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測量に使用するトランシット。種類や使い方を解説

トランシットとは、測量の際に使用する機器の一つです。
角度を測るのに欠かせない機器の一つで、より正確な値を求めるために使われます。
測量の際には、さまざまな機器を使用するため、それぞれの名称や使い方を覚えておくと便利です。

本記事では、トランシットの概要や種類、使い方などをご紹介します。

トランシットとは

トランシットとは、測量機器の一種で、角度を測る際に使われます。
測量の作業においては、角度と距離を測ることが重要です。
トランシットでは、距離を測ることはできませんが、角度を正確に測ることができます。
測量では、角度が1㎜でもズレると、距離が長くなるにつれ何m、何十mもズレてしまいます。
そのため、角度を正確に測ることは、測量において大きな意味を持ちます。

セオドライトとの違い

同じ角度を測定できる機器に「セオドライト」があります。
基本的には、どちらも同じ機器です。
セオドライトは元々、ヨーロッパで精度を重視して作られた機器のことです。
一方、アメリカでは精度よりも使いやすさを重視して作られたのがトランシットです。
現在では、統一してセオドライトと呼ばれるのが一般的です。

光波との違い

光波は、トランシットと異なり基準点からの距離を計測できる機器です。
光波は、基準点から目標点に光を反射し、返ってきた光を解析して距離を計測します。
光波は基準点から目標点までの直接距離を計測することができますが、
水平距離を求める際には距離だけでなく角度も必要です。
そのため、光波とトランシットを組み合わせたトータルステーションという計測器が使われることが多いです。

トランシットの種類

ここでは、トランシットの主な種類をご紹介します。

種類①:光学トランシット

光学トランシットは、光学タイプのトランシットです。
分度盤の角度情報をもとに、光学的に拡大して読み取ることができます。
使いやすさを高めた、求心望遠鏡、複軸機構、望遠鏡気泡管などに改良を加えたものもあります。

種類②:レーザートランシット

レーザートランシットは、レーザー照射して角度を測定できる機器です。
主にトンネルなどの工事で、方向制御、墨出しや通り出しなどの作業の際に使用されます。
集光ビームと平行ビームを一つの機械で出すことができたり、レーザー出力の多段階調整ができたりなど
さまざまな機能が搭載されているのが特徴です。

種類③:デジタルトランシット

デジタルトランシットは、水平儀のことを指します。
任意の点と点の間の水平角を、自動で計測することが可能です。
電子トランシットには、小口径のレーザーを長距離まで照射できたりするものや
視準軸方向に照射できたりするものもあります。
こうした機器は、墨出し作業を一人で行えるため、効率的に作業できます。

トランシットの使い方

ここでは、主なトランシットの使い方をご紹介します。

手順①:水平に設置する

まずトランシットを水平に設置します。
トランシットで正確な角度を測定するためには、機器が水平状態を保っている必要があります。
トランシットの下部にある水平器を見ながら、気泡が中心に来るように調整します。

手順②:細かい調整を行う

トランシットについたネジで細かい調整を行います。
本体中央部にあるさらに精度の高い水平器を見ながら、3つのネジをまわして正確に水平にします。

手順③:赤外線レーザーをセットする

トランシットのボタンを押し、角度を計測したい位置に赤外線レーザーをあてます。
レンズを覗きながら、予定している位置にレーザーがあたっているか確認しましょう。
ポイントがズレている場合は、トランシット本体を回転させながら調整します。

手順④:測定地点を観測

0セット後に測定地点を観測します。
最初に赤外線レーザーを照射した地点を0にセットするには、「0SET」のボタンを押します。
その次に観測地点にレーザーを照射すれば、0セット地点を基準とした水平角度が計測できます。

トランシット使用時の注意点

トランシット

トランシット使用時の注意点をご紹介します。

注意点①:レンズで見える距離を把握する

トランシットの作業を行う際には、正観測と反観測を1回ずつ行い、その平均を取ることが多いです。
レンズを通して見える距離を大まかにでも把握しておけば、据え付けの回数を減らせるので
さらに誤差を減らせます。

注意点②:平坦な場所に据え付ける

トランシットは、落下や衝撃がないように注意が必要です。
そのため、できるだけ平坦な場所に、三脚を立てるように心がけてしっかり固定しましょう。

注意点③:定期点検をする

トランシットなどの計測機器は、時間が経つにつれて劣化してしまいます。
そのため、定期点検で故障や不具合がないかどうかを調べておきましょう。

トランシットは角度を測定するのに必要な機器

トランシットは角度を測定するのに重要な機器です。
そのため、トランシットの役割や種類、使い方について正しく理解しておくことが必要です。
また近年では、トランシットではなくセオドライトと呼ばれることが一般的なことも覚えておきましょう。