設備工事で使用される機器は、振動や騒音の原因となってしまいます。
接続されているダクトや配管は、振動源から伝わりそれ自体が振動源になってしまうこともあります。
本記事では、機器や配管・ダクトから発生する振動・騒音を伝搬させないようにする「防振・防音工事」についてご紹介します。
設備施工管理に関わる「音」の基本
ここでは、設備施工管理に関連する「音」の基本についてご紹介します。
防音と遮音
設備工事で発生する騒音は、冷凍機やボイラ、空調機、送風機、ポンプなどの機器の運転の音と
ダクトや配管内の流れによって発生するものがあります。
これらは、騒音そのものを減らしたり、距離を減衰したりすることでは解決しないことが多いです。
防音対策は、騒音が室内外に伝播するのを防ぐことが重要です。
そのために必要なことは、音のエネルギーを吸収して減衰させる「吸音」や
音の透過を防止する「遮音」などになります。
空気伝搬音と固体伝搬音
音は空気中を振動する空気音だけでなく、固体の方を振動として伝搬する音もあります。
空気を伝わる音を「空気伝搬音」、建物の床や壁、天井などを伝わるものを「固定伝搬音」といいます。
空気伝搬音は距離の減衰によって、音源から離れるほどレベルが減衰します。
また、壁や塀などの遮蔽物によっても減衰するとしています。
固定伝搬音は、建物の壁や柱、床などを伝わり、室内に騒音が放射されてしまうのです。
振動・騒音の伝搬事例
ここでは、騒音の伝搬事例をご紹介します。
機械室
以下は、機械室の騒音の種類です。
- 空調機から発生した音が隔壁や隙間などを透過した空気音
- 空調機自体の振動に起因する固体音
- ダクトや配管路系の振動に起因する固体音
- ダクト内を伝播し、給排気口から放射する空気音
- ダクト内を伝播し、ダクト壁から透過する空気音
- ダクト内で騒音が発生する空気音
- 吹出口や吸込口自体で発生する空気音
給排水管
以下は、給排水管から発生する騒音の種類です。
- 排水時に配管から部屋の中に放射される音
- 排水時に管で発生する振動が支持部や貫通部から建物の躯体に伝わり、隣接室の内装壁から放射される固体音
振動・騒音への対策
ここでは振動への対策として、防振材の種類や設置方法などをご紹介します。
防振材の種類
振動対策には、建物躯体への伝搬を防止するため防振財が用いられます。
以下は、防振材の種類です。
金属ばね(冷却塔など)
金属ばねと耐震ストッパー、取り付け金具が一体になった防振ユニットです。
防振パッド(ユニット型空気調和機、エアコン室外機など)
振動の少ない軽い機器や耐震ストッパーなど、床スラブへの振動や伝搬の少ないものは
防振パッドが設置されることが多いです。
振動を伴う機器の固定は、機器の振動によってナットが緩まないようにダブルナットにします。
防振継手(ポンプなどの配管系)
ポンプの吐き出しや吸い込み側に設置し、ポンプなどの配管系に固体伝搬音対策として用いられます。
防振支持
天井吊り機器や配管・ダクトの支持部分から伝わる固体伝搬音を軽減するために用いられます。
設置する上での注意点
防振基礎は振動の伝搬を減らせますが、架台の上の機器の振動を減衰させられません。
軽量の機器は共振する恐れがあるので、防振基礎を設けずに床へ直接固定した方がいい場合もあります。
また防振効果は、振動源や設置床、防振材の特性によって変わるため、防振材の選定には注意が必要です。
防振装置を取り付けた機器の接続は、フレキシブル継手などの防振継手を用います。
これにより、振動や固体伝搬音が低減できます。
さらに、配管からの騒音は、配管から建物への振動を低減させなくてはいけません。
そのためには、配管の防振支持や建物貫通部で配管と接触させないようにする必要があるでしょう。
振動と騒音への対策を知ろう
音は空気中を振動する空気音と、固体の方を振動として伝搬する音があります。
これらの音は、放置すると人間にとって不快なものとなります。
ダクトや配管の施工管理に携わる方は、対策を知っておきましょう。