コンクリートは、建築や土木工事において欠かせない材料です。
コンクリートは施工条件によってその性質が大きく変化します。
そのため、施工条件に合ったコンクリートを選定することが重要です。
本記事では、コンクリートの種類と使用場面のマッチについてご紹介します。
コンクリートの種類
コンクリートには、主に以下の種類があります。
- レディーミクストコンクリート
- 流動化コンクリート
- 膨張コンクリート
- 軽量骨材コンクリート
- 重量骨材コンクリート
- マスコンクリート
- 寒中コンクリート
- 暑中コンクリート
- 水中コンクリート
- 水密コンクリート
- プレパックドコンクリート
- 吹付コンクリート
- 高強度コンクリート
- 繊維補強コンクリート
コンクリートの種類①:レディーミクストコンクリート
レディーミクストコンクリートは、工場でセメント・骨材・水・添加剤などを混合して製造されたコンクリートです。
現場で練り混ぜるコンクリートと比較して品質が安定しており、施工の効率化や安全性の向上につながるため、現在では建築・土木工事において最も一般的に使用されているコンクリートです。
レディーミクストコンクリートは、建築や土木工事のあらゆる分野で使用されています。
特に、以下の用途で多く使用されています。
- 建物の基礎や構造体
- 道路や橋梁などのインフラ
- ダムや堤防などの水工施設
- 公園や広場などの舗装
コンクリートの種類②:流動化コンクリート
予め練り混ぜられたコンクリートに流動化剤を添加し、攪拌することで流動性を高めたコンクリートです。
流動化剤とは、セメント粒子間に水を分散させ、流動性を高める添加剤です。
流動化コンクリートは、以下の用途で多く使用されています。
- 建物の基礎や構造体
- 橋梁
- ダム
- トンネル
- インフラ
コンクリートの種類③:膨張コンクリート
セメント・骨材・水に加えて、膨張剤を配合したコンクリートです。
膨張剤は、セメントと水を練り混ぜた際に水和反応によってエトリンガイト、水酸化カルシウムなどを生成することによりコンクリートを膨張させる働きがあります。
内部に空隙が少ないため、水密性が向上するので水槽やダムなどの水工施設に使用されます。
また、膨張によって内部に圧縮応力が生じるため、強度が向上します。
そのため、地下構造物や舗装などに使用されます。
さらに、耐久性が高いため、病院や学校などにも用いられます。
コンクリートの種類④:軽量骨材コンクリート
普通コンクリートと同様にセメント・水・骨材を混合して作られるコンクリートですが、骨材に軽量骨材を使用することにより、普通コンクリートに比べて重量が軽いのが特徴です。
また、輸送や施工の際にも重量が軽いため作業性が向上します。
さらに、軽量骨材は空気を含むため断熱性に優れています。
そのため、建物の断熱性向上に効果を発揮します。
重量が軽く、建物の耐震性や耐火性に優れている軽量骨材コンクリートは以下の用途で多く使用されます。
- 建物の基礎や構造体
- 住宅やビルの軽量化
- 断熱材
- 舗装
コンクリートの種類⑤:重量骨材コンクリート
骨材に重量骨材を使用することにより、普通コンクリートと比較して重量が重いのが特徴です。
重量が重いため、建物の安定性や安全性に優れています。
また、地下構造物や防音・遮音構造物などに使用されます。
さらに、普通骨材に比べて吸水率が低いため、耐久性に優れているといわれています。
重量骨材コンクリートは、以下の用途で多く使用されています。
コンクリートの種類⑥:マスコンクリート
セメント・骨材・水を混合して作られるコンクリートですが、断面の厚みが大きく一辺が1m以上あるコンクリートのことを指します。
主にダムや橋梁、大きな壁などの大規模な構造物を作る際に用いられます。
コンクリートの表面部と内部に温度差が生じやすく、温度応力によってひび割れが生じやすいという特徴があります。
そのため、施工時には温度応力によるひび割れを防止するための対策が必要です。
マスコンクリートの具体的な使用例としては、以下のようなものが挙げられます。
- ダムの堤体
- 橋梁の橋台や橋脚
- 高層ビルの基礎
- 大型の土木構造物
コンクリートの種類⑦:寒中コンクリート
日平均気温が4℃以下となる期間に施工されることが多いです。
寒冷地ではコンクリートの打設後、凍結融解によるひび割れや強度低下が発生する恐れがあるため、材料を加熱するなど凍結を防止するための対策が講じられます。
寒中コンクリートの主な使用例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 道路や橋梁などのインフラ
- 建物の基礎や構造体
- ダムや堤防などの水工施設
コンクリートの種類⑧:暑中コンクリート
日平均気温が25℃を超える期間に施工されるコンクリートです。
暑い時期にコンクリートを施工するとセメントの水和反応が活発になり硬化が早まるため、強度が低下したりひび割れが発生したりする恐れがあります。
そのため、これらの問題を防止するため、材料の温度を下げるなどの対策が講じられます。
主な使用例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 道路や橋梁などのインフラ
- 建物の基礎や構造体
- ダムや堤防などの水工施設
コンクリートの種類⑨:水中コンクリート
水中で打設するコンクリートのことです。
通常のコンクリートを水中で打設すると水が混ざり込んで強度が低下したり、ひび割れが発生したりする恐れがあります。
そのため減水剤を添加するなど、水中での打設に適した性質を持たせる必要があります。
水中コンクリートは、以下のような用途で使用されています。
コンクリートの種類⑩:水密コンクリート
水を通さないコンクリートのことです。
透水係数や空隙率が小さく、水がコンクリートを通る量が少ないのが特徴です。
水槽やプール、地下室などの水が浸入すると重大な被害につながる構造物に使用されます。
主な使用例としては、以下のようなものが挙げられます。
コンクリートの種類⑪:プレパックドコンクリート
型枠にあらかじめ骨材を入れ、その間にモルタルを流し込んで作成します。
使用される場面は少ないですが、形状が複雑な場所などで使われます。
主に、以下の用途で使用されています。
コンクリートの種類⑫:吹付コンクリート
圧縮空気によってノズルから施工面に吹き付けるコンクリートのことです。
型枠が不要で急速施工が可能なこと、急斜面などの悪作業条件下での施工が可能なことなどから、さまざまな分野で使用されています。
主に、以下の用途で使用されています。
- トンネルの支保工
- 岩盤の保護
- 橋梁の補修
- 高所作業の足場
コンクリートの種類⑬:高強度コンクリート
普通コンクリートよりも圧縮強度の高いコンクリートのことです。
一般的に、圧縮強度が36N/m㎡以上のものが高強度コンクリートとして分類されます。
主に、以下の用途で使用されています。
- 高層ビルや高架橋などの大型構造物
- 橋梁やトンネルなどの土木構造物
- 原子力発電所などの重要施設
コンクリートの種類⑭:繊維補強コンクリート
コンクリートに繊維を混入して補強したコンクリートのことです。
繊維には鋼繊維やガラス繊維、ポリプロピレン繊維など、さまざまな種類があります。
繊維がひび割れ面をつなぎとめることで、引張強度を向上させることができるとしています。
主に、以下の用途で使用されています。
- 道路や橋梁などの土木構造物
- 建築物の耐震部材
- コンクリート二次製品
施工条件に合わせた選定が必要
施工条件に合ったコンクリートを選定することで、品質を向上させて施工の安全性や効率性を高めることができます。
また、コンクリートの耐久性や強度を維持することができることも知っておきましょう。