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建設業退職金共済制度の現状と課題。よく見る黄色いシールの意味とは!?

建設業退職金共済制度とは、国による建設労働者のための退職金制度です。
会社から出る退職金とはどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、建設業退職金共済制度の概要や現状、課題、よく見られる黄色いシールの意味などをご紹介します。

建設業退職金共済制度の現状

建設業退職金共済制度は、独立行政法人「建設業退職金共済事業本部」と建設業の事業主が退職金共済契約を結ぶことで、建退共が労働者に退職金を支払うシステムです。
この制度は、建設現場で働く人のため、中小企業退職金共済法という法律に基づき、国が作り建退共が運営しています。
この制度は労働者が次々に現場を移動し、事業主を変えても、事業主が制度に加入していれば働いた日数に応じた退職金が支払われます。
全国で約220万人の職人が加入、事業者数の場合は約17万事業者が加入しているとされています。

【関連記事:建設業退職金共済制度について知っておこう!対象者やもらえる金額

建設業退職金共済制度の課題

工事現場のイメージ

メリットの多い建設業退職金共済制度ですが、改善が期待される課題も残されています。

証紙貼付方式の課題

建設業退職金共済制度の証紙を請求するためには、下請けが元請けに就労実績報告に関する書類を提出する必要があります。
しかしそれが元請けごとに異なっているため、混乱の元となっています。
さらに公共工事において下請が辞退届を提出し、共済契約者である下請に証紙が交付されないケースが発生しています。

所属している会社が加入しなくてはいけない

一人親方個人が建設業退職金共済制度に加入していても、所属している会社が加入している必要があります。
加入していない会社で勤めている間は証紙がもらえず、働いた日数に数えられないため、退職金が減ってしまいます。

公共工事の場合は発注金額に含まれている

公共工事の発注金額には、建設業退職金共済制度の掛金分が含まれています。
大手ゼネコンなどの元請は下請で働く職人さんの掛金分を国からもらっていることになります。
そのため、下請けは元請に証紙を要求することができます。
しかし、1度建設業退職金共済制度に加入すると、証紙を購入するために自腹をきらなくてはいけません。
すると、下請けが公共工事だけでなく民間工事も請け負っている場合、コストが増えてしまいます。
小規模な会社であるほどこの負担が大きくのしかかってしまうのです。

よく見る「黄色いシール」について

建設業退職金共済制度を加入している会社では「黄色いシール」をよく目にすることがあります。
発注者から工事を受注した共済契約者は、建設業退職金共済制度に対する下請けの事業主と労働者の意識向上のため、「建設業退職金共済制度適用事業主工事現場標識」という黄色いシールを提示します。
これは、現場事務所および工事現場の出入り口など、見やすい場所に貼られます。
この標識は各都道府県支部に用意されており、無料でもらうことができます。
発注者から工事を受注した場合、共済契約者はその工事に関する下請けの事業主の中に、未加入の事業者がいる場合、この制度に加入するように指導が必要とされています。
このシールには、工事名、発注者名、事業所名、契約者番号などを記入します。
サイズはA3とA4 があります。

建設業退職金共済制度について理解しておこう

建設業退職金共済制度は、事業主が加盟していれば、事業主を何度か変えることのある職人でも、退職金が支払われる制度です。
事業主が加盟してさえいれば、何度事業主が変わっても、働いた日数は合算され、その分の退職金をもらうことができます。
そのため、職人は事業主がこの制度に加入しているかどうか確認することが大切です。
現状では、小規模な会社ほど負担が大きい制度ですが、今後電子申請が導入されるなど、改善が見込まれるため、加入する事業者も増えると考えられています。