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電力設備の動力配電図・制御盤図・幹線設備図・受変電設備図について理解を深めよう

電力設備の図面は多種あり、それぞれが重要な役割を果たしています。
このため、電気工事施工管理職や電気通信工事施工管理技士職を目指している方は、その概要について理解しておく必要があるでしょう。

本記事では、主に新築工事で用いる設計図における、「動力配線図」「制御盤図」「幹線設備図」「受変電設備図」についてご紹介します。

動力配線図の設計

ここでは、動力配線図の設計についてご紹介します。

基本

1.配管配線
制御盤から電動機までの配線は、内線規程表に従います。
コンクリート打込み部は、薄鋼電線管、CD管、PF管などを用います。
電線は600Vビニル絶縁電線とし、D種接地工事用設置線を忘れないようにします。
制御用や警報用配線(60V以下)は、電灯コンセント配線の例を参考にしましょう。

2.ケーブル配線
制御盤から電動機までの配線は、内線規程表に従います。
ケーブルには、600VCVケーブルまたはVVDケーブルなどを用います。
ケーブルが損傷を受ける可能性がある場合は、電線管などで保護します。
制御用や警報用の配線は600VCVV(制御用クロロプレンシースケーブル)などを用います。
600VCVケーブルは、4心を用いて1心を設置線用としてもよいとされています。

防災用

耐火ケーブル配線
電線の太さは内線規程表の規定より太くします。
電源(200V)用ケーブルには耐火ケーブルを用います。
配管を用いる場合は、FP-Cケーブルを使い、薄鋼電線管による保護をしましょう。

耐熱ケーブル配線
制御用および警報用配線部分には、耐熱ケーブルを用います。
配管配線は、二次側の配線は実線または点線とします。
電線の太さと本数、接地線などの内訳は、別途まとめると分かりやすいでしょう。

制御盤図の特徴

制御盤図には、制御盤の外形寸法図などが記載されています。
制御盤の形式や内容などを記載します。

一覧表には以下の事項を記入しましょう。

  • 盤形状(記号)
  • 盤名称
  • 幹線番号
  • 合計容量
  • 結線(主幹、WH等)
  • 負荷記号
  • 負荷名称
  • 負荷容量
  • 主回路(記号)
  • 制御回路(記号)
  • 連動またはインターロック
  • 監視(操作、表示、計測)
  • 配線(回路、配線サイズ、配管、ラック)

制御盤使用には以下の事項を記入します。

  • 制御盤凡例(盤形状、盤名称)
  • 特記事項(主回路、制御回路、盤仕様、配線回路記号)
  • 結線記号(主回路、制御回路、監視回路)

制御盤尾外形寸法は、メーカーごとに異なるため、指定したい幅、高さ、奥行きなどがある場合は指定する必要があります。
後日、メーカーが決定した後に確認を行います。
また、以下の動力の制御運転方法なども記載されます。

給排水設備
水槽の水位を電極によって検出して、ポンプの自動制御運転を行います。

空調設備
押ボタンのON/OFF制御または温度センサー、タイマーなどによって自動制御運転します。

幹線設備図の書き方

幹線設備図には、平面図・系統図・配電盤図などがあります。
また、基本的な幹線設備図の書き方をご紹介します。

平面図
引き込み箇所から分電盤、制御盤までの配線を平面図に書きます。

系統図
配線の系統や幹線の番号などを記載します。

配電盤図
1Mの内容を書きます。
分電盤の種類や使用に応じ、必要な内容を記入します。
たとえば、以下の内容などです。

  • WHM収納部は電力会社の封印ビス付にする
  • 検針用窓ガラスは金網入にする
  • 単相と三相間には隔壁を設ける

変電設備以降の図面ポイント

高圧引き込みの幹線設備図は、変電設備の配電盤以降の分電盤、制御盤、開閉器盤などに至る幹線だけでなく、変電設備までの高圧引き込みケーブル設備工事を行う箇所も記載します。
低圧引き込みと比較して負荷が多く内容も複雑なため、基本的には記号化されます。
記号は受変電設備図と統一しましょう。

平面図
動力設備図と共用として、同一平面図に記入することが多くなります。
図が複雑でない場合は、弱電設備とも共用することで、設計効率を上げられます。
幹線設備図を動力設備図と弱電設備図と共用する場合、建築図に変更があったとしても訂正作業が一度で済みます。

また、紙や図面の量が減るので、コスト削減にもつながるでしょう。
さらに、幹線、動力、弱電設備造語の食い違いやぶつかり合いなども防ぐことができます。
デメリットは、図面が読みにくくなる可能性があることです。
平面図を作成する際には、弱電設備系統図例も参照しましょう。

系統図
幹線系統図に用いる幹線番号は、分類しましょう。

受変電設備図の設計

受変電設備図

受変電設備図の設計は以下のように行います。

1.送電系統図の作成
送電系統図は、内線規程で大別される(CB型)とPF・S図のいずれかの標準結線図を基本にして作成すことが推奨されています。

2.変圧器の容量算定
電灯、コンセント、動力負荷に応じた需要率を定めて計算します。
電灯単相3線200 V/100 V、動力は三相3線200 Vの配電方式にします。

3.配電盤の内容記入
幹線系統別の負荷を配電盤に記入します。
また、負荷および幹線に適合した配線用遮断器の容量も記入しましょう。

同じ種類や同じ用途の負荷でも、1台ごとに記入します。
2台の負荷が交互運転の場合は1台分、交互運転の場合は2台分の電力を記載します。
コンプレッサなどがインバータ制御の場合は、メーカーカタログを確認して入力値を入れます。

送電系統図と変電設備据付図

送電系統図
主要機器の系統図とその機器の仕様を図中の余白に記入します。

変電設備据付図
変電設備の形式は、室内に主要機器を個別に据え付けるものと、キュービクル型の変電設備を工場で制作し、現場で据え付ける方法があります。
前者の場合、別図で設計図を作成しましょう。

また、機器の形式は明確に記載します。
形式を正確に記載することは、機能性、安全性、保守性、経済性に関係します。

電力設備の図面についての理解を深めよう

電力設備に関する図面は種類が多く、複雑なものも多くあります。
ただし、一定の法則に従い作成されているので、一度書き方を覚えてしまえばスムーズに作成できるようになるでしょう。
図面の意味と作成方法など、さらに理解を深めてみてはいかがでしょうか。