金額以上となる下請契約」(建設業法 第16条)
引用:e-GOV「民法

請け負った案件で、工事費用が4,000万円以上(建築工事業の場合は6,000万円以上)の場合は特定建設業許可が必要です。
また特定建設業の許可を得る場合は、一般建設業の許可要件を満たしているだけでなく営業所ごとに建設業の種類に応じた国家資格を持った専任技術者を置く必要があります。

出典:国土交通省「建設業の許可

請負取引
建設工事における請負取引は、各々が対等な立場にあり、合意に基づいて公正な契約を締結することが原則とされています。

施工技術の確保
建設業者は、工事の担い手の育成や確保、その他の施工技術の確保に努めなくてはならないと定義されています。

出典:e-GOV「建設業法

施工管理職は業務に関連する法律を知っておこう

施工管理職として働くうえで、建設業法を中心にさまざまな法律があります。
他社と契約するときや労働者を管理する場合、法律を把握しなければ後に大きなトラブルにつながる可能性があります。
自分自身の身を守る法律となるので、しっかりと確認しておきましょう。