土木業務ではしばしば「欠損」が発生する場合があります。
この「欠損」とは一般的にイメージするものとは違い、「断面欠損」のことです。
断面欠損とは、一体どのような状態なのでしょうか。
本記事では、断面欠損の概要や事例、対策方法などをご紹介します。
断面欠損とは
断面欠損とは、躯体の断面が欠損することを指します。
木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、いずれも断面欠損は起きるとされています。
特に木造は、部材同士を組むため、断面欠損が起きやすいようです。
断面欠損を放置すると…
断面欠損を放置すると、時間の経過と共に構造物の強度が低下します。
例えば、梁や柱などの主要構造物にひび割れや変形、破損、腐食などが発生してしまいます。
さらに、放置し続ければ建物の自然崩壊につながってしまう可能性が高いでしょう。
特に、地震が多く発生する日本では、建物の強度が低下していると地震によって
即時崩壊してしまう危険性もあります。
財産の喪失だけでなく命の危険もあるため、断面欠損は放置してはならないと言えるでしょう。
断面欠損の例
ここでは、断面欠損の事例をご紹介します。
例1:雨水による腐食
雨を排水しきれず、溜まった雨水に長期的にさらされることによる腐食です。
また木材の表面が削れたり、鉄骨に錆などができたりすると腐食が進み
コンクリートの表面が剥がれたりする場合もあります。
こうした腐食により、結果的に断面欠損が起こりやすくなります。
例2:劣化
素材の劣化によっても断面欠損は起こるとされています。
木材や鉄骨、コンクリートなど、どんな素材でも自然劣化は避けられません。
また、太陽光や風、海岸付近での塩害などの外的要因が加わると、さらに劣化が進みます。
そのため、結果的に断面欠損が起こってしまうのです。
例3:昆虫被害
蟻などの昆虫による被害によって断面欠損が起こる場合もあります。
木材の場合に起こる被害では、
特にシロアリ、キクイムシ、カミキリムシなどの被害が多く報告されています。
例4:湿度や気温
湿度や気温が原因で起こる断面欠損です。
日本は四季があるため、年間の気温差が大きく、素材の収縮や膨張が激しくなります。
そのため、ひび割れなどによる断面欠損が起きやすくなってしまうのです。
断面欠損を防ぐ方法
では断面欠損を防ぐためには、どうすればいいのでしょうか。
ここでは、コンクリートの場合に絞ってご紹介します。
ひび割れ抑制用のネットを使用する
ひび割れ抑制用ネットとは、
コンクリートが硬化する段階での体積変化によるひび割れを防ぐためのシートです。
コンクリートを流し込む際に伏せこんで使用します。
型枠の角や開口部の周囲に使用するのがおすすめです。
膨張剤を使用する
膨張剤は、あらかじめコンクリートを膨張させ
硬化が進んだ場合でも想定以上に体積が収縮しないようにする薬剤です。
コンクリート製造時に混ぜ込むものと
型枠を取り外した直後にコンクリート表面に塗布するものがあります。
養生マットや断熱材を使用する
養生マットや断熱材で養生することで、
気温が低い時期でも、コンクリートの硬化速度を遅くすることができます。
その結果、ひび割れを抑える効果が期待できます。
低発熱セメントを使用する
低発熱セメントとは、通常のセメントと比較して硬化時の発熱量が小さいセメントを指します。
セメントは発熱することで硬化しますが、温度を低めにすれば硬化をゆっくり進められます。
断面欠損の具体例や対策方法を理解しよう
断面欠損は木材、鉄骨、コンクリートなど、どの素材でも起こりえます。
そのため、どのような状態で断面欠損が起きるかを理解し、
素材に合わせて施行をすすめることが大切です。
工事で使用する素材に合わせた対策方法を把握することをおすすめします。