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隅肉溶接とは!?開先溶接との違いや記号の意味を知ろう

隅肉溶接(すみにくようせつ)は溶接の手法の一つです。
溶接の手法には他に開先溶接などがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
施工管理の仕事をするうえで知っておきたい、鋼材に関する知識「隅肉溶接」についてご紹介します。

隅肉溶接とは

隅肉溶接とは、鋼材をアーク溶接する手法の一つです。
鋼板を重ねたり、T型に直行する2つの隅肉に金属を持ったりして溶接合します。
隅肉溶接は、母材と母材が一体化していないため、母体をまたぐ場所に三角形の段面がある、溶着金属を用いて接合されることが多いです。
接合強度は高くないため、一般的に引張力がかかる部分には使用されません。
梁のウエブなどせん断力のかかる部分などに用いられることが多いです。

開先溶接との違い

同じ溶接による接合に「開先溶接」があります。
開先溶接は、溶接の強度を高めたい場合に用いられる手法の一つです。
必要な溶け込みを得るため、溶接継手に設けられた溝状のくぼみを「開先」と呼びます。
この開先が施された母材の接合面を溶接する方法が、開先溶接です。
開先溶接は、開先の形状によって溶接の深さや幅、接合面積を変えれば、強度を調整できます。
隅肉溶接の場合は、母材間に隙間ができるため、開先溶接よりも強度が低くなってしまいます。
隅肉溶接と開先溶接は、溶接する場所によって使い分けられます。

隅肉溶接に関する記号

隅肉溶接を行う際には、溶接記号を用いた設計図面が必要なケースがあります。
溶接記号は「JIS規格」によって規定された、溶接の手法を指示するために使用される記号のことです。
溶接記号は溶接する箇所を「矢」で示します。
さらに水平に引かれた「基線」があり、基線に合わせて基本記号と寸法を起債します。
母材の開先方向は、基線の下側か上側に記載するかで区別します。
また、隅肉溶接に関する記号には以下が挙げられます。

表面形状

表面形状を表す溶接補助記号は、ビードの表面仕上げ方法を指示するために用いられます。
「平ら」「凸」「へこみ」「止端仕上げ」の4種類があります。
止端仕上げとは、ビードと母材の許可胃部が、滑らかになるように表面を仕上げることを指します。

裏波溶接

裏波溶接は、突き合わせ溶接を行う際に、ルート側面の隙間を完全に覆い、板や管の裏側に溶接ビードを出す手法です。
裏波溶接は、基線と黒の半円で表現します。
補助記号は、矢が示す側と反対の面での指示のため、基本記号と反対側に記載します。
裏波溶接の記号の前に数字が表記されている場合は、必要なビードの高さを表します。

非破壊検査

非破壊検査の記号は、基線を2段にし、上段に記載します。
非破壊検査とは、対象物を破壊することなく構造物の欠陥を調べる検査です。
溶接においては、放射線透過試験や超音波探傷試験などが行われます。
この検査によって、溶接部の内部にある欠陥の有無や欠陥の大きさなどが調査できます。
さらに、欠陥の場所や形状、材質などによって適した検査を選択します。

現場溶接

現場溶接は「旗信号」で表記され、矢と基線がつながる場所に記載します。
現場溶接とは、組み立て現場で溶接を行うことです。
基本的に溶接は正確性が求められるため工場で行いますが、大型設備がある現場などでは溶接を指示される場合があります。
その場合には、現場溶接の記号を設計図面に記しておきます。

隅肉溶接の有効長さと有効断面積

隅肉溶接の有効長さとは、溶接部の実長から始端と終端のサイズを引いた長さとされています。
隅肉溶接部の有効長さは、以下の式で求められるとしています。
「Lb=L-2S」

Lは全長、Sはサイズです。
溶接部の始端と終端は溶接不良が起きやすいため、所定の溶接サイズにならないこともあります。
そのため、溶接部の長さから始端と終端のサイズ分を控除しておくのです。

有効断面積
隅肉溶接の有効長さに「のど厚」をかけた値が「有効断面積」とされます。
有効断面積に隅肉溶接の強度をかければ「隅肉溶接の耐力」を計算できます。

隅肉溶接の注意点

工事現場の安全確認

隅肉溶接は金属材料を融解して凝固する作業ですが、その際に高エネルギーを使用します。
強烈な熱や光、さらに飛散物やヒュームなどが発生する可能性があります。
そのため、溶接作業の際には内容に応じて適切な保護具を装着しなくてはいけません。
例えば、溶接時の強い光によって目に障害を負わないようにするため、専用のゴーグル、保護面などを装着します。
さらに保護帽、防塵マスク、腕・足カバー、保護手袋なども必要とされています。
さらにアーク溶接を行う際には「アーク溶接等の義務に係る特別教育」を受講する必要があることも忘れてはいけません。

溶接する箇所によって使い分けられる

隅肉溶接は、強度が低い溶接方法のため、溶接する箇所によって開先溶接と使い分けられます。
開先溶接は隅肉溶接よりも強度が高いため、強度部材の溶接に用いられることが多いです。
隅肉溶接の特徴や開先溶接との違いについて理解しておきましょう。