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断面係数の求め方。断面二次モーメントとの違いも紹介

断面係数は部材の断面性能を知る際に用いられる数値です。
この数値を理解しておくことで、部材の特性や強度などを知ることができます。
本記事では、部材の断面性能を表す数値である「断面係数」の概要や計算方法などをご紹介します。

断面係数とは

断面係数は、部材の断面形状が「曲げ」に対してどれくらい強いのかを表した数値です。
曲げる力(曲げモーメント)に対する抵抗力や強さを求めます。
断面係数が大きい方が、曲げに対して強いということになります。

さらに断面係数は「断面二次モーメント」と大きな関わりがあります。
断面二次モーメントから求めた式が断面係数であり、どちらも曲げに対する抵抗値を表します。
主に、断面係数は応力度算定に使われます。

断面係数の求め方

建設用部材の画像

断面係数の計算方法は複数あり、どの方法でも求めることができます。
ここでは、主な計算方法を3つご紹介します。

長方形断面を計算する

中が空洞ではない長方形断面を計算する方法では、断面二次モーメントの式から展開します。
長方形の長辺の半分の長さを「y」、曲げモーメントが「M」、断面二次モーメントが「l」とします。
この場合、曲げ応力度である「σ」は「σ=M×y/I」と表現されます。
この式を簡略化したものが「σ=M/Z」で、「Z」が断面係数となります。

長方形の長辺が「h」、短辺が「b」とした場合、断面二次モーメントは「b×hの3乗/12」となります。
そのため、断面係数は「b×hの2乗/6」となります。

中が空洞の長方形断面を計算する

中が空洞の長方形断面を計算する方法もあります。
中が空洞になっていない長方形の断面二次モーメントから、空洞部分の断面二次モーメントを引きます。
すると、中が空洞の場合に長方形の断面二次モーメント「l」が分かります。
断面係数を「Z」、中立軸を「y」とした場合、「Z=I/y」となり、中が空洞である場合の長方形の断面の断面係数が分かります。

暗算によって断面係数を計算する

構造設計を行う実際の現場では、暗算で断面係数を算出することも多いとされています。
断面係数を「Z」、長方形の長辺を「h」、短辺を「b」とした場合、「Z=b×hの2乗/6」という式になります。
この式から暗算によって断面係数を求めます。

断面二次モーメント

断面二次モーメントは部材の「変形しにくさ」を表しています。
たわみや座屈に関係する数値となります。
断面二次モーメントの数値が大きいほど、たわみや座屈が起きにくいことになります。
断面二次モーメントと断面係数はどちらも断面の特性を表した数値ですが、断面係数は主に曲げに対する「強度」、断面二次モーメントは曲げに対する「硬度」を表す場合が多いです。

計算方法

断面二次モーメント「I」は、長方形の幅「b」、高さを「h」とした場合、「I=b×hの3乗/12」と表現できます。
円形を導き出す場合に外径を「d」とした場合、「I=π×dの4乗/64」で計算できます。

また、平行軸の定理を用いて求めることもできます。
平行軸の定理は、図心を通る中立軸に関する断面二次モーメントを求める方法です。
はじめに「Z軸」に関する断面二次モーメントを求め、次に重心となる「y軸」の距離と面積を求めます。
そして平行軸の定理を使うことで、断面二次モーメントを算出できます。

断面係数と断面二次モーメントの違いを理解しよう

断面係数と断面二次モーメントは、どちらも部材が曲げに対してどれくらい強いのかを表す数値です。
断面係数は主に部材の強さ、断面二次モーメントは部材の硬さを表します。
計算方法が分かっていれば、断面係数は暗算でも求めることができます。
関係性が大きいため、違いや式での利用法などを覚えておくことをおすすめします。