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コールドジョイントによる影響とは!?原因や対策を解説

コンクリート構造物で起こると困る問題の一つが「コールドジョイント」です。
コールドジョイントが発生すると、構造物の強度や水密性、耐久性などを低下させる原因となります。
コールドジョイントを予防するためには、原因についてしっかり理解しておく必要があるでしょう。
本記事では、コールドジョイントが起こる原因や対策、コールドジョイントによって引き起こされる構造物への影響などをご紹介します。

コールドジョイントとは

コールドジョイントとは、先に打ち込んだコンクリートと後から打ち込んだコンクリートが完全に一体化せずにできてしまった継ぎ目のことを指します。
あらかじめ計画された打ち継ぎ目と異なり、打ち重ね部分に不連続な部分が作られることです。
コールドジョイントが起こると、構造物の強度を低下させてしまう可能性があります。

コールドジョイントが起こる原因

コールドジョイントが起こる原因には、以下があります。

  • 所定時間を過ぎた後の打ち重ね
  • 不適切な打設

コンクリートは時間が経過するごとに硬化します。
そのため打ち重ね時間が長くなるとうまく一体化せずに、コールドジョイント発生の可能性が高くなります。
また、先に打ち込んだコンクリートが硬化していない状態で打設した場合も同様です。
さらに、打設面に対して垂直に打ち重ねを行っていない、先に打ち込んだ層まで届いていないなどの不適切な打設でも、コールドジョイントが起こる場合があります。

コールドジョイントの影響

コールドジョイントが起こると、以下のようなリスクを加速させる可能性があります。

強度低下

コールドジョイントが起こると、コンクリートの強度の低下を招く可能性があります。
コンクリート同士が一体化していないため、強度が足りずひび割れもしやすくなります。
また構造物に作用する「ずらす力」である「せん断力」が働くと、さらに強度を保つのは難しくなるとされています。

中性化の誘発

中性化とは、強アルカリ性のコンクリートに二酸化炭素が侵入し、水酸化カルシウムと反応することでアルカリ性が低下する現象を指します。
コールドジョイントが発生したコンクリートは、ひび割れが発生する可能性が高いため、中性化速度が加速する可能性が高いです。
中性化を放置すると、コンクリート内部の鉄筋を保護する酸化被膜が壊れ、錆びや腐食を誘発してしまいます。
鉄筋は錆びると体積が膨張する性質があるため、周囲のコンクリートを壊し、さらにひび割れや剥離を悪化させる可能性があります。

水密性の低下

コールドジョイント部分はコンクリートが一体化していないため、水密性も低くなるとされています。
水密性が低下すると水分が入り込みやすくなります。
そのため、中性化や塩害などの劣化を引き起こしやすくなるでしょう。
さらに鉄筋に錆びが発生しやすくなります。

コールドジョイントの防止策

コンクリートの壁

コールドジョイントはコンクリートにとってさまざまな悪影響を与えるため、防止策を講じることが重要です。
ここでは、コールドジョイントの防止策についてご紹介します。

打ち重ね時間の短縮

コンクリートの打ち重ね時間の短縮が、コールドジョイント防止に効果的とされています。
鉄筋コンクリートの施工に関する標準モデルが記載された「JASS5」では、一般的な場合の打ち重ね許容時間を以下のように定めています。

  • 外気温25℃未満の場合は2.5時間以内
  • 外気温25℃以上の場合は2時間以内

ただし、これらはあくまで目安のため、施工現場の環境によって適切な打ち重ね時間を導き出す必要があります。
特に暑い時期はコンクリートの硬化も促進させるため、注意が必要です。
またコンクリートの供給が途切れないようにするため、生コンプラントの連携も重要です。

凝結時間の調整を行う

コンリートの凝結時間は「遅延型混和剤」「遅延材」「超遅延材」などを用いることで、遅らせることができます。
さらに混和剤の添加物を調整すると、凝結時間が調整可能です。
ただし、凝結時間を遅らせると、仕上がり時間の遅れや型枠を外す時期の遅れなどが生じる可能性もあります。
また混和剤に既に凝結遅延材が含まれている場合もあるため、使用する際には出荷されたコンクリートプラントと十分な連絡を取り合いましょう。
そのため、施工計画をしっかりと練っていく必要があるでしょう。

適切な打設を行う

コンクリートの適切な打設も、コールドジョイントを防止する上で有効とされています。
たとえば、バイブレータをかける際には以下のことに注意しましょう。

  • 先に打ち込んだ層に約10㎝垂直に挿入する
  • 挿入間隔を50㎝以下にする

適切な施工を行えば、コールドジョイント発生の可能性を下げられます。

コールドジョイント発生の原因と対策を知っておこう

コールドジョイントが発生すると、コンクリートの強度や水密性などを低下させる可能性があります。
その結果、ひび割れや剥離などが発生してしまう場合があるため、打設の際には十分な注意が必要となります。