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コンクリートの配合設計の手順と決め方。配合はどのように示される?

コンクリートの性能を決める要素とされるのが、材料の配合です。
では、配合はどのように決められるのでしょうか。

本記事では、コンクリートの配合割合を出す「配合設計」についてご紹介します。

配合設計とは

配合設計とは、目的に沿ったコンクリートの配合を決めることです。
たとえば、セメントの量を増やすと強度は高くなりますが、耐久性は低下します。
水の量を増やすと施工性は良くなりますが、強度は低下します。

配合設計を行う際には、以下の点に注意が必要です。

  • 設計基準を正しく理解する
  • 材料の性質を理解する
  • 計算は正確に行う
  • 検討を十分に行う

また配合設計には、経験も重要です。
経験豊富な技術者の指導を受けながら、配合設計を行いましょう。

要求性能とは

コンクリートに求められる性能のことです。
構造物は、さまざまな環境や条件下で使用されるため、その性能は多岐にわたります。
そのため、要求性能は構造物の用途や使用環境などによって決定されます。

たとえば、道路や橋梁などの構造物は、交通荷重や風荷重などの荷重を受けるため、強度や耐久性が要求されるでしょう。
また造船やダムなどの構造物は、水圧や腐食などの影響を受けるため、耐水性や耐久性が要求されます。
要求性能を適切に決定することで、構造物の安全性や経済性を向上させられます。

配合設計の手順

ここでは、一般的な手順をご紹介します。

1. 設計基準の確認
まず、要求性能を決めます。
これらの要求性能は、設計基準や実験結果などから判断します。

2. 材料の選定
セメントや骨材は、種類や粒度を選びます。
骨材量は、絶対容積を計算します。
そして絶対容積から細骨材の絶対容積を差し引けば、粗骨材の絶対容積が分かります。
これに粗骨材の表乾密度を乗じることで、単位粗骨材量が分かります。
水は品質に応じて、種類を選びます。

3. 配合の計算
計算は、質量比または体積比で行うことができます。
質量比は材料の質量を比率で表したもので、体積比は材料の体積を比率で表したものです。
配合強度は、設計基準で定められた強度を満たすように計算します。

4. 配合の検討
検討では、試し練りを行うことが有効とされています。
試し練りでは、性能などを実際に測定することができます。

コンクリートの単位水量の測定方法

単位水量

コンクリート1㎥あたりの水の量を指します。
極力少なくするのが原則とされており、単位水量の上限値は175kg/㎥です。
この数値を超える場合は、高性能AE減水剤の使用が望ましいといわれています。

水セメント比の決定

コンクリート1㎥あたりのセメントの重量を水の重量で割った比率です。
水セメント比が小さいほど強度は高くなりますが耐久性は低下し、大きいほど施工性は良くなりますが強度は低下します。

配合強度の決定方法

配合強度は、配合によって得られる圧縮強度です。
配合強度の決定は、要求性能を満たすために重要です。

1.設計基準の確認
構造物の用途や使用環境などから、設計基準で定められた強度を決めます。

2.構造物の安全性と経済性の検討
設計基準で定められた強度をそのまま採用すると構造物の安全性は確保されますが、経済性に劣る場合があります。
構造物の安全性と経済性のバランスを考慮しながら、配合強度を決定します。

3.試し練りによる検討
配合強度を決定する際には、試し練りを行い強度を測定します。

4.配合強度の決定
要求性能の必要な配合強度を決めます。

現場配合を行う場合もある

現場配合とは、材料を現場で計算して配合することです。
設計時に決定された配合を現場の条件に合わせて修正しながら適切な物を製造します。
現場で使用する材料の品質は、生産工場から運搬される間に変化する場合があるため、現場配合を行うことで材料の品質のばらつきを補正できます。

また、施工条件は現場によって異なります。
現場配合を行うことで、施工条件に合わせた配合を実現できます。