Menu

柳枝工と植生護岸工の違い。河川の土木工事従事者として知っておきたいこと

繁茂した樹木は、さまざまな生き物の生息空間になります。
特に柳で日差しが遮られた場所は、水際の草が繁茂することで魚類が生息しやすくなります。

本記事では、柳枝工と植生護岸工、水辺空間整備と人工流路、流域水マネジメントについてご紹介します。

柳枝工と植生護岸工

ここでは、柳枝工と植生護岸工についてご紹介します。

柳枝工(りゅうしこう)

柳枝工は、石と粗朶に柳などの樹木を差し込み、生育によって張った根が石を抱き込むことで
護岸法面の安定化を図る法面の施工のことを指します。
洪水時には法面の土砂の流出を防止し、柳の枝によって流速を弱める効果が期待できます。

植生護岸工

植生護岸工は、法面全体を植物で覆い根を張ることで、法面の安定を図る工法です。
水生植物(アシ)などを植栽することで、根がロールを貫通して土中に根を張ります。
植生工により、浸食防止や凍上による表層の崩壊防止があるとされています。
さらに、ヤシ繊維などのマットにより土の流亡を防止して草の成長を高めます。
また、植生によって法面を覆うことで、自然環境の保存や修景の効果も期待できます。

水辺空間整備と人工流路

水辺空間

水辺空間は、人々に憩いを与えてくれる憩いの場となります。
しかし、高度経済成長期に急速に都市化されたことにより、河川周辺地域の多くは宅地に転用され、
コンクリートで囲まれた河川が多く作られました。
さらに、未処理の下水や汚水、雑排水が流入することで河川の汚濁が進んでしまったのです。

1980年代以降、自然環境保全への関心が高まったことで、
親しみのある水辺空間を作り上げる動きが始まりました。
人工流路により埋め立て空間や暗渠化しなくなった生活の河川や水路を取り戻すことで、
水辺空間を作る事業を活かし始めたのです。

たとえば、横浜横須賀道路の釜利谷ジャンクションでは、
高速道路脇の空間を利用し、多様な構造の人工水路が設けられています。
この水路は動物の繁殖場所となっており、毎年ゲンジボタルが確認されるようになりました。

また、同じく横浜市の南部を流れている宮川の中流部を暗渠化し、
その上に2段構造で設けられたのが宮川せせらぎです。
宮川せせらぎの脇には緑道が設けられており、近所にある金沢自然公園への散歩コースとなっています。

流域水マネジメント

水は、人々の生活に大きな関わりを持っています。
水資源の供給や洪水対策、地下水、地盤沈下対策、安全な飲料水供給、河川の土砂運搬など
どれもが人々の生活に影響を与える課題です。
流水域マネジメントは、水の課題を広い視点で最良の対応を取るために必要な技術として研究が求められています。
日本では、国際河川がないことから馴染みにくい条件を持っています。
ただし、水ビジネスが国際的に拡大している中で、日本でも国際的な見方が必要とされています。

また、ダムの存在も重要です。
日本では、環境保全と治水対策の関係において、多くの議論が行われてきました。
しかし、ダムが環境にどのような影響を及ぼすのかは、依然としてわかっていない部分もあります。
人工的に水をせき止め、水をためるという行為がどのよう影響を与えるのか、
化学的に解明することも流水域マネジメントにとって重要なことなのです。

柳枝工と植生護岸工について知ろう

人々が安全かつ快適に生活するためには、水に関するマネジメントが必要と考えられています。
柳枝工と植生護岸工はいずれも法面を覆う工法です。
洪水時などに流速を緩めたり、表層の崩壊を防止したりする効果があります。
流水域マネジメントなどに興味のある方は、ぜひ知っておきましょう。