フロントローディングとは、2000年代に建設業界に誕生した言葉とされています。
2010年代になると、フロントローディングに取り組む企業が急速に増え、設計や採算業務プロセスを変革する動きが出てきました。
本記事では、フロントローディングの概要や流れ、メリットなどをご紹介します。
フロントローディングとは
フロントローディングとは、「フロント」と「ローディング」が組み合わさった言葉です。
初期工程に負荷をかけるという意味で用いられ、建築ではフロントの設計に負荷をかけて前倒しで作業を進めることを指します。
施工を進めながら設計を見直していくのではなく、設計段階で検証やシミュレーションを重ねて品質を高めようという考え方です。
設計段階が作業のピークとなり、施工段階の負荷の軽減につながるとされています。
フロントローディングの流れ
ここでは、フロントローディングの基本的な流れについてご紹介します。
人材の配置
まずフロントローディングを進める上で大切なのは、意思決定権限を持つ施工系の人材を早期かつ適した場所に配置することとされています。
一般的には、作業所長や施工部門のプロジェクトマネージャーなどが選任されます。
施工方針を設計者に明確に伝えることで、生産の立場から見てプロジェクトに有効と思われる情報を提案していく位置づけとなります。
計画
基本設計段階で、施工者から設計者に構工法などを提案します。
プレキャスト化、鉄骨の柱や梁仕口部仕様、既存地下躯体の本施利用などは、主要構造に関わる部分です。
コストや納期に大きく影響するため、詳細設計が始まる前に反映しておきます。
図面
施工者から見ると、設計図書の着工時の不整合が問題点として挙げられやすいとされています。
設計者と施工者の責任範囲を定めておき、設計図書の早期整合確認を行いましょう。
実施設計段階では、設計者が作った設計図書を元に、施工者が施工図の作成を行います。
この段階の施工図は、設計情報と生産情報の照合が主な目的とされています。
照合することで、施工を見据えて先取りの品質管理が可能になるといわれています。
また着工前には、未決事項の整理と情報共有も行っておきます。
コストの計算
概算見積金額や積算見積金額などを建築主と合意しておきます。
合意した内容は文書化しておき、いつでも確認できる形にしておきましょう。
また、設計者と施工者が同じコスト認識を持っておくことも大切です。
両者間でコスト感覚が異なっていると、信頼関係が構築できないためです。
フロントローディングの役割とメリット
フロントローディングの役割やメリットには、以下が挙げられます。
役割とメリット1:コスト削減
フロントローディングは、初期段階において負荷をかけて作業を進めます。
この作業によって、施工途中で修正を入れる回数を減らすことができるため、コストを大幅に削減することができます。
役割とメリット2:設計と現場のギャップを埋められる
設計などの上流工程と、施工段階の下流工程、それぞれの担当者が議論する場を設けることができます。
お互いの情報や意見を早い段階から共有することができるため、設計物に関する認識を統一させることができるでしょう。
また、他の部門の知識や技術を知ることができるため、企業全体の能力の底上げにもつながるでしょう。
作業工程の効率向上が期待できる
フロントローディングを導入すれば、業務効率化やコスト削減などにつなげることができます。
ただし、正しく導入できなければかえって負担が増えたり、効率が悪化したりする可能性があります。
そのため、フロントローディングのメリットや流れなどを理解し、手戻りなどが発生しないように注意しましょう。