ネットワーク工程表は、建築現場での工程管理に使用される工程表の一種です。
工事関係者はこの工程表を基に工事を行うため、
工程表の作成者は工事全体をしっかり把握しておく必要があります。
本記事では、ネットワーク工程表の概要や作成方法、メリットなどをご紹介します。
ネットワーク工程表とは
ネットワーク工程表とは、数字と矢印の結びつきによって工程を表します。
たとえば、①→②→③のように表し、複雑なプロジェクトの総合管理などに適しています。
それぞれの作業項目と必要な日数、関連する工事などをすべて視覚化できます。
ネットワーク工程表の基本ルール
ネットワーク工程表には、作成時にいくつかのルールがあります。
ここでは、主な基本ルールをご紹介します。
- 各工事は矢印で表記され、「アクティビティ」と呼ぶ
- 各工事が結合する点は丸印で表記し、「イベント」と呼ぶ
- 丸印には重複しない数字を記入し、「イベント番号」と呼ぶ
- イベント番号は作業の進行に向かうほど、大きな正の整数を記入する
- 矢印は工事が進行する方向に合わせる
- 工事の内容は矢印の上に表記する
- 工事の時間は矢印の下に表示する
- イベントに入る矢印がすべて完了しないと、次の作業が開始できないとする。
ネットワーク工程表の書き方
ここでは、一般的なネットワーク工程表の書き方をご紹介します。
1.先行作業と後続作業
まず、先行作業と後続作業を書き出します。
2.日程調整
各アクティビティに作業日程を入れます。
標準状態の日程と工期が同じであれば調整は不要ですが、
超えている場合はアクティビティのいずれかを修正します。
複数の工事が同時に進行しており、それらの工事が完了してから次の工事を介する場合、
各工事の所要日数に誤差が出ることもあります。
また、同時並行の工事ルートごとに所要日数が違う場合は、所要日数の多い方を採用しましょう。
それぞれのルートの最長所要日数を選択すれば、建設工事全体の総所要日数を割り出せます。
3.フォローアップ
工事の進捗状況に合わせたフォローアップも行います。
指定の期日に工事が終了するように見積もったとしても、
実際は不測の事態で進行・完成が遅れることもあります。
そのため、工期を遅らせるような原因が出たらすぐに計画を修正しましょう。
フォローアップでは、主に以下を検討します。
- アクティビティごとの工事所要日数の見直し
- アクティビティの入れ替え
- 新しいアクティビティの設定
フォローアップ後の最長経路を早い段階で確認できれば、
適切な人材配置や機材投入などが可能なので、工事の遅延を最小限に抑えられます。
そのため、トラブルが生じた際には、速やかにフォローアップを行いましょう。
4.配員計画・機材配置
合理的な工程管理を行うには、工事内容や所要日数、原価などを考慮し、
適切な人員配置・機材配置の計画を立てる必要があります。
現場ごとに適切な技術者や労務者の作業時間、人数などを決めます。
配置する際には、人員、資材、機材などを平均化するように行います。
平均的に配置できれば、人員不足や建材・資材不足の防止につながるでしょう。
また原価管理や品質管理、安全管理上でも有利に働くと考えられています。
ネットワーク工程表を作成するメリット
ネットワーク工程表を作成するメリットには、以下が挙げられます。
メリット①:作業工程の全体像がつかみやすい
ネットワーク工程表では、作業工程が視覚化できるため、工事の全体像をつかみやすいのが特徴です。
施行管理やリーダーだけが工事の全体像を確認しているだけでは、効率の良い工事はできません。
現場の作業員全員が全体像を確認することで、より明確で計画的な行動につながるでしょう。
メリット②:工事の依存関係が把握しやすい
ネットワーク工程表は、工事の依存関係が把握しやすいのも特徴です。
特に大きなプロジェクトなど、複数の担当を同時進行する場合の手順が分かりやすくなります。
工事の依存関係を把握することで、それぞれの進捗関係を確認し、作業を進行させることが可能です。
効率の良い作業ができると待ち時間を削減でき、チームワークの高まりも期待できます。
メリット③:工事の所要日数が見積もりしやすい
ネットワーク工程表では、工事の所要日数を見積もりしやすくなります。
大きなプロジェクトは工程が複雑になるため、同時進行の把握も必要です。
工事の依存関係を図式化して所要日数を見積もることで、現実的な数値を算出できます。
また日数を明確化することで、周辺住民へ説明する際の資料としても役立ちます。
ネットワーク工程表について理解しよう
ネットワーク工程表は特に大きなプロジェクトなど複数の専門工事を行う場合、
プロジェクトも管理・俯瞰する際に役立ちます。
作業の関係性を表にすることで全体像が把握しやすくなり、
工事の進捗状況を確認しながらフォローアップができます。
専門用語やルールが多いため、作成に関する知識を身に着けることをおすすめします。