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プラント設備のデジタル化に向けた改善に必要なこと。何がポイント?

近年、プラント設備ではデジタル化に向けた取り組みがされています。
具体的にどのような対策が行われているのでしょうか。

本記事では、これからのプラント設備計画・設計方法について紹介します。

これまでのプラント設備計画・設計方法

従来の設備投資は、コストダウンのメリットを得ることに重点が置かれていました。
プラント設備を大型にすることで、生産量あたりのプラントコストを下げることができます。
生産量の上昇と比較してもプラントコストの上昇比率は低いという調査もあるようです。
そのため、設備の大型化を行うことで、製品コストを下げることにつながっていました。

しかし、デジタル化を考えた場合、スケールメリットと生産の最適化は成立しないという側面もあります。
たとえば、少量製品を受注した場合、生産設備が大きいと大ロットしか生産できず、需要に応じた生産が困難になります。
スケールメリットが経営効率の改善につながると考えていると、IT化が遅れる要因ともなっていたのです。

フィージビリティスタディが注目されている

フィージビリティスタディとは、プロジェクトの実現可能性を事前に調査・検討することです。
「実行可能性調査」「企業化調査」「投資調査」「採算性調査」とも呼ばれ、「F/S」と略記されます。
プロジェクトを実施するにあたっては、資金調達や人員確保、法規制など、さまざまな課題をクリアする必要があります。

フィージビリティスタディでは、これらの課題を洗い出し、解決策を検討することでプロジェクトの実現可能性を評価します。
フィージビリティスタディの結果に基づき、事業化の可否や計画の修正を検討することで失敗リスクを抑えることができます。

FEEDに移行

フィージビリティスタディによって、儲けが出ると判断されれば、FEED(Front End Engineering Design)と呼ばれる工場の基本設計のフェーズに移行します。
FEEDの段階で、プロセスエンジニアやコストエンジニアが工場の図面を作成し、顧客が求めるスペックを考えて、F/Sよりも詳しい見積もりを行います。
そして、最終的に作成したFEEDを提出し、最も顧客のニーズを満たした会社がプラント建設を行います。

プラント生産設備の調達

デジタル化を実現させるためには、廉価で汎用性の高い標準品が必要と考えられています。
さらに複数メーカーから自由に調達でき、既設設備の入れ替えも柔軟に行えることが求められています。
プラント生産設備の調達をデジタル化させるには、次の3つのポイントをおさえることが重要です。

1.調達プロセスの可視化
調達プロセスを可視化することで、調達の進捗状況を把握しやすくなります。
また、調達プロセスの問題点を把握して改善することもできます。

2.データの活用
調達プロセスで発生するデータを活用することで、調達の効率化やコスト削減を実現することができます。
たとえば、過去の調達データを分析することで、より適切な調達先を判断することができます。

3.コラボレーションの強化
調達プロセスの各関係者(調達担当者、設備メーカー、サプライヤーなど)がデジタルツールを活用してコラボレーションすることで、より円滑な調達を実現することができます。

ICTの冗長化も重要とされている

ICTにおける「冗長化」とは、システムの一部に何らかの障害が発生した場合に備え、予備の設備や装置を用意しておくことです。
冗長化によって、障害発生後でもシステム全体の機能を維持し続けられるようにします。
冗長化には、次の2つの方法があります。

二重化
同一の機器・系統から構成されたシステムを文字どおり2つ用意し、障害に強い環境を作ることです。

多重化
二重化の状態からシステムの数をさらに増やして、三重化・四重化の構成にすることにより、より高い信頼性を実現することです。

冗長化の目的は主に以下が考えられます。

  • 工場の安定操業の実現
  • 負荷の低減によって問題の発生を防止する
  • システムの復旧を可能にする

ただし、冗長化は「通常時には余分なリソースを確保する」ということのため、調達コスト、運用・保全コストとのバランスを考慮しなくてはいけません。

プラント設備のデジタル化に必要なことを知ろう

プラント生産設備の調達をデジタル化することで、より効率的でコストパフォーマンスの高い調達を実現することができます。
そのためには、さまざまな段階を踏む必要があることを知っておきましょう。