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アースドリル工法の施工手順。特徴と強みを解説

アースドリル工法は、地面を掘削する工法の1種であり、現在も行われている工事方法です。
しかし、多くの方には馴染みの薄い言葉かもしれません。

本記事では、アースドリル工法の概要から施工手順、その強みについて紹介します。

アースドリル工法とは

アースドリル工法とは、ドリリングバケットと呼ばれる歯のついたバケツで地盤を掘削し、
掘削した穴にコンクリートを流し込む工法です。

建造物を建てる際、支えとなる杭を作成する必要があり、これを杭基礎工事と呼びます。
アースドリル工法も杭基礎工事の一つです。

本来は全ての建物に杭が必要なわけではありません。
しかし、日本では基礎工事として多くの建造物で採用されています。
これは日本における土地の特徴が関係しています。

日本の都市部や住宅地域の多くは河川の下流地域に該当する場合が多く、
その地域は地盤が緩いとされています。
さらに、日本は世界有数の地震大国でもあり、建造物を建てる際には耐震性が非常に重要です。

つまり、地盤が緩い土地に耐震性のある建造物を建てる必要があるのです。
そのため、日本で建造物を建てる際には杭基礎工事が行われます。

アースドリル工法の施工手順

杭基礎工事を実施する際、軟らかい地盤ではアースドリル工法が採用されます。

アースドリル工法を行う際、専用の掘削機であるアースドリル機が用いられます。
そして、アースドリル機では穴を掘るためにドリリングバケットと呼ばれる
底に歯のついたバケツを使用します。
このドリリングバケットを回転させて地盤を掘削するのです。

掘削された土砂はバケツ内に収納され、バケツを引き上げた際に
収納された土も排出される仕組みとなっています。
掘削が完了した後、穴にコンクリートを流し込むことで、建造物の支えとなる杭を建設します。

より具体的な手順は以下の通りです。

  1. アースドリル機を施工箇所に据え付け
  2. 表層を掘削した後、倒壊しないようにケーシングを挿入(表層部分は倒壊しやすいため)
  3. ドリリングバケットを回転させて、目標地点まで掘削
  4. 掘削中に発生した土砂を、ドリリングバケットにて回収する(掘削によって生じた土砂は「スライム」と呼ばれるため、この作業は「スライム処理」と呼ばれる)
  5. 杭を外部から補強する鉄筋籠を穴に挿入
  6. コンクリートを流し込むトレミー管を穴に挿入
  7. コンクリートを流し込む前に、もう一度スライム処理を行う
  8. トレミー管からコンクリートを流し込み、杭が完成
  9. 表層ケーシングを引き抜く
  10. 穴を埋め直して完了

アースドリル工法の強み

アースドリル工法

アースドリル機を用いて地盤を掘削するのがアースドリル工法ですが、杭基礎工事は他にも種類があります。
その中でも、アースドリル工法が優れている点を見ていきましょう。

強み①:必要となる機械設備の規模が小さいため、工費が安く済む

アースドリル工法で必要となる機械設備はアースドリル機だけであり、工費も安く抑えられます。
例えば、固い地盤での杭打ちで採用されるオールケーシング工法の場合、
穴を掘るために大掛かりな装置が必要となります。

アースドリル工法は、他の杭打ち工法と比較しても必要な機械設備が少なく
工費も安く抑えられるのが特徴です。

強み②:効率良く施工が実施できる

アースドリル工法は他の杭打ち工法よりも工事内容が簡単とされています。
アースドリル機自体も扱いやすいため、比較的短時間で施工が完了するのも特徴です。

また、アースドリル機の管理装置にコンピューターを用いた場合、さらなる効率化を実現します。

このように早く工事を完了させられるというメリットは、作業員への工賃を抑える効果もあり、
安価で杭打ちができるという特徴にも貢献しています。

アースドリル工法は基礎杭法の一種

日本の土地で建築物を建てる場合、耐震性を高めるために支えとなる杭が欠かせません。

そして、杭基礎工事の中でも、アースドリル工法は工費の安さや施工効率の高さが強みです。
それで、現在でも杭基礎工事を行う際には、アースドリル工法が採用されることも珍しくありません。

適切にアースドリル工法を実施し、建築物の建設に役立てましょう。