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ヤング係数とコンクリートの関係。計算方法を紹介

ヤング係数とは、木材や鉄鋼、コンクリートの強度に関わる数値です。
工事の資材を選ぶ際には重要な数値となっているため、計算方法などを知っておくことも大切です。
本記事では施工管理職として覚えておきたい、構造力学や構造設計で重要となる「ヤング係数」についてご紹介します。

ヤング係数とは

ヤング係数とは、物体の硬さを表す指標の一つです。
数値が大きいほど硬くて変形しにくく、小さいほどやわらかくて変形しやすいとされています。
構造力学や構造設計において重要な概念とされ、木材や鉄鋼、コンクリートなどの資材の硬さを表現する際に用いられます
別名、「縦弾性係数」「弾性率」「ヤング率」とも呼ばれています。

応力とひずみの関係

ヤング係数は、応力とひずみに大きく関係しています。
たとえば、鋼材の引張試験などを行うと、応力度と変形は比例関係となります。
そしてある応力度を迎えたとき、鋼材の応力度は落ちていきます。
その後、応力度は一度上昇しますが、最大応力度を迎えたときに、鋼材は破断します。
ヤング係数は、応力度とひずみが線形的に進んでいる弾性領域の「傾き」を指します。
鋼のヤング係数は、どの種類の鋼を用いても一定の値となるとされています。
この性質が鋼材の特徴であり、鉄骨材が扱いやすい理由の一つでもあるとされています。

ヤング係数の大きさによる違い

ヤング係数は、数値の大きさによって特徴が変化します。

大きい場合

ヤング係数が大きいと硬く変形しにくくなります。
ヤング係数が大きい資材には、金属類、鉱物、セラミックスなどが挙げられます。
一般的に、ヤング係数が大きい材料は衝撃に弱いとされています。
これは、一定の力を受けるまではほとんど変形しませんが、一定以上の負荷を与えると一気に破損するためです。
そのため、基本的に変形したら危険な場所には使用されません。

小さい場合

ヤング係数が小さいものは、やわらかく変形しやすいとされています。
ヤング係数が小さい資材には、木材、樹脂類、ゴム類などが挙げられます。
やわらかく変形しやすい資材は、負荷をかけても伸びたり、たわんだりするため、破損することが少ないとされています。
そのため、柔軟性が求められる場所に使用されることが多いです。

ヤング係数の計算方法

計算しているイメージ

ヤング係数は、「応力とひずみが比例関係にある領域」であるとされています。
この関係性は「フックの法則」と同様のため、公式を用いることができます。
フックの法則は、f(力)=K(定数)×X(伸び)となるため、これをヤング係数の計算方法に当てはめると以下のようになります。

E(ヤング係数)=σ(応力)/ε(ひずみ)
以上の計算式で導きだすことができます。

またコンクリートのヤング係数は、強度と気乾単位容積質量に関係があります。
強度の高いコンクリートほど、大きな数値となります。
一般的な強度は、2〜32kg/mm2程度とされています。
JASS5にはヤング係数の規定があり、以下の式で導きだされた値の80%以内であることが定められています。

E=3.35×104×(r/2.4)2×(σB/60)⅓
rは単位容積質量、σBは圧縮強度です。

梁の変形

梁は集中荷重が作用する場所であり、単純梁の場合の計算式は以下となります。
δ=PL3/48EI

ヤング係数の計算方法について知っておこう

ヤング係数は、材料の硬さの度合いを表す数値です。
主に構造計算などに使用されており、建設業界では日常的に利用されています。
コンクリート、木材、金属類などでそれぞれ適したヤング係数は異なるため、正しい計算式を覚えておくことが重要です。