台風、地震、局地的な豪雨、津波など、災害大国日本において
国土や国民を守るための「国土保全事業」は必要不可欠です。
また、国土を保全するための施設やインフラは様々な分野に広がっており、
土木技術とも密接に関わっています。
そこで本記事では、土木工事に携わる人であれば知っておきたい「国土保全施設」の基礎知識を解説します。
国土安全施設とは
国土保全とは、国が「自然災害から国土並びに国民の生命、身体及び財産を保護すること」です。
対策する災害により治山事業、治水事業、海岸事業、下水道事業、急傾斜事業など多分野に渡ります。
国土保全施設は各事業で必要な施設を指し、一定の計画に基づいて新設・改良工事が行われるため、
土木事業者にとっても関係が深い公共事業なのです。
国土安全施設の具体例
前述のとおり、国土保全には様々な分野があり、さらに各分野で必要となる施設が異なります。
その具体例を確認してみましょう。
治水施設
- ダム:貯水だけでなく、大雨によって下流に大量の水が流れないように調節する役割を持つ
- 砂防えん堤:大雨による土石流を防止するダム。「砂防ダム」ともいう
- 調節池:川の水が急激に増えた際、一時的に水を貯めることで決壊などを防ぐ
- 高規格堤防:通常よりも堅牢な造りの堤防。地震や大洪水にも負けない強度を持つ
出典:利根川上流河川事務所「治水施設のいろいろ」
治山施設
- 治山ダム工:渓流底面の浸食を防止するなどし、山肌の土砂崩れを防ぐ
- 流路工:床固工によって土砂の移動を止め、山地の土砂の浸食を防止するための工事
- スリットダム:水や細かい砂利は流し、大きな岩石だけを止めるダム
- 水制工:水の流れる方向を変えて両岸に水流がぶつからないようにする工事
出典:栃木県「治山施設の整備」
国土保全施設の整備の必要性は高まる
国土保全施設の基礎知識について解説しました。
地球温暖化などにより、大規模災害のリスクに注目が集まっている昨今、
国土保全の必要性は以前にも増して高まっていると考えられます。
また、国土保全施設は老朽化も進んでいるため、
新設だけでなく更新、改良の需要も高まるかもしれません。
土木工事に関わる人であれば、各国土保全事業の動向を注視したいですね。