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土の地盤で起こる斜面崩壊と液状化。覚えておきたいポイント

基礎を安定させるための能力は、地盤を構成している土の形状や土層の組成に大きく影響します。
土を主材料として成り立つ構造体のアースダムや堤防、自然の斜面なども
土の形状に影響を受けると考えられています。

本記事では、インフラ施設の主な地盤となる「土」について斜面崩壊、地盤の液状化などをご紹介します。

土の斜面崩壊

集中豪雨などが原因で多量の水が土に染み込むと、
不安定になった斜面が滑り落ちる「斜面崩壊」が起こることがあります。
斜面崩壊は「山崩れ」「土砂崩れ」などと呼ばれていますが、
いずれも斜面表層の土がある深さを境に斜面を滑り落ちる現象を指します。

斜面の土塊は、重力により、常に斜面に沿った斜め後方に力が作用します。
下に滑ろうとする力に対抗するのが、粘着力と摩擦力です。
斜面を安定化させるため、急傾斜の斜面はコンクリートの土留めが施されることもあります。

斜面破壊には以下の種類があります。

斜面先破壊

斜面先破壊は、60度を超えるような急傾斜の粘土層の斜面が、円弧に沿って破壊するタイプです。
円弧の中心は、斜面の中央を通る鉛直線上になります。

底部破壊

底部破壊は、円弧が斜面の下端を超えた場所にまで達しているものです。
比較的緩く、軟弱な粘土層が硬い地盤の上にある場合に起こりやすいといわれています。
斜面の上層は沈下し、斜面下端の前面部分に盛り上がる部分ができます。

斜面内破壊

斜面中に硬い層があり、その層と軟弱な層の境界線と斜面の交点を通る円弧の面に沿って崩壊するタイプです。

地盤の液状化

液状化

液状化現象は、地下水位の高い砂地盤が強い振動を受けると液体と同じような性質に変わり発生します。
たとえば、過去では沼や海岸を埋め立てて造成した場所で多く発生しました。
地盤の液状化が起こると、地盤を構成する土の比重よりもみかけの比重が小さい埋設物は
浮力が働いて浮き上がってしまいます。

反対に、比重の大きな建物や構造物などは、沈下を起こしてしまうのです。
振動で液状化した地表付近の水を含んだ砂は、地表に噴出します。
国内で地盤の液状化現象が一般に広まったのは、
1964年の信濃川流域の砂質土層の建物沈下・倒壊とされています。
これ以降、液状化を研究する人が増えたといわれています。

砂地盤

砂地盤は、砂を主体とする地盤のことで、砂の粒子相互の摩擦により安定を保っています。
この砂質土が水を含んだ状態で振動が起こると、摩擦がなくなり、みかけの体積が減少してしまうのです。
すると、粒子間の間隙が狭まろうとするため、水が圧力を受けて地表に噴出してしまいます。
さらに、せん断抵抗力が減少することで、差地盤は液体のような挙動を示します。
ただし、杭基礎の構造物は、固い地盤まで杭を打ち込まれているため、支持力を失いません。

しかし、地盤で直接支持された直接基礎や摩擦杭の場合は、
液状化と共に急激に支持力を失うことで沈下や傾斜が発生してしまいます。
地盤が沈下を起こすと、沈下をしていない杭基礎の構造物と周囲の地盤の間で段差が生じるため
注意が必要です。
たとえば、海沿いの埋め立て地だけでなく、
内陸部の河川流域部や湖沼、湿地の付近でも液状化が発生しています。
砂質土の層を粘土で覆って水田にした場所、またその後で宅地化された場所では、
液状化を起こし砂と水をまき上げる「噴砂(ボイリング)」という現象が発生する可能性もあります。

斜面崩壊と液状化について知ろう

斜面崩壊も液状化も、大きく土が崩れてしまう現象です。
斜面崩壊を防ぐには土留などを行い、液状化を防ぐには
固い支持層まで杭を打ち込むなども方法があります。
斜面崩壊にはいくつかの種類があるため、知識として覚えておくことをおすすめします。