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道路トンネルの変状・異常にはどのようなものがある!?事例を紹介

道路トンネルは、老朽化や異常による事故を防ぐため、平成26年から5年に1度の定期点検が義務付けられています。
その際、見逃してはいけない道路トンネルの変状や異常のケースを国土交通省 国土技術政策総合研究所が「道路トンネルの定期点検に関する参考資料(2021年版) ―道路トンネル変状・異常事例集」にまとめて発表しました。

本記事では、道路トンネルの点検に役立つ変状・異常事例集について取り上げます。

参照:国土交通省「道路トンネルの定期点検を支えます!

トンネル変状・異常の区分

本記事における道路トンネルの変状・異常とは、経年劣化や外部要因により
完成当初の状態から変化した状態になっていることを指します。

変状・異常が起こる箇所

道路トンネルにおいて、変状・異常が起こる箇所は主に以下11か所で確認されています。

  • 覆工 :アーチ部、側壁部、横断目地部、水平打継ぎ目部
  • 坑門:面壁部(面壁型)、突出部(突出型)
  • 内装板:内装工タイル(直張り)、内装工パネル(浮かし張り)
  • 路肩および路面:路肩、路面
  • 排水施設:側溝等

また道路トンネルの附属物等による異常の発生箇所は以下が報告されています。

  • 付属物等:附属物本体、取付部材、ボルト・ナット、アンカー類

出典:国土交通省「国土技術政策総合研究所

変状・異常の種類

また、道路トンネルの定期点検の際に見つかった変状・異常の種類には、以下が報告されています。

  • 変状:圧ざ・ひび割れ、うき・はく離、変形・移動・沈下、鋼材腐食、巻厚の不足または減少・背面空洞、漏水等による変状
  • 異常:破断、緩み・脱落、亀裂、腐食、変形・欠損、がたつき

トンネル本体工の変状例

道路トンネルの工事および点検において実際に報告された、変状例を2つ見ていきましょう。

変条例1:うき・剥離

道路トンネルを建設する際、金属のボルトや板で地山を支え、最後にコンクリートで固める山岳トンネル工法が多く採用されます。
山岳トンネル工法によって建設された道路トンネルにおいて、うき・剥離が見つかりました。
うきの周辺にはひび割れが見られるため、ブロック化したコンクリートによる落下が懸念されます。

変条例2:圧さ・ひび割れ

木製または鋼製の矢板をアーチ状に水平に打ち込み支保材で支え、最後にコンクリートで固める工法を矢板工法といいます。
矢板工法によって建設された道路トンネルのアーチ部分に、圧さ・ひび割れが見つかりました。
トンネルの外部から大きな力が働いている可能性が高く、新たに補強する必要があります。

出典:国土交通省「道路トンネルの定期点検を支えます!
出典:国土交通省「メンテにゅーす

トンネル附属物等の取付状態の異常例

トンネル付属物等は、さらに附属物本体、取付部材、ボルト・ナット、アンカー類に分類できます。
これらの状態把握も、道路トンネルの定期点検に含まれます。

異常例1:付属部本体による腐食

照明灯や標識、ケーブル銅管における腐食が見られ、なかには孔食という穴が見られる事例もあります。
早急に対応しなければ、重さによる落下が懸念されます。

異常例2:付属部本体による変形・欠損

自動車の衝突による変形やカバーの欠損、また腐食により落下の危険性があります。
点検で発見次第、仮止めなどで応急処置を行いますが、速やかな対策が求められます。

トンネル補修・補強材の変状例

トンネルの写真

道路トンネルの補修・補強が定期的に行われますが、その際に用いられた補修・補強材の劣化により
変状が起こった事例があります。
補修・補強材のうち、線状の漏水対策工が最も多い割合で変状が見られました。

トンネル補修・補強材の変状は特に当て板に多く見られるため、
コンクリートとの接着状態や取り付け部分の劣化状況、落下する危険性がないかに留意して点検する必要があります。
また自動車と接触する可能性の有無や、はく落防止効果が保たれているかの確認も同時に行います。

変条例1:支保材による保持対策の変状

道路トンネルのはく落を防止するため、当て板補強工法が使われます。
その際に使用された繊維シート系当て板が劣化し、うき・はがれが生じました。
このまま放置すると、はく落防止効果の低下および当て板自体の落下が懸念されます。

変条例2:当て板の劣化による変状

アーチ部に施工されたパネル系の当て板が劣化し、板自体が変形しました。
はく落防止効果の低下および当て板自体の落下、当て板の剥がれによる自動車との衝突が懸念されます。

出典:国土交通省「道路トンネルの定期点検を支えます!

道路トンネルの変状・異常には早期の対応を

道路トンネルの建設には本体を形作る部品のほかにも補修・補強材が用いられているため、点検すべき候も鋼や内容も複雑です。
そこで国土交通省が公開している「道路トンネルの定期点検に関する参考資料(2021年版) ―道路トンネル変状・異常事例集」を参考に過去の事例を知れば、事前に道路トンネルにおける事故を防ぐことが期待できます。

また今後、道路トンネルの仕事に携わる人も資料を読むことで、事前知識の習得に役立ちます。
資料を活用し、道路トンネルの定期点検における効果を上げましょう。