Menu

「カステルベッキオ美術館」と「ポンピドゥー・センター」。2つの建築から鉄骨造の理解を深めよう

世界には、今も残る有名な鉄骨造の建物が数多くあります。
いずれも、実用性と装飾性を兼ね備えているとされています。

本記事では、鉄骨建築「カステルベッキオ美術館」と「ポンピドゥー・センター」についてご紹介します。

「カステルベッキオ美術館」の特徴

カステルベッキオ美術館は、イタリアのフィレンツェにある中世の城を改装した美術館です。
1926年に市立美術館に転用され、1964年にはイタリアの建築家、カルロ・スカルパの計画による改修が行われました。
カステルベッキオ美術館は、古城の外観を残しながら内部は近代的なデザインで改装されています。
展示室はガラスと鉄骨の構造で、天井の高い吹き抜けになっています。

平鋼を使いシャープに見せている

カステルベッキオ美術館は、平鋼を使いデザインをシャープに見せているとされます。
平鋼は角形鋼管、丸形鋼管など曲がりやすいため、強度的には不利になるといわれています。
しかし、鋼管は平鋼ほど鋭利な角が出しにくいというデメリットもあります。

カステルベッキオ美術館では、平鋼を何枚か重ねてエッジを強調するようなデザインが施されています。
さらに鋼板を2枚使い、エッジを出した家具もあります。
スカルパのデザインは金属や石などの硬い素材を組み合わせ、シャープな印象を出しているのが特徴です。
ヨーロッパでは石や金属の細工が盛んですが、その職人技が現代的なデザインにも活かされていると考えられています。

「ポンピドゥー・センター」の特徴

ポンピドゥー・センターは、フランスのパリにある総合文化施設です。
1977年に開館し、建築家レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャーズの設計による、近代建築の傑作として知られています。
ポンピドゥー・センターは、国立近代美術館、国立現代音楽・ダンスセンター、国立図書館、国立科学技術センターなどの施設から構成されています。
建物の外観はコンクリートとガラスで覆われ、内部は構造躯体がむき出しになった斬新なデザインです。

筋交いを露出した構造

鉄骨の柱梁と露出したブレース、エスカレーターの透明なチューブなど、特徴的なデザインをしています。
内部を露出させそれを強調したようなデザインは、建築家のミースと対立するとされていました。
この後、ポストモダニズムにも影響したと考えられています。
ポストモダニズム(近代以後)のデザイン傾向は、複雑な形態、多様な色彩、歴史様式の付加など、さまざまな形で見ることができます。

近代の代表的な建築物について知ろう

カステルベッキオ美術館とポンピドゥー・センターは、いずれも近代建築の傑作として知られています。
カステルベッキオ美術館は古城の外観と近代的なデザインの融合、ポンピドゥー・センターは構造躯体がむき出しになった斬新なデザインがそれぞれ特徴です。
いずれも近代の代表的な建築物に位置づけられているので、ぜひ知っておきましょう。