剛接合とピン接合は、どちらも接合方法の種類です。
接合方法にはさまざまな種類がありますが、どの方法がどの施工時に適しているのか、しっかりと覚えておきたい方も多いのではないでしょうか。
本記事では、剛接合とピン接合のそれぞれの特徴や、どのようなときに利用されるのかなどをご紹介します。
剛接合の特徴
剛接合とは、部材同士を一体化するように接合する方法です。
たとえば、柱と梁など異なる部材同士を一体化させることを剛接合といいます。
一体化するように接合することで、外から力が加わっても接合部が変形しにくいという特徴があります。
剛接合を利用すると、強い耐震力を得ることができるため、ラーメン構造の構造物などで多く使用されています。
剛接合の構造
剛接合はラーメン構造などで用いられる接合方法です。
柱と梁を一体化するのが最も一般的な方法で、梁継手と呼ばれているプレートの上からボルトで留める方法が用いられることが多いです。
ラーメン構造は剛接合することで抵抗する構造形式で、斜め部材を入れないため広々とした空間にすることが可能です。
そのため、現代のマンションや公共の建物のほとんどがラーメン構造を採用しています。
ピン接合の特徴
ピン接合は、一体化まではいかないものの部材同士を留める接合方法です。
接合部が回転するため、曲げモーメントを伝えないのが特徴です。
小梁や間柱などの二次部材やブレース構造、トラス構造などを採用する場合は、ピン接合が用いられます。
ピン接合の構造
ピン接合する部分は、蝶番のように回転するのが特徴です。
縦や横にずれる力は伝えられますが、回転する力には無抵抗です。
接合部に曲げモーメントが発生しないため、簡単な構造設計ができます。
また地震力を負担する必要がない場所や、曲げモーメントを伝えたくない場所などにも採用されています。
ピン接合は曲げモーメントが発生しないため、変形しやすくなっています。
そのため、柱と梁をピン接合でつなぐと地震や強風に弱くなってしまうため、斜め部材(ブレース)を配置して、構造物の硬さを高める工夫などが行われています。
剛接合とピン接合の具体例
剛接合とピン接合は、主に以下の場所で用いられます。
鉄筋コンクリート建物
鉄筋コンクリート建物は、型枠に凝固前のコンクリートを流し込んで一体化させます。
そのため、基本的に接合物には剛接合が用いられます。
しかしひび割れが入ってしまうと、そこを起点に回転できるようになるため、半剛接合となります。
内部の鉄筋が降伏するとピン接合に近づきます。
部材が損傷すると接合部が緩むため、コンクリートを健全な状態でピン接合にするのは難しいとされています。
鉄骨建物
ピン接合が用いられることが多いのが、床を支えるための大梁と大梁の間にかける「小梁」です。
梁に使用されるのは「H形鋼」と呼ばれる鉄骨です。
断面が「H」の形になっており、使用する際には横にして使用します。
地面と水平になる2辺をフランジ、垂直になる1辺はウェブと呼ばれます。
小梁は端部を大梁とつなぎますが、ウェブのみをつなぐためピン接合が用いられます。
大梁はフランジとウェブ、どちらもつなぐため剛接合となります。
1階の脚部は基礎コンクリートとつながる部分であり、鉄とコンクリートの異種材料を接合する必要があります。
柱の基礎のコンクリートの中に埋め込む柱脚や、1階の真ん中まで土台を立ち上げる柱脚は剛接合を用いることが多いです。
剛接合とピン接合の違いを理解しよう
剛接合とピン接合は、用いられる場所が異なります。
どちらがより優れているというわけでなく、場所によって用いる接合方法を変えることで、より効率的に建物を建設できます。
両者の特徴を理解して用いることが大切なため、違いを知っておいてはいかがでしょうか。