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グリーンファイルの主要な種類を紹介!グリーンサイトとの違いも知っておこう

施工管理職の方の中には、「グリーンファイル」や「グリーンサイト」という言葉は聞いたことがあるが、具体的には何を指しているか分からない方もいるのではないでしょうか?

本記事では、グリーンファイルを中心に解説していきます。
また、グリーンファイルとグリーンサイトとの違いについても触れますので、区別できるようにしましょう。

グリーンファイルとは

グリーンファイルとは、労務安全書類のことです。
安全書類のファイルカバーが緑色のため、通称「グリーンファイル」と呼ばれています。
労務安全書類は、下請会社が現場に入る前に元請会社に提出し、それを元に元請会社が管理します。
グリーンファイルには、作業員名簿、火気使用届、安全衛生計画書など、現場や作業員の安全を守るために必要な重要書類が含まれており、ゼネコン会社からもらった書式に記載する場合もあります。

グリーンサイトは別物?

グリーンサイトとは、グリーンファイルをクラウド上で作成・提出・確認できるサービスを指します。
グリーンサイトを利用すれば、パソコンで入力するだけで簡単にグリーンファイルが作成できるため、これまで書類作成の業務にかかっていた時間や印刷にかかっていたコストの大幅な削減が可能です。
「グリーンサイトはグリーンファイルを作成できる機能がついたサービス」と覚えましょう。

主要なグリーンファイル(労務安全書類)

施工管理職の男性

建設業を営んでいる企業は、グリーンファイル(労務安全書類)の作成および保存が、建設業法により定められています。グリーンファイルとは下請け業者が元請け業者に対して提出する書類のことで、工事を行う際に使用する人員や機材、工事計画等を記載します。作成し提出した後も、グリーンファイルの保存が義務付けられています。

再下請負通知書

元請け業者に一次下請け業者以下の請負契約を報告するための書類です。
元請け業者は、この書類によって工事に関わるすべての業者を把握し、工事が適切な状態で行われているかを確認します。

下請負業者編成表

一次下請け企業が、二次下請け企業以下の会社との契約内容をまとめて提出する書類です。
元請け企業が作成する施工体系図の元となり、二次下請け企業を使用しない場合には提出不要です。

作業員名簿

作業員の氏名や住所などが記載された書類です。
元請け企業が作業員の詳細と雇用管理状況を把握するために必要です。
また書類によっては社会保険加入状況もあわせて記入する場合があります。
さらに2020年10月からは、個人情報保護の観点から健康保険の被保険者番号を記載しないこととなっているため注意が必要です。

外国人建設就労者現場入場届出書

外国人建設就労者がいる場合に提出する書類です。
雇用する場合には、一次下請け企業以下の会社が直近の元請け企業に提出します。

工事・通勤用車両届

工事現場に入る工事車両を管理するための書類です。
トラックなど、現場で使用される車両すべてを記載します。

持込機械等(移動式クレーン・車両系建設機械 等)使用届

現場で使用する移動式クレーンや、重機を管理するための書類です。
使用する機械の内容や、点検内容を記載します。

持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届

現場で使用する電気工具や電気溶接機などを管理するための書類です。
使用する機械の内容や点検内容を記載します。

火器使用届

火を使った工事や、暖房器具などを使用する場合に提出する書類です。
火器の種類と使用する場所を記載します。

工事安全衛生計画書

工事を安全に行うために必要な行動や心がけを記載した書類です。
工事の中で想定される危険や、それを予防するための具体的な取り組み、日常の安全衛生活動などを記載します。

施工体制台帳に関連するグリーンファイル

工事内容が複雑化するほど、多くの下請け企業が入場・退場を繰り返し作業をします。元請け企業は、建築業法に従って労務災害や施工トラブルを防ぐために、施工に携わっている企業や従業員、企業ごとに担当する箇所を把握する必要があります。施工体制台帳は、協力会社を把握するために必要かつ大切な書類です。

前章にて述べた以下の書類も、施工体制台帳に関連するグリーンファイルに含まれます。

  • 下請負業者編成表
  • 再下請負通知書
  • 外国人建設就労者現場入場届出書

施工体制台帳

下請け企業から孫請け企業まで、工事に関わる全ての企業および各従業員の氏名と施工範囲を記した台帳です。建設業法において、下請け契約を締結する際に作成および保存が義務付けられています。2015年以前の法改正前までは、下請け金額が3,000万円以上の場合にのみ作成と保存が必要でしたが、施工上におけるトラブルや建設業法違反を防ぐため、金額に関わらず義務づけされました。

施工体制台帳作成建設工事の通知

施工体制台帳に記載した通りの施工を行う旨、元請け企業と下請け企業の名前を記載した書類です。作成した書類は一次下請け企業に交付し、工事の打ち合わせを行う場所など工事関係者の目につきやすい場所に貼る必要があります。

工事作業所災害防止協議会兼施工体系図

元請け企業や下請け企業など、複数の企業関係や施工分担が一目でわかるよう、詳細を記載した図のことです。2020年10月1日に「建設業法施行規則及び施工技術検定規則の一部を改正する省令」が施行され、図に記載すべき項目が増えました。誤って古い書式の書類を使用しないよう注意が必要です。

安全書類に分類されるグリーンファイル

主要なグリーンファイル(労務安全書類)に含まれる以下の書類以外にも、作業間連絡調整書や新規入場者調査票などは、着工前に作成する安全書類に分類されます。

  • 作業員名簿
  • 持込機械等(移動式クレーン・車両系建設機械 等)使用届
  • 持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届
  • 工事・通勤用車両届
  • 工事安全衛生計画書
  • 火気使用願

新規入場者調査票

工事に携わる従業員の、氏名・血液型・住所・緊急連絡先・所属している企業の情報などを記載する書類です。施工においては新規入場者調査票または新規入場時等教育実施報告書のどちらかを提出すれば良いこととされています。

新規入場時等教育実施報告書

下請け企業が安全衛生教育を受けていることを報告するための書類です。
元請け企業は、下請け企業の作業員に対して安全衛生教育を提供しなくてはいけません。
そのため、この書類で下請業者が安全衛生教育をきちんと受けているかどうか、証明する必要があります。

作業間連絡調整書

複雑な工程に複数の企業が関わると、進捗や労働災害などのトラブルが発生することがあります。それらのトラブル対策として、下請け企業間での連絡方法をあらかじめ定めておくための書類です。

持込機械届済証

現場内に持ち込まれる機械の種類や機械によって、行われる作業内容を元請け企業が把握するために作成する書類です。作成および保存の規程はありませんが、元請け企業が労働安全衛生法第29条と第30条の連絡調整および指導・教育を遵守するためには必要な書類です。

・安全ミーティング報告書
安全ミーティングが行われたことを証明する書類です。
万が一、事故が起きてしまった場合に、現場できちんと安全が確保されていたかどうかを証明するための重要な書類です。

・有機溶剤・特定化学物質等持込使用届
有機溶剤や特定化学物質に分類される危険物・有害物を使用する際に提出する書類です。
使用材料や使用場所、保管場所などを記載します。

グリーンファイルの種類を覚えておこう

グリーンファイルは、現場や作業員の安全、スムーズな工事を行うためには欠かせない書類です。また建設業法等により、作成および保存が義務付けられている書類が多いため、施工管理職ならば覚えておく必要があるでしょう。また、グリーンファイルへの記載事項や書式などは頻繁に変更が加えられるため、常に最新の情報を受け取って対応する必要があるでしょう。