建設業には、全国建設工事業国民健康保険組合というものがあり、通称「建設国保」と呼ばれています。
この建設国保は、どのような保険組合なのでしょうか。
本記事では、全国建設工事業国民健康保険組合の概要や加入対象者、加入方法、保険料などをご紹介します。
建設国保とは
建設国保(全国建設工事業国民健康保険組合)とは、国民健康保険組合が運営している保険の一種です。
一般社団法人 日本建設組合連合の設立母体として、昭和45年7月10日に設立されました。
建設業に従事している人が対象で、国からの補助金や組合員の保険料によって運営されています。
所得や地域で保険料が変動しないため、加入者によってはメリットが大きいでしょう。
また事業者負担がないため、事業の経費削減の面でもメリットがあります。
建設国保への加入対象者・加入方法
ここでは、建設国保への加入対象者や加入方法をご紹介します。
加入対象者
加入対象者は以下の要件を全て満たしている方です。
- 一般社団法人 日本建設組合連合(建設連合)の正会員である組合の組合員
- 対象の都道府県内に住所があること
- 主たる事業が対象とされている以下の事業である、またはその業務に従事している方
(土木工事業、建築工事業、大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、電気工事業、管工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、機械器具設置工事業、熱絶縁工事、電気通信工事業、造園工事業、さく井工事業、建具工事業、水道施設工事業、消防施設工事業、清掃施設工事業 解体工事業、その他建設工事に関する業種)
仕事の立場が以下のいずれかであること
- 法人格を持たない一人親方
- 個人事業主
- 事業主を除く従業員の人数が常時5人未満の個人事業所の従業員
- 一人親方または個人事業主の同一世帯者
加入方法
建設国保に加入するためには、書類を揃えて申し込む必要があります。
必要な書類は以下の7つです。
- 加入申込書
- 印鑑
- 住民票謄本
- 現在使用中の保険証のコピーまたは資格喪失証明書
- 仕事の業種と従事する状況が確認できる書類
- 誓約書、事業所等の状況
- 世帯に属する者の職業および使用される事業所名
加えて、組合員と対象者のマイナンバーの記入と本人確認書類が必要です。
追加で手続きが必要になるタイミング
以下のようなときには、追加で手続きが必要となります。
- 組合員の世帯に転入し、新しく家族となったとき(結婚など)
- 子供が生まれたとき
- 家族が他の健康保険を辞めたとき
- 家族が生活保護を受けられなくなったとき
出典:建設連合国民健康保険組合「必要な手続き」
出典:建設連合国民健康保険組合「加入方法」
出典:建設連合国民健康保険組合「加入できる方」
建設国保の保険料
建設国保の保険料は一人当たり以下の通りです。(令和4年度)
1.組合員
- 19歳以下 6,900円
- 20歳以上24歳以下 9,000円
- 25歳以上29歳以下 11,100円
- 30歳以上39歳以下 14,000円
- 40歳以上49歳以下 16,000円
- 50歳以上 18,000円
2.家族
1歳未満除く6人まで 5,400円
家族の保険料は、0歳児と0歳児を除く7人目以降は免除されます。
介護納付金分
40歳以上64歳以下(第2号被保険者) 3,700円
出典:建設連合国民健康保険組合「保険料」
建設国保から給付金が出る条件
建設国保から給付金が出るケースは以下が該当します。
- 病院にかかるとき
- 医療費が高額になったとき
- 医療費を一旦全額払ったとき
- 出産したとき
- 接骨院・整骨院等にかかるとき
- 窓口負担を限度額まで抑えたいとき
- 医療費や介護費が高額になったとき
- 病気やケガで入院したとき
- 死亡したとき
給付金は病気にかかったときや医療費が高額になったときなどに支払われます。
また被保険者が出産したときにも、出産育児一時金が支給されます。
給付が制限される事例
以下のようなケースでは、法律によって給付が制限されるので注意しましょう。
- 少年院や刑事施設等に収容された場合
- 故意に犯罪行為を行った場合(飲酒運転、無免許運転など)
- 故意のケガや病気
- 喧嘩や泥酔など、自分に責任がある状態での傷病
- 医師や建設国保組合の指示に従わなかった場合
給付金を貰った後に、上記の条件に該当することが判明した場合、給付金の一部または全額の返還が求められるケースもあります。
出典:建設連合国民健康保険組合「国保組合からの給付」
建設国保について知っておこう
建設国保は、建設業に従事する人やその家族が加入できる保険です。
国民健康保険など他の保険と内容はあまり変わりませんが、所得や地域によって保険料が変動しないのが特徴です。
年齢によってのみ保険料が変動する仕組みのため、特に高所得者にとってはメリットが大きいでしょう。