コンクリートポンプ車は、現場でコンクリート打設を行う際に用いられます。
では、具体的にどんな役割を持っているのでしょうか。
本記事では、コンクリートポンプ車の役割や圧送方法、関連する資格などをご紹介します。
コンクリートポンプ車の特徴
コンクリートポンプ車は、建設現場でトラックから離れた場所にコンクリートを輸送・打設するために用いられる車両です。
コンクリートポンプ車は、トラックやトレーラーなどの車両を改造して作られたものが多いです。
小さいものであれば2t車クラス、大きいものであれば車両総重量25tクラスもあります。
コンクリートポンプ車の仕組み
コンクリートポンプ車は「ブーム式」と「配管式」、そしてポンプの形式によって分けられます。
ブーム式
ブーム式は、配送菅を目的の場所に効率よく向けるための方式です。
ブームの長さは、車両の大きさによって異なります。
2tクラスの場合は約8m、25tクラスの場合は約36mにもなり、最大作業高さに対応可能です。
配送式
配送式は、コンクリートポンプ車が打設場所に近寄れないケースや、ブームが届かないケースで使用される方式です。
人力で配管を設置し、距離ができるだけ短く、曲がりの数が少なくなるように定められます。
ポンプ
ポンプは「スクイーズポンプ形式」と「ピストンポンプ形式」があります。
1.スクイーズポンプ形式
チューブを物理的に絞り出して輸送する形式です。
ポンピングチューブと呼ばれるゴム製のチューブを、絞り出しながらコンクリートを圧送します。
2.ピストンポンプ形式
「ピストン」と「弁(バルブ)」がついており、吸い込みと押し込みを繰り返して輸送する形式を指します。
コンクリートポンプ車による圧送
コンクリートポンプ車による圧送は、ブーム車による圧送と配管車による圧送に分けられます。
ブーム車による圧送
ブーム車は、折り畳み式のブームを取り付けたコンクリートポンプ車を指します。
ミキサー車で直接コンクリートを打ち込むのが難しい高所にも、ピンポイントで配送菅を向けられます。
現在は、4段階に折りたためるブームを装備したコンクリートポンプ車が主流です。
配管車による圧送
コンクリートポンプ車から、人力で現場まで配管を敷設して型枠までコンクリートを圧送する方式です。
長さに限界のあるブーム車よりも、遠く、高い場所までコンクリートを圧送することが可能です。
たとえば、ブーム車が届かない高層ビルなどは、配管車による圧送方式が採られることが多いです。
鉛直配管だけでなく、圧力が途中で弱くなる水平配管も必要なため、さらに高度な技術を要します。
また、ブーム車を配置しづらい狭い場所や安定性の悪い土地で使われるケースも多いです。
コンクリートポンプ車による圧送
ここでは、コンクリートポンプ車による打設手順をご紹介します。
手順1:コンクリートの打ち込み準備
コンクリートの打ち込みには、型枠が必要です。
型枠が適切に作られているか、型枠内の鉄筋は適切な位置にあるかなど、事前に確認しておきましょう。
打設後に修正を行うことは困難なため、事前の確認作業は重要です。
手順2:生コンの受け入れ検査
現場に到着した生コンが、発注したものと同じものかどうか伝票を確認します。
またミキサー車から生コンを荷下ろしする場合は、スランプや空気量、塩化物含有量試験などの受け入れ検査が行われます。
手順3:コンクリートの打ち込み
型枠内にコンクリートを流し込みます。
単に流し込むだけでなく、材料分離、打ち込み高さ、打ち重ね時間などを考慮する必要があります。
手順4:コンクリートの締固め
コンクリートを型枠の隅々まで充填するため、締固め作業を行います。
コンクリート内部に振動機を挿入する「内部振動方式」や型枠の外側から振動を与える「型枠振動方式」などがあります。
手順5:コンクリートの仕上げ
締固め作業だけでは、コンクリートの表面に凸凹ができてしまいます。
そのため、コテなどを用いた均一作業を行います。
コンクリートポンプ車に関わる資格と講習
コンクリートポンプ車は特殊な建設機械であるため、扱うには資格が必要です。
ここでは、コンクリートポンプ車に関わる資格と講習についてご紹介します。
特殊自動車免許
コンクリートポンプ車で公道を走るには、特殊自動車免許が必要です。
小型と大型の2種類があり、満18歳以上であれば取得条件は特にないとされています。
普通免許を持っている場合、学科試験が免除されます。
コンクリート圧送施工技能士
コンクリート圧送施工技能士の資格があれば、大規模な現場での仕事ができるようになります。
コンクリート圧送施工技能士は国家資格であり、取得するには技能検定試験を受ける必要があります。
特別教育の修了証
コンクリートポンプ車を扱うには、特殊自動車免許のほかに「特別教育」を受ける必要があります。
コンクリートポンプ車の場合は、「車両系建設機械(コンクリート打設用)」の特別教育を受けなくてはいけません。
コンクリートポンプ車について知っておこう
コンクリートポンプ車は、コンクリート打設時に必要な車両です。
扱うには特殊自動車免許と特別教育の修了証が必要ですが、一度取得すれば多くの現場で活躍できます。
また、さらに大規模な現場の場合は、コンクリート圧送施工技能士の資格が必要になってくることを知っておきましょう。