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鉄筋についての基礎知識をつけよう!種類はいくつある?

建物を構造する材料や材質にはさまざまな種類があり、鉄筋もそのうちの一つです。
鉄筋が使われた建物は「RC」や「SRC」などの文字で表現されますが、どういった意味かご存知でしょうか。
また鉄筋には独自の性質があるため、施工管理職を目指す方は理解しておくことが大事です。

本記事では、建物構造の種類や鉄筋の性質、鉄筋の種類などの情報をご紹介します。

建物構造の種類

建物の構造の種類は、代表的な以下の4種類の方法に分けられるとされています。

  • W造(Wood):木造
  • S造(Steel):鉄骨造
  • RC造(Reinforced Concrete):鉄筋コンクリート造
  • SRC造(Steel Reinforced Concrete):鉄筋鉄骨コンクリート造

アルファベットは材料や材質を表しています。

W造(木造)

主に、木材を使用して作られた構造を指します。
日本の気候風土に合っていることから、古来より多く作られてきました。
現在でもアパートや住宅などで採用されています。

S造(鉄骨造)

鉄骨造とは、骨組みに鉄骨を利用した構造のことです。
木造の柱が鉄骨に置き換えられたものと考えれば分かりやすいでしょう。
鉄骨造は「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」の2種類に分けられます。
鋼材の厚みが6㎜以上になると「重量鉄骨造」となり、6㎜未満のものが「軽量鉄鋼造」と呼ばれています。
重量鉄骨造は高層ビルやマンションなど、大規模建築物を作る際に用いられます。
軽量鉄骨造は小規模店舗や一般住宅などを建築する際に用いられることが多いです。

RC造(鉄筋コンクリート造)

鉄筋コンクリート造は、柱や梁、壁などが鉄筋とコンクリートで構成されている構造物を指します。
鉄筋とコンクリートを組み合わせることで、大規模建築物にも適した強度を出すことができるとされています。
通常、鉄筋は熱に弱いとされていますが、それを熱に強いコンクリートで覆うことで強度を高めています。

一方で、コンクリートは引っ張る力に弱いとされていますが、これを引張力に強い鉄筋で補強することができます。
このように鉄筋とコンクリートそれぞれのメリット・デメリットを補うことで、強度を出すことができるのです。

SRC造(鉄筋鉄骨コンクリート造)

鉄筋鉄骨コンクリート造は、鉄骨で作られた柱の周りを鉄筋で囲み、コンクリートを打ち込んだ構造物です。
高層ビルや大型マンションなどの大規模な物件で使われることが多いです。

鉄筋の性質

鉄筋

鉄筋には特有の性質があり「物理的性質」と「機械的性質」に分けることができます。
鉄筋の種類はこの性質によって分けられているので、まずは性質について理解しておきましょう。
ここでは、それぞれの性質について解説します。

物理的性質

物理的性質は「密度」「熱膨張係数」「弾性係数」の3つで示される指標です。
鉄筋の密度は一般的に7.85g/c㎡とされており、コンクリートの約3倍です。
熱膨張係数は10×10-6で表現され、これはコンクリートと同等の数値です。
弾性係数とは鉄筋の硬さを表すもので、2000kN/m㎡でほぼ一定とされています。

機械的性質

機械的性質は引張強度や伸び率、曲げ角度、曲げ性内側半径、降伏点などで示されます。
引張強度は、鉄筋が耐えられる最大荷重のことです。
降伏点は塑性変形しないぎりぎりの数値を指します。
降伏点を越えても力を加えると、鉄筋が断裂してしまいます。
そのため、一般的に引張強度は降伏点より下の数値に設定しましょう。

鉄筋の種類

鉄筋は主に丸鋼と異形鉄筋(異形棒鋼)に区分されます。
JISに認定されている材料は、丸鋼が2種類、異形鉄筋が5種類あります。
それぞれ強度や特徴などが異なるため、用途によって使い分けられます。

丸鋼

丸鋼は表面に突起が無い鉄筋のことです。
丸鋼の径はz9〜z200と規定されており、SR(Steel Round)の記号から始まります。
通常の棒鋼のような表面のデコボコが無いため、建築材料だけでなく他の用途にも使用されるケースがあります。
また、工事現場では異形鉄鋼の方が主流であるため、丸鋼はあまり用いられません。
丸鋼にはSR235とSR295の2種類存在し、それぞれ独自の特徴を持っています。

SR235
SR235とは鉄筋コンクリートとして使用される鉄鋼材料の一つです。
JISにはSR235の規格が定められており、降伏点が235N/mm²、引張度は380~520N/mm²、曲げ角度は180°とされています。

SR295
丸鋼のもう一方がSR295です。
JIS規格によると、降伏点は295N/mm²以上、引張度は440~600N/mm²、曲げ角度は180°と定められています。

異形鉄筋

異形鉄筋は、表面に突起がついた鉄筋材料で、主にコンクリートの補強用に使われます。
この突起によってコンクリートとの密着力が増すとされています。
突起は「リブ」や「節」とも呼ばれており、リブは軸方向に、節は軸方向以外につけられたものを指します。
異形鉄筋にはSD(Steel De-formed)の記号が用いられます。
一般的に「鉄筋」とされる形状は異形鉄筋の方が主流であり、使用される機会も多くなります。

また、丸鋼と同じく、異形鉄筋も機械的な性質の違いで分類されており
その種類はSD295A、SD295B、SD345、SD390、SD490の5つになります。

SD295A
SD295Aは異形鉄鋼のうちの一つで、鉄筋として一般的なグレードに相当します。
JIS規格によると、SD295Aの降伏点は295N/mm²以上、引張強度は440~600N/mm²、曲げ角度は180°と定められています。
汎用性の高さや流通性の良さから鉄筋として最も目にする機会が多いかもしれません。
一方で高強度の用途には適さないため、高層ビルや大型マンションなどの
規模の大きな建築物には使用されない傾向にあります。

SD295B
名前も含めてSD295Aとの違いが分かりにくいですが、SD295Aは降伏点の上限が定められていなかったのに対して、
SD295Bは引張度の上限が定められていません。
JIS規格によると、SD295Bの降伏点は295~390N/mm²、引張度は440N/mm²以上、曲げ角度は180°と定められています。
SD295Aと比較すると、SD295Bは降伏点の範囲が指定されているため、
設計時に建物の破壊強度を想定しやすいという利点があります。
SD295Bは流通量自体が少ないため、他の種類に比べて目にする機会も少ないかもしれません。
また、同じ異形鉄筋であるSD345の方が、使い勝手が良いとされています。
こうしたことも、SD295Bの流通量が少ない理由の一つと言われています。

SD345
SD345はSD295Aと同じく、流通量が多いため、鉄筋材料としてはかなり使用頻度は高いと言われています。
SD295Bと同様、降伏点の範囲が設定されており、設計時に建物の崩壊メカニズムを計算しやすいのも特徴です。
一方、強度面には心配が残るため、大型の建造物においては主筋として使用されることはあまりありません。
JIS規格によると、降伏点が345~440N/mm²、引張度が490N/mm²以上、曲げ角度は180°と定められています。

SD390
SD390はJIS規格のおける、異形鉄筋の中で2番目に強い鉄鋼材料です。
最低引張度が高めに設定されており、なおかつ降伏点も高い基準で下限と上限が定められています。
これは建造物に使用する異形鉄筋として求められる要素を満たしており、
高い強度が必要な建造物や建築物ではSD390が用いられることも多いようです。
JIS規格によると、降伏点が390~510N/mm²、引張度が560N/mm²以上、曲げ角度は180°と定められています。

SD490
SD490はJIS規格のおける異形鉄鋼の中では、SD390を抜いて最も強度の高い鉄鋼材料とされています。
建築や土木などで高い強度を持つ鉄鋼材料が求められる場合、降伏点は最低でも490MPaに設定されている必要があります。
この時、2番目に高い強度を持つSD390では対応できないケースも多いため、SD490が用いられるようです。
一般的な建物ではこれだけの強度を持つ鉄鋼材料が必要な場面はありませんが
多くの人が使用しているような建造物や建築物にはよく使用されています。
JIS規格によると、降伏点が490~625N/mm²、引張度が620N/mm²以上、曲げ角度は90°と定められています。

鉄筋構造のメリット・デメリット

鉄筋

ここでは、鉄筋を使った鉄筋コンクリート造と鉄筋鉄骨コンクリート造のメリット・デメリットをご紹介します。

鉄筋コンクリート造

コンクリートは不燃性のため、高い耐火性が特徴です。
さらに圧縮力や引張力も備わっているため、耐久性が高い建物になります。
また、重量を持つコンクリートを使用することで遮音性も高くなるでしょう。
コンクリートを流し込んで作るためデザインの自由度が高いのが特徴です。
デメリットは、建築コストが高めな点です。
また鉄骨が入っていない分、鉄筋鉄骨コンクリート造よりはやや揺れに弱いとされています。

鉄筋鉄骨コンクリート造

構造の中でもっとも耐震性・耐火性に優れているのが、鉄筋鉄骨コンクリート造とされています。
鉄筋コンクリート造の「熱に弱い」という欠点をコンクリートで覆うことでカバーしています。
また鉄骨によって揺れによる耐性を獲得しており、耐震性や強度も鉄筋コンクリート造より優れています。
このため、高層マンションや超高層マンションなどで主に採用されています。
鉄筋鉄骨コンクリート造では、柱や梁のサイズが小さくても耐震性を確保できるのが特徴です。
強度が高いので、柱と柱の間隔を広く取ることが可能なため、広い空間を作れます。

デメリットは、全ての構造の中でもっともコストが高くなる点です。
鉄筋と鉄骨、コンクリートを使用しているため、コストだけでなく工程が複雑になり工事期間も長期化しやすくなります。
また設計上の制約があるため、鉄筋コンクリート造に比べて自由なデザインは難しいでしょう。

鉄筋の特徴や性質について知っておこう

鉄筋は主に丸鋼と異形鉄筋に分けられ、それぞれ特徴や性質が異なります。
そのため、用途や使われる場所によって種類を変えることで真価を発揮します。
まずは鉄筋の性質を理解して、適したものを選べるようにしましょう。